稽古をする意味
「なぜ、稽古をするのか」
これに対して僕は、いつも一言で答えます。
それは、
「やりたいことができるようになるため」
です。
意味の分からない稽古を続けていくことは、精神的にもかなり負担が大きいですし。
続かない理由の多くはそこにあると思います。
運転免許を取るための講習はどんなにつまらなかったり、難しいと感じてもなかなか投げ出す人は少ないと思います。
それは、免許を取ることで自分にどんなメリットがあるかが明確だからです。逆に、免許をとってもメリットだと感じない人はそもそも自動車学校に通ってないですしね。
また、効率の面で見ても「意味が分かる=稽古の目的を知る」ことは大事です。
意味が分かるから習得が早くなる、うまくなるんです。
例えば、毎週カラオケにいっている歌うのが大好きな人も。「1か月後、2か月後に歌がうまくなっているか?」というと必ずしもそうではないですよね。
また、毎日のように聞いている音楽やテレビの主題歌もいざ歌ってみようとすると歌えなかったりするものです。
けれど、この曲カラオケで歌いたいなと考えながら曲を聴くと何度か繰り返しているうちに歌えるようになったりします。
こうなりたいと思いながら、勉強したり練習したりするとよりその目的を達成しやすくなります。
そのため、
「この稽古をすると何ができるようになるのか」
を意識することが、稽古で一番大事なことだと僕は思っています。
これから稽古をしようと考えている人は、
「まず自分が何ができるようになりたいのか」
=「どんな役者になりたいのか」
を考えてみてください。
ぼんやりととうまくなりたい、なんとなく毎日稽古をした方がいいはず、ではなくて。
「見てる人を楽しませたい」
「〇〇さんみたいな俳優になりたい」
「〇〇に立てるような役者になりたい」
といった大きな夢。
そこから、
「コミカルな動きができるようになりたい」
「登場人物が本当に生きている演技がしたい」
「大きな舞台でもお客さんにきちんと声や動きが届くようになりたい」
といった具体的な目標を立ててみてください。
そして、その為にどんな稽古をすればいいのか。
日々の稽古で考えながら主体的に取り組むことが大事なのです。
次回からは、具体的に、発声や身体の使い方、感情のコントロール。
そして、台本の読み解きやそこからの役作りなど。
これをしたらこれができるといった稽古の意味や、稽古方法を紹介していこうと思います。