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来場者は40万人!Diplo率いるMajor Lazerのキューバ公演を追ったドキュメンタリー作品が公開

2015年7月20日、アメリカとキューバは54年ぶりに国交を回復した。

続く2016年3月には、当時のアメリカ大統領バラク・オバマ氏がキューバを訪問。BBCによれば、アメリカの大統領がキューバを訪れるのは1928年のクーリッジ大統領以来、実に88年ぶりのこと。史上2回目の出来事であった。この半世紀以上にわたる国交正常化までの動きを「キューバの雪解け」と呼ぶ。

国交正常化が行われるまで、当然のことながら米国人ミュージシャンのキューバ公演は行われてこなかった。だが、2016年3月には2組のアメリカ出身の音楽グループがキューバで公演を行った。Diplo率いるMajor Lazerと、The Rolling Stonesだ。

約40万人が詰めかけたMajor Lazerのキューバ公演を追った『Give Me Future』

2016年3月6日にDiplo率いるMajor Lazerがキューバの首都ハバナにてライブを敢行。ライブ開催に至るまでのMajor Lazerを追いかけたドキュメンタリー映像がApple Musicにて限定公開されている

ライブ当日は会場となった「反帝国主義広場」に約40万人が詰めかけた。2017年の「フジロック・フェスティバル」の来場者数が3日間合わせて12万5000人という数字を見れば、いかに多くの人々がMajor Lazerのライブに詰めかけたかがわかる。

Major Lazerがライブを行った約3週間後にThe Rolling Stonesもライブを行った。劇中でMajor Lazerチームは「ミック・ジャガーなんて大したことない」とThe Rolling Stonesを痛烈にディスる様子を見せた。自分たちこそ時代を象徴するミュージシャンであるという自信の表れなのだろう。

Major Lazerのコンサート成功を影から支えた、コンテンツの流通網「Paquete」とは

キューバは米国人ミュージシャンのライブ敢行が難しいだけではなく、音楽流通においても課題を抱えていた。キューバ政府がインターネットの情報統制を行ってきたからだ。

だが、米国との国交回復を機にインターネット規制は徐々に緩和されている。2015年7月にはハバナに有料のWi-Fi区域が設定されたが、依然としてインターネットの利用料は高額のままだ。

そこで疑問として挙がるのが、なぜ40万人もの人々がMajor Lazerを知り、ライブに足を運ぶことができたのか、という点だ。

ドキュメンタリーの中では「Paquete」というコンテンツ流通の“アナログな“仕組みが紹介されていた。

映像内では「Paquete」の首謀者のひとりがホテルなどのインターネット回線の強い施設で映画や音楽などの様々なコンテンツをHDDにダウンロード。そのHDDを人づてに渡していくことで、キューバに住む人々が様々なコンテンツに触れられるようにする様子が描かれていた。その優れた流通網に注目し、Netflixも首謀者の青年にコンタクトを取ったそうだ。

「Paquete」がどのように流通していくのかについてはドキュメンタリー内では説明されていなかったが、Major Lazerのチームは「Paquete」に楽曲やコンサートのフライヤーを提供し、結果的に40万人がライブ会場に詰めかけることになった。

ドキュメンタリー作品のためライブの様子はそこまで多く描かれない。だが、キューバにおける情報統制と音楽消費の現状、Major Lazerがコンサートを開催するまでに乗り越えた様々な課題、40万人のオーディエンスのライブの熱狂など、見どころ満載の90分間のドキュメンタリーだ。

サウンドトラックに収録されている楽曲も素晴らしいので、聞いてみてほしい。特にM3「Get It RIght / Diplo & MØ」はお気に入りの一曲だ。

Give Me Future
Major Lazer Presents: Give Me Future (Music From & Inspired by the Film)

img : YouTube, Spotify



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