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5歳の言語力

2022年5月21日。身内で兵庫県は淡路島に行ってきました。目的地は国立明石海峡公園です。大きな遊具で遊んで大人も子供も大満足、ポプラの丘というところでは花摘み体験も無料でしていて、老若男女全員が楽しめた一日だったと思います。

花摘みもした後の帰り道、公園のアナウンスが流れました。

「来園の皆様にご案内します。新型コロナウイルス感染防止の観点から、マスクを着用いただきますよう、お願い致します。」

このような趣旨の園内放送だったと記憶しています。それを聞いた娘が尋ねました。

「お父ちゃん、ボウシってなに?」

私はいつも娘に説明するように、「感染しないようにするっていう意味だよ」と伝えました。ですが帰宅後、夜考えてみるとこれはなんと不思議なことだったのだろうと思い知るのでした。

娘は幼稚園に行っていて、毎日帽子を被っています。ですからボウシと聞いたらまず帽子が浮かぶのでしょう。なのでボウシという言葉の意味の一つは知っています。

つまり娘はボウシには別の意味があるのではないかと考えたのでしょう。そうでなければボウシの意味を聞くことはありません。ここで5歳の娘には同音異義語の存在を知ったのです。

「同音異義語っていうのはね」と説明しようとすると難しいですし、言葉だけで理解してくれるかは分かりません。ですが概念としては5歳の子どもでも同音異義語があるということが分かっている。これは父親として、すごく新鮮な発見でした。

言語学者のノーム・チョムスキーは普遍文法という理論を提唱しました。Wikipediaでの定義は以下の通りです。

全ての人間が(特に障害がない限り)生まれながらに普遍的な言語機能 (faculty of Language) を備えており、全ての言語が普遍的な文法で説明できるとする理論。ノーム・チョムスキーが『Syntactic Structures』(1957年)で提唱した。

Wikipedia 普遍文法

これを基にすると、同音異義語を理解できるのも普遍文法の範囲内ということになりそうです。もちろん、息子や他の子どもで同じ現象は観察できていない為、何も確証的なことはいえませんが。

子育てをしていると、子どもが持つ言語理解力と言語運用能力には驚かされます。そういう興味関心が高じると言語学や言語習得、さらに第二言語習得という研究分野に進んでいくのでしょうが、私は読書をするレベルに留まっています。

日常のふとした時に発見する子どもの能力。子育てをしていて知的好奇心をくすぐられる瞬間です。

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