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人当たりの良すぎる人になっていないか

サンクスカードの取り組み。

先日note社のオープン社内報で、私が所属するチームのサンクスカードなる取り組みを紹介して頂きました。どんなものか簡単に紹介させて頂くと、下記のような取り組みです。

感謝の気持ちを形にすることで、何かをして貰う側の心理的負担を軽減し、さらにそれに対応してくれた側のモチベーションを高めて、新入社員・既存社員の関係性を円滑にし、持続可能な組織作りを出来るようにする。

主な効果は上述の通りですが、別の効果も期待できそうです。

1. リーダーがメンバーの「したこと」が見え、評価しやすくなる。

2. 返報性の原理より、互いにフォローし合う関係性が生まれやすくなる。

3. メンバーがどこに詰まっていて、どう解決したかを辿りやすくなる。

4. メンバーがどのような事に精通しているか見えやすくなる。

ですが、この取り組みにはちょっとしたデメリットがあり、それは「過度に人当たりを良くしようとしてしまい、形骸化していく」ということがあるかなと思います。

HRTの原則の1つである常に敬意を表することとは逆の性質です。

人当たりが良いという事と、敬意を持って接することは別。

「なんでも褒めて感謝した方がいいじゃん!」と自分は思っていましたが、どうやら違うのかもしれないなと思いました。

まず、「人当たりが良い」ということは、どういうことなんでしょうか。

KYという言葉に表されるように、人間(特に現代の日本人?)は空気を読んだコミュニケーションを行うことで円滑な人間関係を構築しようとしがちで、兎にも角にも人に好かれるために肯定しまくるみたいなコミュニケーションのことだと思います。

つまり、ここでいう「人当たりが良い」とは、「人に好感を持たれるように称賛する」という事です。

では、「敬意を持って接する」ということは、どういうことなんでしょう。

敬意・尊敬について、エーリッヒ・フロムは下記のように語っています。

尊敬とは、人間の姿をありのままに見て、その人が唯一無二の存在であることを知る能力のことである。尊敬とは、その人がその人らしく成長発展していけるよう気づかう事。 -「幸せになる勇気 」より引用

つまり、ここでいう「敬意を持って接する」とは、「意見や行動、特性に対して、その唯一無二性を知った上で称賛する」という事かなと思います。

「人当たりが良い」と「敬意を持って接する」ということは、主語が「自分」であるに関わらず、視点が異なる事に気がつきました。

前者は「わたし」目線であり、後者は「あいて」目線です。

前者は「わたし」について考えていて、後者は「あいて」について考えています。

前者は相手を知る努力無しに称賛を送り、後者は相手を知ることではじめて称賛を送ることが出来ます。

人当たりを良くしすぎると自分のこともわかってもらえない。

スターバックスでトレーナーとして後輩を教えている時に

「くぼぴさんってよくわからないんですよね。」

と言われたことがありました。

すごい!すてき!すばらしい!ありがとう!

みたいな中身スッカスカの褒め言葉を嫌われたくないあまりに言いまくっていたため、相手のことを知るどころか相手も自分のことをよく知らない状態になっていて、褒め言葉の応酬をするだけの上っ面の関係になっていました。

何故凄いのか、何故素敵なのか、何故素晴らしいのかを理解せずに言葉にもしないで褒めることは、相手からも自分を理解されないし、あまり意味のないコミュニケーションなのかもなぁと思います。

人当たりが良いことって悪いこと?

でも人当たりを良くすることは、悪いことなんでしょうか。

私は人当たりを良くする事で、威圧的な印象を与えないし、質問もしやすくなったり聞きやすくなったり良い効果があると思っていました。

実際威圧的な態度をとる人間は怖いし、同じチームにいたら嫌だなと思っていますし、生産性が下がるという話を聞いたことがあります。

ですが、敬意を持つことを忘れてただ好かれたいだけの褒めは上滑りしていて意味が無く、もしかしたら毒にすらなるのかもしれません。

相手のことを知り、どんなことが好きなのか、嫌いなのか。どんなことが得意なのか、苦手なのか。普段どうやって過ごしているのか、今何を考えているのか。これらを知り、人当たりの良さを付け加えれば最強なのかも...。

人当たりの良さ × 敬意

敬意を持って人当たりを良くする。

現在、チームの取り組みの中では

「ここのUXの配慮が丁寧ですばらしい!」
「〜を作ってくれたおかげで心労が一つなくなりました。」
「滞納しているレビューを素早く対応してくれてありがとう。」
「PRの書き方がすごく丁寧で参考にさせていただいています。」

といったようなサンクスカードが飛び交っています。

自分の注力したことや、相手が注力したこと、何の気なしに出来ていたことを何故有り難いと思ったのかを明確にして感謝の気持ちを伝えて、褒めています。

褒める部分、感謝する部分を血眼になって探すというよりは、自然に相手の仕事やパーソナリティを知り、自然にカードが送りあえているなと感じます。(チーム内で雑談をしている効果かも・・・?)

サンクスカードを運用するにあたって、これからも相手のことを良く知ることを意識して褒め褒めしていきたいな・・・と自戒を込めてこのnoteを書きました。

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