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人新世の「資本論」

現代の環境論争に対して、マルクス主義の新解釈をベースに反論だけでなく、代案まで提示してて面白かったし勇気あるな、と感心した。サラリーマンとしては、色々反論もあるけど、年も近くて精神的・知的刺激を貰った。

売れてるだけあって面白かったのでオススメ。

サラリーマン的な反論について深掘りすると、株式会社は継続的な成長を至上命題としている訳で、著者の言う価値の増大=成長とするならば、その点は折り合いがつかないし、一般論で企業を悪とする論調は受け入れ難い。実際に、営利と社会正義(公共性)の両立を掲げ、そこに向け努力する経営者や労働者もいるわけで、公共性を目指す以上は著者の言う脱成長コミュニズムに通ずると考える。

要は成長を何とおくか、ということだと思う。成長を期するのは人間の根本的な欲求にも思えるし。

一方で、Eウォーラーステインの世界システム論を学んでいた元学生としては、外部化の余地が無くなる地球が、資本主義より先に滅びると言うのは納得できる話なので、そこには手を打たないといけないよなぁ、と。

そこら辺の解決策も著者の示唆の中にあったと思っていて、自分は企業の中で環境対応を如何に図るか、を自分のセクション(今なら生産管理)の立場で訴えていきたい、実現していたいな、と思った。例えば無駄の無い生産管理は、どの様な生産プロセスを採用するにせよ、全体で見ると二酸化炭素排出抑制に寄与するだろうし。

自分の職務に邁進すること、そこに環境視点(著者の言い方では脱成長、自分の解釈では自身のスキルアップと公共性の両立の為の最適解模索)を加えることで、3.5%の社会変革に向けた行動者になれるのかな、と。

自分の子供の世代に大洪水が来ることを見過ごせる程、悪人でも無し。とは言え、資本主義をシステム変更するのは、夢想主義とも感じる自分の着地点は、その辺りでした。

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