英語よりメイド!

「メイドっていいよね」
「なに急に」
「いやさ、メイドになりたいなって思ってさ?」
「そんなこと思う前に勉強しなよ。明日英語のテストでしょ」
「勉強なんていくつになってもできるんだよ」
「言ってることは正しいんだけどな」
「それで、昨日メイドになるにはどうすればいいんだろうって考えてたんだけど、私じゃなれそうになくてさ」
「まあお前って本当に何にもできないからな」
「それほどでも」
「褒められてると捉えるくらいポジティブなのは良いと思うよ」
「まぁまずね?メイドになるには日本から出ないといけないじゃん?」
「そんなことないと思うけど」
「でも外国に行こうにも私高いところ苦手だからヘリ乗れないのね」
「普通飛行機だろ」
「飛行機ってヘリより高いとこ飛ぶからもっと無理」
「揺れてる方が無理だと思うけどな」
「で、船で行こうかとも思ったんだけど、私泳げないのね」
「別に落ちようとしなければ落ちないから大丈夫だよ」
「船が沈没するかもしれないでしょ」
「心配しすぎだって」
「昨日タイタニック見た」
「じゃあ心配にもなるか」
「頭では沈没しないってわかってても不安になっちゃうんだよね」
「幽霊と同じだな」
「どういうこと?」
「幽霊なんていないってわかってても怖がっちゃう、みたいなこと」
「あ〜そうそう!外国人が、忍者は現代にはいないって言われても気づかれないように隠れてるだけだって思っちゃう、みたいなこと」
「みたいなこと?」
「まあしょうがないから、仮にドラえもんがいてどこでもドアで外国に行けるとするじゃん?」
「もしもボックスでメイドになればいいのに」
「で、外国に行けても私英語できないんだよね」
「じゃあいま勉強しろよ」
「もしほんやくコンニャクあったとしても私ってこんにゃく食べれないからさ」
「本当に何もできないな」
「それほどでも」
「ポジティブなのは良いんだけどな」
「まぁとりあえず英語はなんとか勉強してできるようになるとするじゃん?」
「このままじゃ一生できないよ」
「で、英語話せても掃除も洗濯も料理もできない私を雇ってくれる人なんていないじゃん?」
「本当に何もできないな!」
「だからメイドの夢は諦めて他の職業に就こうと思うんだ」
「夢って諦めるためにあるからね」
「悲しいこと言わないで」
「で、次は何になりたいの?」
「執事」
「勉強しよっか」
「はい…」

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