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小学5年生 成長の転換期: 学びの壁を乗り越える親子のコミュニケーションとは?

※この記事は、深澤英雄先生(神戸市の小・中学校で38年間教壇に立ち、教職大学院の特任教授を4年半務める。現在は和歌山大学教育学部の非常勤講師として学生の指導にあたる。久保田学園の第一号の生徒でもある。)をお招きして、久保田学園グループ代表久保田勤とグループ講師宮後のお話をベースに記事にしています。

小学校5年生の特徴とは

宮後:前回までは、小学校4年生の保護者の方に向けてでしたが、今回からは、小学校5年生の保護者の方に向けてのお話をいただきたいと思います。深澤先生よろしくお願いします。

深澤:よろしくお願いします。小学校5年生の時期というのは、4年生に比べてずっと落ち着いてきているようには見えます。ですが、やはり最高学年である6年生に向けて蝶の幼虫がさなぎにある時のように、その内面は大きな変化が静かに始まっています。少年・少女期から青年期へと飛躍しはじめる時期です。

宮後:小学校4年生と比べてどの違いますか?

深澤:小4での傾向がよりはっきりしはじめます。周囲の目をより気にし始めますし、他者と比較して一喜一憂するようになります。また、これまでいろいろな経験を積んできているので、”行動する前から決め付けてしまう”行動も増えてきます。

久保田:確かに、「どうせ、できないもん。」「やってもしょうがないやん」「え?コレやるの」といった、反抗的な言葉が特に目立ち始めますね。これは単に子どもが保護者や指導者に反抗しているからというだけでなく、これまでの自分の失敗経験から、やるのが嫌だという気持ちが出てきているですね。

深澤:そうなんです。他にも、小学校5年生は高学年というカテゴリーに入りますから、大人の扱いを受けるようになります。下の学年に比べてお兄さん・お姉さんであるという扱いですね。お兄さん・お姉さんとしての大人びた振る舞いを求められることもあれば、子どもとしての扱いを受ける。大人扱いも嫌だし、子ども扱いも嫌だという感情が芽生え始めるのもこの時期です。気持ちに波が生まれやすい時期ですね。

小5の子どもをサポートするには?

宮後:このような時期にどのように接するのが良いのでしょうか?

深澤:小4の時よりもより、自信や自己肯定感を育むように接してあげたいものです。子どもの成長・変化に目を向け、励ますことが大事ですね。特に小学校5年生は勉強面でも難しいことが増えてきて、とても躓きやすい時期なのです。

久保田:たしかに勉強では難しく、複雑なことが増えてきますね。この時期の勉強ではこれまでと比べて簡単には正解にならないといった勉強が増えてきます。”粘り強く・根気強くやる”ということを身につけていく必要がでてきます。

深澤:こういう時期にすぐ諦めてしまうことで、「どうせ、できない」というマイナスな思考が染みついてしまいます。”一つでも、できるまでやってみよう”と途中まで投げださないように励ますことや、”一緒にやってみよう”と支えてあげることも、子どもにとっては大きな助けになると思います。

久保田:前にできなかったことでも、”今やってみたらできるようになってるかも”という風に、一度できなかっただけで諦めないことも大事ですね。”実際やってみたらすぐにできた”なんてこともよくあることです。

深澤:失敗の経験というのは子どもにとってもやはり嫌なイメージが残るものです。様々な援助や声掛けで成功体験を味わってもらい、その成功を共に喜んでいくというのが子どもが自信を失わない、第一の事だと思います。

勉強はとても難しくなっているの?保護者にとっては小5の壁

宮後:今勉強がとても難しくなっているとのお話がありましたが、ヤフーデータソリューションさんの記事からもわかるように、小5の保護者が調べている検索キーワードが算数の内容がとても増えているように思えます。”親にとっては小5の壁”ともありますが、実際はどうなのでしょうか?

深澤:キーワードで検索されているものはやはり、子どもが躓きやすいものが多く検索されています。
 2:円周の求め方
 3:最小公倍数の簡単な求め方
 4:体積の求め方
 5:作文の書き方
 7:三角形の求め方
ランキング10位までのうち、5つが勉強のことで、そのうち4つが算数のかなり具体的なやり方・方法についてを検索していることがわかります。

宮後:よく見てみると、小6の検索ワードも小5とほぼ変わりませんね。内容的には、円周・三角形の面積・体積などは小5で習う範囲なのに、小6でも多く検索されているようですね。

深澤:実は、小5の算数は学習指導要領でも小5の算数は内容が過密で、小6の方が負担感が少ないと感じるように思うくらいなのです。結果小6になっても、保護者の困りごとが小5の特に算数に集中しているのは当然のことだと思います。

久保田:小5の算数の円周・体積・最小公倍数についてなどは公式ややり方知ればできるものです。もちろん保護者の方も公式・やり方を分かっておられると思います。ですがそれを子どもに理解させ身につけさせる事に苦労されているのだと思います。かなり抽象的なので、具体的にわかりやすく説明するということが難しいのではないかと思います。

深澤:そこで公式を丸暗記させるようにしてしまうと、当然子どもが嫌がってしまいます。なんとか理解しやすく教えるにはどうすればいいのかという保護者の皆さんの悩みがこの検索ランキングに表れているのではないかと思います。

久保田:折角ですので、円周の求め方など、具体的にイメージするのが難しいところを、どうやって子どもにわかりやすく伝えるのか、その方法をご紹介したいと思います。その上で、保護者の方が子どもの自信を損なわないように言葉かけをする方法をより具体的にお伝えしていきたいと思います。

まとめ

・小5になると、より周囲の目を気にして他者と自分を比べるようになる
・過去の失敗経験からネガティブな発言が目立つようになる
・粘り強く励ましたり、一緒に学ぼうと支えてあげることが、成功体験の積み重ねになり、ネガティブから脱却できる
・小5の算数はカリキュラムが小学校で一番過密。保護者の苦労も当然