「ADHDマリオ」という呼称をADHD当事者はどう思っているのか

結論から書くと、言葉を使っている人たちを見た限りではADHDを揶揄しているわけではなく、「脳死で〜する」のスラングのように、言葉の本当の意味や定義をそこまで踏まえてなくて分かりやすさ重視で話しているだけで、揶揄までは行っていないのでは?と思いました。あと当の配信者も揶揄する目的ではなかったと思いました。

個人的にはこういった言葉にいちいち反応することで配慮が先鋭化してしまって、ADHDならびに他の発達障害(神経発達症)などに触れることがタブー化してしまうと嫌だなと考えています。

ただしあくまで自分は一当事者の立場でそう感じただけであって、他のADHD当事者の意見は代弁していません。


ADHDマリオが流行っていることを知りました。

いくつかX上に上がっている切り抜き動画を見ただけですが、もともとはYouTubeの配信でスーパーマリオシリーズのゲームを配信していたものが、イライラするほど下手ではないプレイだが、予測可能・不可能問わず面白い死に方をしたり、運が絡む部分でその運が面白プレイになる方向に使われたりといったことがウケて、TikTokやXなどに転載された結果バズったという認識をしています。

さて私は生育歴やCAARSやAQなどの検査を元に、ADHD(不注意優勢型)と広汎性発達障害(DSM-5の定義だとASD)だと医師に診断されています。診断されるまでの経過はしずかなインターネットに書いた記事を見てください。

そんな私が最初「ADHDマリオ」という言葉を見たときは不快感を感じました。ADHDのステレオタイプとして「落ち着きがない」「気が散りやすい」といったものがあると考えていて、それらを揶揄しているのかなと思っていました。

ただその後X上でバズっていたいくつかのポストを見たときに、「面白すぎる」や「天才だろこれwwwww」みたいな文章とともに「#ADHDマリオ」のハッシュタグが添えられているポストが多く、揶揄する目的ではなく、内容を分かりやすくする目的をもった上で、その言葉を使ったらどうなるかというのをあまり考えずに使っているように思いました。愚かではあるが悪意はなさそうという意味でハンロンの剃刀という言葉が使えそうです。

あと元の配信者自身も「ADHDマリオ」という言葉を使わないようポストをしていたのと、そもそも配信のタイトル・概要・タグなどに「ADHDマリオ」という言葉は使っていなかったり、投稿した動画で「ADHDマリオ」の言葉が入った動画を非公開にしたり、配信者当人としても意図せず言葉が広がりすぎたと考えています。

これがもし配信者が意図してADHDを揶揄していたなら少々ムカつきはします。ただ対応的にそうではなさそうな様子なのでムカつかなかったです。

あとそもそもADHDを含めた発達障害(神経発達症)が目に見えない疾患である以上は、無知などからくる無意識の偏見や無理解が起こるのも仕方ないと若干諦めている部分はあります。偏見や無理解にいちいち目くじらを立てていたら疲れますし。

まとめ

ADHDの一当事者としてはそこまで気にしてないという話でした。

あと今回の件で発達障害(神経発達症)やその一例であるADHDについて、少しでも興味を持って調べてくれるなら嬉しいです。個人的に良いなと思った「ADHDは個性と思わない」小島慶子さんが痛感する励ましの難しさという記事があるので、これを見てどういう感想を抱くか自分に問いかけてみるのも良いでしょう。