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すごくないし、強くない

こんにちは。修学旅行ですっかり消耗して帰ってきたくらるです。やっぱり人混みは苦手だなあと、都会、向いてないなあと、実感した5日間でした。家に着いた次の日、また街に出てきて、ワークショップに参加していました。眠すぎて朦朧としていたのですが、エネルギッシュな人たちに会って、圧倒されて、やっぱりすごい場所だなあ、と感じて帰りのバスに乗っています。そこには、いつも聞いてくれる人がいて、聞かせてくれる人がいて。お互いを大事にしながら学ぶ雰囲気が大好きなのだけど、その楽しい場所と、自分の普段の生活とのギャップがやっぱり大きくて。いろんな人に会って、話すたびに、そのギャップが広がっていって。あー、しんどい。という状態。考えたことを整理するために、書いてみます。ただの覚書。


学校における暑さ対策の拡充を求める約2万7千筆の署名を北海道教育長に手渡し

すごくすごく、しんどいという話。

 私は高校1年生の頃、教科書やらパソコンやら、大量のものが入った重い荷物を毎日学校の4階まで運ばなければいけないことが辛くて、2、3年生は勉強道具を学校に置いていけるロッカーが一人ひとつあるのに、1年生だけ無いのが不満で、嫌で、学校に対して提案書を提出したことがあります。「ロッカーをつけるなどして、負担を軽減するよう配慮してください。そして、何が当事者である生徒にとってベストな救済なのか、話し合わせてください」と。結果から申し上げると、ロッカーは設置されました。要求は通りました。でも。私は全然嬉しくありませんでした。提案書を出して、先生からの返事を待って、先生がなぜか秘密の話をするように私を別室に呼び出して、「なんとかロッカーをつけられるようにしますから。」と言って。待機するように言われて半年後、新1年生の入学直前、突如として、4階廊下にロッカーが現れました。ずらっと並ぶそれをみた瞬間、私は泣きそうになりました。もちろん、嬉しくてなんかではありません。悔しかったんです。すごく。軽くあしらわれて、宥められたように感じました。
「ピーピーうるさいな、ロッカーつければいいんでしょ?ほれ、満足かい?」と。
それが本当に悔しくて、やるせなかった。何がベストか、先生も生徒も保護者も、みんなで話し合いたいとあれほど言ったのに。その場は用意されませんでした。
 私がその時、アクションを起こしたのは、対話を生むためでもありました。学校の授業でも、やれペアワークだ、グループワークだというくせに、「はい、話し合ってくださーい」と丸投げするばかり。話し合い方を教わっていないのに、どうしてグループワークなど成立するでしょうか。「対話型の学習」、「アクティブラーニング」。。。流行りに軽ーく乗っかって、中身が伴わないまま、満足していると感じました。
 私は中学生の頃から、いろんな面白い大人と出会って、対話をしてきました。対話型のワークショップに継続的に参加して、学校では教えられないことを、学んできました。年齢が全然違っていても、つながり合えたり、一緒に働けたり。対話の力を実感しています。環境団体の支部で活動していることから、パソコンの使い方からメールの送り方、議事録の書き方まで、得たものと思考は役に立つことばかり。どんな将来を描いた時にも、無駄にはならない経験だと思っています。最初は対話という切り口から学び始めたけれど、それ以上のことを得られている。学校の外は広いなぁと感じました。
 私は高校生になってから、学んだことをどうにかして学校に持ち込めないだろうかと考えていました。グループワークをするよう指示されて、4人1組になったはいいものの、沈黙が続く授業。アイスブレークを私語だと怒られる授業。そんな日々を送っているうちに、「まずは授業じゃなくてもいい」と思い立ちました。その頃は、環境問題や環境活動家に傾倒していたので、友達との会話の中で、ペットボトルを買うのがどれだけ悪なのかとか、化石燃料はどれだけ不要なものなのか、みたいな話をひたすらしていました(今思えば怖すぎる)。でもその話を聞いた友人は皆、「へー、難しいこと考えてんね。。。」とだけ言って、いつもの噂話に戻っていきました。簡単にいうと、ぜんっぜん響かなかったのです。それもそのはず、今の日本では、食糧不足は愚か、深刻な干魃(かんばつ)さえ起こっていないのですから、あまりにも遠い話を、自分ごと化するのは至難の業。当時の私は「なんでこんなに危機感がないの!?世界は大変な状況なのに!!!」みたいな感じでした(今思えば怖すぎる)。環境問題について知ってほしいという気持ちと、噂話以外の会話がしたい、という思いでした。
 2年生になってからは、1年生の頃に必死に語っていたような内容は、あまりにもみんなから遠すぎたんだと気づき、より身近で、みんな自身にも影響のある話題を持ちかけたいと思いました。そこに、2023年の大熱波、酷暑の夏がやってきました。暑さで朦朧とする意識の中で授業を受け、グループワークはさらに元気をなくしました。汗をタラタラと流す先生のチョークの音と、下敷きでぬるい風を浴びるだるげな音だけが、教室に響いていました。
 これだ、と思いました。暑さについて、話をしようと思いました。暑いのをどうにかしてほしいのはみんな同じなはず。みんな共通の話題ならば、対話が生まれるのでは?そう考えて、署名を集めることにしました。北海道の暑さ対策が進んでいないこと、生徒と先生は厳しい学校生活を余儀なくされていること、、、。共感の声が集まって、注目されれば、友達と気軽に、問題について話せるようになる。そう信じていました。
 しかしその期待は、見事に裏切られました。「あー。。すごいことやってるんだね。」そう言われて、会話は終了。呆然としました。
「みんなー!はなそー!みんなにとって大事なこと、一緒に話そー!」と手を振り続けて、立ち止まって、振り返ったら、みんなは遥か遠くで座り込んでいた、そんな感じ。何を言っても、「難しいこと、考えてるねー、さすがだね。すごいね。行動力あるね。」だけが返ってくる。正直、今までやってきたこと、本当に伝えたかったことが、本当に伝えたかった人たちには、何一つ伝わっていなかったのだと思いました。
 署名は3万筆近く集まったので、色々なメディアから取材のオファーをいただくと、私と友人との距離は、さらに広がりました。今まで「個人での活動だから勝手にやってね」というスタンスだった学校も、校舎内でのテレビ取材には、喜んで応じて、あたかも、生徒のさまざまな活動をサポートする、いい学校、という顔をする。ため息が出たし、呆れたし、がっかりしました。取材に来た大人たちも、「高校生がこんなことするなんて!大人でも難しいのに!」というばかり。要は私が高校生で、女であることがこの人たちにとっては重要なことなんだな、と感じます。見出しにも、「高校生が署名活動」「北海道の高校生が訴える」。。。私が本当に伝えたいことが、完全に埋もれている。署名の提出についての取材は、もう受けないことにしました。メディアに出れば出るほど、本質が見えなくなる気がしました。

 そんなこんなでこのところ、若干人間不信です。そんな私がエネルギーを得るために行くのがワークショップ。4年前からご一緒させていただいているYさん主催の、対話型ワークショップ。ここに行けば、誰かに会える。自分を持って頑張っている超エネルギッシュな人たちに会える。お互いが楽に過ごせるような雰囲気を、参加者全員で作り出す、その感じが大好きで、自分に合っている感じがして、かれこれ4年目。ワークショップ自体、環境問題にそこまでフォーカスしているわけではないけれど、みんなが幸せに暮らせる環境を持続的に守っていくには、SD(持続可能な開発)が必要だよね、そのためには、地球環境も大事な話の中に入るよね、という感じ。YさんはスウェーデンでSDプログラムを実際に学んできて、北海道でそれを実践できないだろうか、とやってきた人です。みんながみんな、スウェーデンに留学できるわけじゃないから、学んできた人がそれを伝えよう、ということなんだそうです。私はいつも、そのワークショップで出会った面白い大人たちの存在を支えに、生きています。(大袈裟に聞こえますが)学校の大人たちにはよく裏切られるけれど、ここの大人たちは、好きなこととか、興味のあることに真っ直ぐ向き合って、たまに寄り道して、、、なんだかとにかく、楽しそうに生きているから、大好きです。世の中の大人がみんなこうだったらいいのにと思います。それくらい、ワークショップでの出会いは、私のこれまでの人生でも、大きなウェイトを占めています。
 でも、そんな彼らに対面で会うのは、とても難しいことは、いいことか悪いことか、みんなバラバラの場所にいます。一箇所に集まるのって、簡単じゃないから、たまに会えた後、普段の暮らしに戻った時、そのギャップに苦しむことになります。そのギャップが、ワークショップに参加して、楽しい時間を過ごすたびに、広がっているように感じます。どんどんどんどん、しんどくなっていきます。

行動力あるねぇ。さすがだよ。すごいね。まだ高校生なのにえらいね。

もうこんな言葉、聞きたくありません。
もう言わないでと叫びたいけれど、できません。
私はすごくない。えらくない。

メディア対応をしたのも、「みんなに知ってほしい」とか言ったのも、全部実績にしたかったのかな、と今になっては思います。今のところ、エッセイを書いてアメリカの大学を受けるつもりでいるけれど、「課外活動最低10個」とかいう言葉に、踊らされていた気がします。みんなも、課外活動頑張るのはいいけれど、自分を見失わないでね。自分が辛くなって、モチベーションも消えちゃって、どうでもいいやってなっちゃったら、いつか後悔する道を選んじゃうかもしれないから。

ネガティブ話ばっかりだったけど、なんとか見苦しくない形に終われてよかった。。。海外大進学って、わからない、未知のことばかりだから、どうしてもがむしゃらに、頑張りすぎてしまうけれど、一度立ち止まって、自分の声を聞いてあげるのは、本当に大切なことだよなあと思った、高2の秋です。

北海道は初雪も観測して、冬の気配です。皆さんも、風邪などにお気をつけて、健やかに残りの秋を楽しんでくださいね。お読みくださりありがとうございました。

ではまた( ´ ▽ ` )ノ


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