小説に出てきた料理を作ってみる
追われる日々から逃れたくて今日は全てを放り出した。
映画や本に向き合える時間が精神のパラメータになっているのだが、最近はどちらもご無沙汰で余裕の無さにうんざりする。
今こうやってnoteを書いている事実が自分にとって一つの救いである。
最後に触れた本は、8月の終わりに読んだ江國香織の「なかなか暮れない夏の夕暮れ」だった。
この本自体は昨夏手に入れたのだが2019年は積読のまま通り過ぎ、やっと今年の晩夏に読み終えたのである。ふ~、一年越し。
小説の内容はというと、主人公である稔の生活と稔の読む小説が並行して話が進んでいくという不思議な構造のものだった。(伝わるのかな。)
本と生活の境界が曖昧になって融けこんでゆくあの感覚が描かれていた。
この物語には、稔が読んでいる小説に出てくる料理を作るシーンがある。
そして私も同じように、その料理を作ってみた。
ピッティパンナ
ピッティパンナは稔が凝って何度も作っていたスウェーデンの料理。
レシピを調べたのだがあいにくビーツは手元になく、アスパラガスで代用した。
じゃがいもさえ入れば、あとはどんな野菜でもできるのが、ピッティパンナのいいところなのだ。
と稔も言っていることだし問題はない。(小説ではピーマンとレタスを入れていたので近づけられなかったのはちょっぴり残念。)
作り方はとにかく簡単。
野菜と肉をとにかく角切りにして、ジャーっと炒めて上に目玉焼きをのせる、これだけ。
はい完成。
シンプルでとっても美味しい。
カルニタス
もう一品、カルニタスという豚肉をオレンジとニンニクで煮込んだメキシコ料理も作った。
稔のかつての妻が、稔に教わったこの料理を今の夫に振舞うのだ。
こういうことってよくあるよね。
レシピは簡単だけどとにかく時間がかかる。
肉にフルーツってどうなの!?と半信半疑ながら、焼き色を付けた豚肩ブロックを炊飯器に放り込みオレンジジュースと炊き込んだ。×2回
部屋じゅうに、オレンジの匂いが漂っている
登場人物と同じ体験ができたので食べる前からもう満足。
フォークでスーッと切れてしまうほろほろの豚肉と、予想外に相性のいいオレンジの風味に感動した。
本を読んでないのに一番本と繋がっていた時間だったかもしれない。
もっと日常に本が融けこむ生活を送りたいな~。
小説に影響されて料理を作る主人公が出てくる小説に影響されて料理を作る私。
ちょびっとフラクタルな体験でした。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?