ボンボヤージュ1に詰まったむき出しの思い出
今でこそお互いを自然に褒め合い、フォローしあい、高め合うメンバーたちだけど…今よりカメラにちょっぴり不慣れでニキビの残る彼らは、普通の少年として、たくさんぶつかり合った一面も見せてくれて、とても良かったな。
ボンボヤ1、ようやくみました。撮影されたのは6年前の、2016年。防弾少年団のデビュー3周年を記念して贈られた企画で、テーマはメンバー全員での普通の旅行。
WINGSツアーの後、プルタオルネが出て多忙を極める彼ら。防弾少年団の歴史でみても決してデビューしたて、ではないけれど、やっぱり今とは全然違う。
(以下具体的な収録エピソードに触れています)
ヒョンラがヒョンラ、マンネラがマンネラしてるボンボヤ1
1番感じたのは、年齢が下がるほど顕著になりやすい年齢差。寂しがりやで騒がしくて生意気盛りのマンネラ3人と、褒めて諭してでも偉ぶったり戸惑いが顔に出ちゃう未成熟な兄たちをたっぷり観ることができる。
何かできるたびに、弟たちをしきりに褒めるヒョンラの4人。EP1でまだ引っ込み思案なジミンに、スーツケースを取りにひとりで行っておいで。と送り出し、それができたらもうひと回り成長できるよ。と見守るヒョン達の目線は数歳違いとは思えなくて。戻って来たときに褒めちぎることも忘れないホソクは、今も変わらないね。
洗濯機を回したくて20分以上格闘するけどうまく使えなくてひょーん…と寂しげに頼るジョングクも愛しくて、今や可愛かったジョングギはどこ〜?とヒョン達に言われてしまうのも納得だ。
(なんていいつつ5年後の2021年にも愛しさ溢れるマンネのAMA'sスピーチ。だいすき)
一方、まだ生意気な盛りの弟につい偉そうな態度を取る一面もある。例えば、代わりに大事なチケットを保管してくれたジミンにお礼の一言も言わないナムジュンとか、同じようにジョングクからもらったタブレットをごにょごにょ言いながら当然のように受け取るユンギとか。
少し目を離すとすぐ物を忘れ、照れ臭くて正直になれない姿はごく普通の少年達だ。
まだまだ試行錯誤中のメンバー達
ジンとジミンの噛み合ってなさも今の姿から考えると珍しく映った。二人で歩いているときに道に迷ってしまうシーン。ジンは自分が選んで進んでいる体で、どんどん先を歩いて兄らしくするけど、カメラさんには「どうしよう」とこっそり伝えている。もともと末っ子気質なジンくんは、歳上に甘えて見せるのはあんなに上手いのに、弟に頼るのは下手だなあと思う。後ろを歩くジミンは明らかに不服そうだ。ジミンは迷ったときは感情を共有してほしい、と思っているだろうから理解できないんだろうし、ジンは兄として不安な一面を少しも見せたくないのかなあと感じた。それが明らかに噛み合わない原因だった。
本当の家族より長い時間共に過ごすとはいえ、ある日突然家族になった生まれも育ちもバラバラなメンバー達。それぞれが心地よく過ごすためにした努力の量は想像に余りある。最近の新しくメンバーを入れるなら?という質問に「もう7人で十分多いですよ…」と呆れた顔をした彼らのことを思い出す。
ボンボヤージュ2,3,4とどんどんスムーズになるお互いの関係性は、成長によるものだけでなく彼ら自身によって創り上げられたものなんだなあと思う。
素直に怒れることも信頼の形
フィンランドに向かう船の最後、自分のミスにより旅を終えることになってしまったナムジュン。一番ショックだろうナムに呆れつつ励ます他のメンバーと違って、明らかな怒りをあらわすテヒョンの姿は、個人的に印象に残ったシーンのひとつだ。
「7人で最後キャンプするの楽しみにしてたのに…7人じゃなきゃ何の意味もないよ」
たしかにテヒョンが不貞腐れたって現実はなにも変わらないし、ましてや当事者でもない。しかも場を乱す怒りの感情って、大人になると出さないことを求められる場が多いと思う。けれど、あの場で自分の気持ちを伝えられるテヒョンが素敵だなと思った。メンバー全員で過ごすことを楽しみにしていたテヒョンの本心が、寂しさが、よく伝わったから。
「怒っても仕方ない」なんてこと、ないよな。
大人な対応で感情に蓋をする流れだった場を、たとえ荒らげてでも、素直に示せるテヒョン。喜怒哀楽をストレートに示す彼の姿は今も変わらなくて、そんな一面が大切に守られてきたことが分かる。
お互いが違うからこそ支えあって、補い合えるんだね。それぞれに凸凹がある意味、異なるメンバー同士が集まる意義を感じて、個人的にグッと来てしまった。(その後キャンプ中に届くナムからの皮肉たっぷりなメッセージ動画を観てみんなで爆笑した後に、「強がっても顔で全部ばれてます。あの人、本当に寂しがってます」と目を伏せるジミンも彼らしくて良かったなあ)
そして日常に帰っていく
最後に書きたかったのは最終日の個別インタビューのジン。「面白かったです。帰りたくないな。」と素直に景色を見渡すジョングクや、「何ヶ月か過ぎたらまた思い出すと思います。冬の寒い撮影の時に、あの時の湖ほど寒くないな、とか。」としみじみと語るユンギに対して、ソクジンの反応は意外で、でも彼らしく語りかけてくれた。
「すぐ忘れると思います。ここで出来たこととか。楽しくて余裕があった日常は忘れてまたすぐ元の生活に戻ると思います。でもそれも悪くないと思います、もともとの人生に戻るだけだから。」「言葉通り、ヒーリングしてから戻って、また一からやり直しですね。」
ゆったりした口調で決して皮肉でも意地悪でもなく、彼は事実を淡々と受け入れていることがよくわかる。あの頃に戻りたいって思わず、今を全力で楽しんで生きているジンくん。
日々の暮らしに流されてたとえ忘れてしまったとしても、楽しかった瞬間がなくなるわけじゃない。そんな意味にも受け取れるよな、なんて。
ジンくんのすっきりとした考え方や一貫した生き様はずっと変わっていなくて、ああ、こういうところがすきだなあと改めて思う。
花様年華を過ごす防弾少年団
EP8のビハインドシーン、遠くであがる花火に花様年華と字幕がつく。「花火はすぐに消えていくからもっと綺麗だとも思うんです」とナムジュンが呟く。儚くて美しい後ろ姿だった。
一方で感情のコントロールが完ぺきではなく、見せたい部分だけを選んで見せられるわけではない彼らはまだまだ子供だ。時に危うくて不安に感じさせられることもあった。
アイドルという職業を選ぶ以上、不特定多数の人にはみせたい自分だけを映して欲しい。そんな風に思っていたから、これまで見るのを躊躇っていた節もあって。
でもボンボヤ1は、きちんと選ばれていたのかなと感じたな。Inthesoop2では4日間の旅なのに対し、10日間で同じエピソード数だったことを思い出す。慣れやコンセプトの違いもあるだろうけれど、カメラには見せないたくさんの時間を彼らが共有して、楽しんでいたらいいな。
そして仕事としてではあるけれど、「休暇」を全員で過ごすことが一番の目的だというのが、製作側の大人の共通認識だったらいいな。今の彼らをみると、きっとその通りだったんだろう。(食事代に代表でジンくんが異議を申し立てていたという後日談は、大人として、一社員としての試行錯誤を感じてそれもすきだ)
貴重な時間の一部を旅番組としてファンに共有してくれてありがとう。彼らの成長を見守ることができて、いっそう沼に落ちていくことは言うまでもない。
お陰で旅行に出かけてふとした瞬間にきっと、あ、あの時のジンくんこんなところで遊んでたな、なんて思い出すんだろう。綺麗な湖を見た時に大きな目をさらに見開いて四角く笑うテヒョンくんの表情を浮かべることも、滝にはしゃいでたくさん自撮りするホソクさんを思い出してくすっと笑うこともあるだろうな。
ボンボヤージュ1、小さい時に遊んで傷だらけだけど大切で代わりのいないおもちゃみたいな思い出だったと思う。観て良かった。
6年という時間
撮影から6年後の彼らはグラミー賞という大舞台に立って凄まじいパフォーマンスを行なっている。アイドルの、アジアの代表なんて言われたりもする。「Do you know BTS?」なんて冗談で聞けなくなってしまったね、ジンくん。だってもう、多くの人が貴方達を知っているんだもの。たくさんの夢を叶えながら、君たちは今も走り続けているよ。
6年前の私が今のわたしをみたら、どう思うだろう。成長したと思うだろうか。それとも、ちょっぴりがっかりされてしまうだろうか。彼らのようにがむしゃらに毎日を過ごした6年前を思い出してみる。恥ずかしくて直視できないだろうな、でもそれも成長の証かなあ…なんて。花様年華じゃなくたって、今日には二度と帰れない。だったら目いっぱい楽しんで、感情をいっぱいにしてこれからも彼らと走り続けたいな。
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