伝えるとは『人』に『云う』こと
誰かに何かを伝える…
日常の中で当たり前にある事ですよね。
何かを伝えようと『言う』事はとても簡単です。
でも自分が意図している事が本当に『伝わってる』かは解らないものです。
基本的に独りよがりになっている事が多く、いくら話しても相手方にうまく伝わらなかったという事が誰しも一度は経験されているかと思います。
伝は人が『云う』と書きます。
『言う』ではなく『云う』なんです。
つまり伝えるという事は言葉を放つだけではなく、相手に理解してもらわなければならないのです。
先日電車の中で子供をうまくあやせていない若いお母さんがいました。
何度言ってもなかなか子供は静かになってくれません。
そのお母さんは一生懸命『ちゃんとしてよ』と言い続けてます。
でもこれでは子供は静かにならないですよね。
子供にとっては『ちゃんとしてよ』じゃどうして良いかわからないのです。
お母さんが伝えたい事が子供には理解できてないんですね。
これはただ『言』っているだけです。
こういった場合は
『○○くん、電車の中は他の方に迷惑がかかるので静かにしなきゃならないから、ここでは騒いではダメだよ』
と所謂【S+V+O】と【5W1H】の要素を入れて話さなければなりまません。
これは営業で結果が出ない方にも同じ事が謂えます。
子供のあやし方も営業も異性を口説くのもポイントはすべて同じなんです。
もうひとつ例を挙げましょう。
ある小学校で1年生のふたつのクラスを対象にある実験を行いました。
1組目のクラスには
『この線をはみ出して歩かないでください』
と指示し、
2組目のクラスには
『この線をはみ出して歩くと車にひかれてしまい大ケガをして痛い思いをしてしまうので、はみ出してはダメですよ』
と指示を出しました。
結果はハッキリと分かれ、1組目の生徒は半分以上が線をはみ出してバラバラ歩いたのに対し、2組目の生徒はほとんどが線をはみ出さずに歩いたのです。
これも先程と同じ理屈ですよね。
相手に伝わり理解されなければ行動に移してもらえないのです。
ではどうしたらキチンと相手に伝えられるようになるのでしょうか?
まず大前提として相手の立場になって考えてあげる事が非常に大切です。
『今○○と伝えたら相手はどう理解するんだろうか?どう受け止めるんだろうか?』
とワンクッション考えてから話した方がうまく伝えられます。
『チェス盤をひっくり返す』という発想がまさにその通りですね。
電話で道案内をしてみるとよくわかります。
“自分がイメージしている事と相手がイメージしている事”は全然違うんですよね。
これは普段の会話でも同じ事が謂えます。
現行の日本の教育では『聞く、読み取る』事は学べますが、『話す、伝える』事はなかなか学べません。
どちらも大切な要素ですが、何故か『伝える』という意識が弱いのが現状です。
これには日本語独自の主語を省略するという文化もあるのでしょうが、相手が自分と同じ様な境遇で生活してこない限り、なかなか難しいと思います。
自分の想いや気持ちを伝える為にも相手に『伝える』事を常に意識して生活していきたいですね。