#487 コトバを眺め 青春漂流 立花隆さん

 不思議にみんな落ちこぼれだった。みんなどこかで、人並みの人生コースから外れてしまった男たちだった。
 理由は乱暴に総括してしまえば、面白くなかったという事になろう。通常コースをフォローする能力に欠けているのではなく、そうしたくなかったから落ちこぼれた。落ちこぼれつつ、自分の情熱をかけるべき対象を追い求めたのである。
 それをいったん発見するや彼らは落ちこぼれ人間から、とてつもない努力家に変身する。一つの道をまっしぐらに進む。そしてただ自分と自分の意志と情熱のみを信じて、新しい人生を切り開くのである。

 この本の迫力は凄い。立花隆さんの人気があるのがわかる。企画力、取材力、文章力、どれを取っても一流。確かに、自分じゃなく人を題材にしているだけだけど、といわれればその通りだけど、コトバに重みをもたせられるのも、どこまで本気でその世界に入り込めるか、その人に寄り添えるか、が大事なんだろうな。
 若者の生き方にダメ出ししかしない先輩が多いが、何かと比べて(自分の凄さとか、同じ時代に生きる頭のいいと言われる人とか、お金持ちになった人とか)出来ない理由を作る。若者を潰す天才だらけだ。
 自分に軸を持ち、自分の足を前に踏み出して、自分の道を進む。誰も踏み出していない道をだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?