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こころの名前

篠突く雨を掻きわけて走ったんだ
熱くなった吐息で
ガラスの彩雲が溶け出し
音もなく、雫を垂らす。

まだ涼しさを残した仄日
当て所なく彷徨う僕は明日を抱え込むばかりでまだ空っぽだったんだ。

星がひとつ、凪を撃つ。
零(こぼ)れるんだよ、あなたのこころは。
僕はまたひとつ拾っては、指でなぞって___、溢れ出す。
言葉は水平線の向こうへ深く潜ってく。

明日、種を蒔こう
今日、咲いたこの花が枯れるのを
昨日、二人で見つめゆく日に
栞を挿みながら。

このこころに名前をつけよう。
恋じゃない、愛じゃない、
この気持を「あなた」と呼んでみる。

明日、種を蒔こう
今日、咲いたこの花が枯れるのを
昨日、二人で見つめゆく日に
栞を挿みながら。

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