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市民のためのスカイウォーク SkyWalk for Citizen #1

読書会記録です。取り上げる本は、

『市民のための世界史』大阪大学歴史教育研究会(2014年)
http://www.osaka-up.or.jp/books/ISBN978-4-87259-469-0.html

一読して、従来型の歴史学のアンチテーゼとして編まれているのがつかめると思います。具体的には、

①政治史中心の歴史学から商業・経済史中心史観への転換
②西欧中心史観の批判としてアジア中心史観の導入

という感じです。
高校世界史で年号と人物名と戦争史をばかり詰め込んできた人も多いと思いますが(わたしもそうです。)最近は歴史のエンジンを政治ではなく社会・経済に見いだす史観が流行っていますし、実際読み進めるうちにぽろぽろと目からうろこが剥がれるように、「そうか、昔の人もけっこう合理的に生きていたんだな」と気づかされると思います。

ただ、社会・経済史を中心としたテキストは反面、ヤマ場のない平坦な羅列にもなりかねず、理解できない箇所を読み飛ばしてしまいかねない危うさも孕んでいると感じました。好きなモノや読んでいて気持ちの良い事柄ばかりを受信するフィルターバブルという現象が、もう少し浅い階層で起こっている、という感じでしょうか。一人では、”知らないことは読めない”ということです。

そこで、現役で世界史教育に携わるK先生と、皇室やハプスブルク家に造詣の深いY氏という二人の友人を迎えて、輪読を試みることとしました。二人はまた、大阪大学文学部西洋史学専攻出身ということで、テキストの著者たちの息吹をも伝えてくれました。育児や転職といった多忙な季節において、隔週早朝全11回の取り組みにお付き合いいただき感謝いたします。

以下、テキストの章立てに沿って順番に記事をアップロードしていきますが、実際の輪読順とは異なります。(後の章で話題になった内容が、前の章に登場することがあるのはそのためです。)

また近頃は世界史系YouTuberというジャンルも華やかで、授業では取り上げにくい話題をテーマにするなどの効用がある一方、学術的正しさを反映しているとは限らないという問題点があります。
この議事録も、言ってしまえば素人が休みの日に好き勝手言っているだけのものですので、その点はどうぞご承知おきください。
むしろ「こいつらまちがっとるわ」「議論が中途半端になっとるけど、こういうことやろ」などという思索のきっかけになればうれしいと思っています。

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