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歩いてみるものです

本日は所用があり、午後から出かけていました。電車とバスを乗り継いで、丘に向かう…はずでしたが、乗り換えできると踏んでいた乗り継ぎに失敗、1時間に1本しかないバスは駅の改札を出た瞬間に、走り出しました…。

う~む、どうしよう…。近隣の駅からのバス路線もなく、ここで大人しく1時間待つか、4千円程でタクシーに乗るか。さて…。

いい天気だし、国道まで数キロ歩けば別のバス路線もあるし…と、足を踏み出しました。

旧い集落の脇を通り、バイパスを越えて別の集落を抜け、北へと歩を進めます。

暫くすると、廃線跡が現れます。30年以上前に廃止になった別府鉄道野口線の線路があったところ。旧軌道敷脇の公園には、昔の車両が保存されています。最近有志によって補修が進められ、鮮やかな塗装が蘇っていました。

さらに歩を進めると、また別の集落。農村だった頃の風情が残る一角がありました。ザ・日本の村、といった風情。

歩いてみたら、楽しいものです。さて歩き出してから、そろそろ30分。国道はまだかな?と改めて地図を見てみたら、あらま国道までまだ1キロほどあるわ…。計算が狂うぞ?もうじき国道を通るバスが、通過する時刻…

ちょっと頑張って走ってみようかと思うも、天気が良すぎて暑いくらいだったので走る気もせず、さて、じゃあ方向転換で加古川駅まで歩くか…と考えるも、ここまで歩いて今更そんなオーソドックスな選択も、ねぇ…と覚悟を決めます。さあ、丘の上を目指して、歩こう!

とりあえず国道まで出たものの、バス停まで微妙に遠いうえにバスも通過した後なのが確実なので、もういいやとまた歩きます。パソコンショップがあったので覗いてみたりしながら、さあJRの線路を越え、更に北へ。

農村時代からの集落をいくつか過ぎ、もうここまで来たら半分以上は歩いているはず。さあ頑張れ自分。もうバスもタクシーも、乗れない。歩くしかない。

新しく出来た幹線道路を歩き、さすがにちょっと足が痛くなってきたなと思いながら丘を目指すと、溜池を再整備した公園が現れました。なんだか目を引くものがあり…

このアーチ橋、大正時代に作られた水路橋だそうで、東播磨の台地に水を引く、江戸時代からのプロジェクト「淡河・山田川疎水」の支線区間にあったものです。六甲山裏手の現神戸市北区を流れる淡河川・山田川から水を引き、台地を潤す大プロジェクトの、どうやら西端にあたる位置だったようです。煉瓦と石の組み合わせアーチは建築としても希少なんだそうで、それと疎水プロジェクトの歴史的意義も含め、幹線道路建設の際に再評価され、移転保存された、ということだそうです。なるほど、それで何となく目を引く違和感があったのか(苦笑)。でも、きれいな橋です。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E6%9C%A8%E6%A9%8B_(%E5%85%B5%E5%BA%AB%E7%9C%8C)

橋のたもとには、鷺が一羽。あぁ、播磨の溜池らしい風景です。

さあ、目指す丘はもうすぐ。ようやく着くぞ…見えてきたぞ…

もう2時間ほど歩いてるぞ、さあ、ラストスパート!と歩きます。
畑からは、鳥の声や歩く音が時折。田起こしをした田畑には、鳥が集まります。ああ、もう、完全に、春なんだなぁ…。ガサガサガサッバタバタ!
ん?ちょっと変な感じだなと見てみると、鳩が片側の羽を不自然に上げたまま固まっています。羽が折れたのか?と思いながらよく見ると、作物保護用のネットから延びたワイヤーが羽と首に絡まっています。さすがに可哀想なので、驚かさないよう静かに近寄り、もつれたワイヤーをほどきます。まあ、鳩からしたら恐かったでしょうね、人間が来て手を伸ばして身体を掴まれるんですから。首にもつれたワイヤーを何とかほどいた瞬間、飛び立っていきました。身体に傷は無かったようなので、無事に生きていってくれるかな。

ということで、本来ならバスを乗り継いで50分の距離を2時間以上かけて移動しました。どう考えても1時間後のバスを待った方が良かった、という結果なのですが道中に見たもの、知らなかった地域史に触れられたこと、それらを考えると「歩いてみてよかった」な、と。

改めて、地元のあれこれを見られた、いい機会でした。
たまにはバスに乗り遅れてみるもんですね。

※歩いた距離は7.5kmしかなかったようです。もっと歩いたような気がしたけど(苦笑)。

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