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人事データ分析の切り口をマインドマップに整理してみた。

人事データ分析で利用できるデータは人事の基本的な属性から勤怠や成績に至るまで多岐にわたります。以前投稿した記事では、人事データ分析の基本戦術として人や組織に着目して切り口を見つけていく方法をご紹介しました。

一方、人事データ分析を始めた方から、「人事データの分析で活用できる情報はどのようなものがあるのでしょうか? 具体例を教えてください」と質問を受けることもあります。確かに人事システムに含まれるテーブルは膨大である上、教育やサーベイ等人事システムの外にある情報も活用する必要があるため、洗い出すのは大変かと思います。

そこで、これまでの経験を思い出しながら、分析で見たことがありそうなデータ項目(切り口)をマインドマップに整理してみました。

人事データ分析の切り口(マインドマップ)

2023/12/20追記  以下のページでPDF版を公開しています。

ざっくりとしたグループ分けをグレーのラベルで表しており、左上から反時計回りに基本情報、キャリア形成、活動・行動の履歴、成果・パフォーマンスと緩く括っています。

また、各項目の末端でグレーの囲みがある項目は何らかのデータ加工(特徴量化)が必要な項目となっています。それ以外の項目については、多くの場合、関連するシステムや台帳に記録されているものと想定しています。場合によりデジタル化されていない項目もあると思いますが、ひとまずざざっと俯瞰してみました。

急ごしらえのため抜け漏れもあるかもしれません。後で思いついたら足していきます。

データ結合について

人事データ分析の準備段階として、データを結合していくことが必要になります。具体的には従業員番号やIDなどのキー項目をもとに結合していきます。イメージとして一人当たり1行のレコードになるような形です。

このように書くと簡単に感じるのですが、人事データは時間軸や履歴を持つ場合もあるため単純な結合処理だけでは上手くいかない場合が多いです。この議論はアドホックな分析の場合だけでなく、人事データマートのような分析基盤を整備するときにも考慮が必要です。

人事システムはテーブルの数が多いだけでなく、テーブルの直接見ても人が解釈できないような構造になっていることが多い印象です。また、履歴を持つテーブルも多いため参照条件が複雑になります。

このように、業務システムとしては洗礼されていると言えるのですが、分析者にとっては頭の痛いところです。人事データの前処理や加工については別途記事を起こしたいと考えています。

分析における着眼点

分析を進める場合に、これらの中で分析の目的に沿った項目、例えばエンゲージメントを調べるならば、エンゲージメントと他の項目の関係を調べていくことになります。また、統計モデルや機械学習モデルを構築する場合には、エンゲージメントが目的変数になり、それ以外の項目が説明変数(特徴量)の候補と言うことになります。

分析プロジェクトのテーマを考える際、どのような仮説を検証したいのか明らかにすることが大変重要です。その仮説というのは、データでなく業務・施策から発想されるものであるべきです。そして、データを使って仮説を検証する場合には、仮説として言語化された問いとデータの意味的な対応を検討する必要があります。そのような場合、このマップで整理した項目を頭に浮かべながらアレコレ作戦を考えていくことになります。

組織に着目した切り口をデータ化するには?

今回準備したマップは人に関するものでした。では、組織に着目する場合にはどうしたらよいのでしょうか?

まずは、分析で焦点を当てる組織のレベルを決めていきます。本部レベルでの比較をしたいのか、それとも部レベルでの比較をしたいのかを明らかにします。場合によっては両方の観点で分析したいということもあるでしょう。

焦点が定まったら、人ベースのデータを所属をキーとして他の項目の統計量を計算していくのが基本戦術になります。例えば、部単位で時間外の情報を整理する場合には、部毎の平均時間外勤務時間数を集計していきます。

対象とするデータ項目が量的変数の場合、多くの方が平均値を活用すると思いますが、平均だけで議論してよいとは限りません。中央値、ばらつきを表現する分散、標準偏差、四分位範囲なども分析対象となります。

一方、対象とするデータがカテゴリ変数の場合は平均を取ることができませんので、変数に含まれるカテゴリ毎の度数を数え上げるなどの方法を取ります。

先日投稿した記事で、例題データを用いた計算例を取り上げていますので、興味がある方はご覧ください。

まとめ

今回は人事データ分析、ピープル・アナリティクスでの分析の切り口のネタをマインドマップで俯瞰してみました。

マインドマップを作るにあたり、MindmeisterというWebサービスを利用しました。このサービスは今回初めて利用させていただいたのですが、大変使いやすくサクサクマップを作れました。



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