事例で読み解く「間違いだらけ」のDX、第8回は「ツールを活かし切れない」パターンを取り上げます。
せっかくツールを導入しても、機能が活かし切れないケースは少なくありません。
なぜこのような間違いが起きてしまうのでしょうか?
このマガジンでは、さまざまな事例から「間違いだらけ」のDXを読み解いていきます。
自社に当てはまる事例がないか、DXの認識にずれがないか、チェックする上で役立つでしょう。
ぜひ参考にしてください。
本日の事例
見切り発車でCRMツールのトライアル版導入を進めることにしたDX推進チーム。
トライアル期間の終了が迫っていた頃、松井さんがある情報をキャッチします。
(前回のエピソードはこちら↓)
事例の解説
そもそも「ツールを触って体験してもらう」ことを目的に導入したCRMツール。
はじめのうちこそ目新しいツールに興味を持つ人もいますが、結局は慣れ親しんだ仕事の進め方に戻ってしまいがちです。
営業部のベテラン社員が言っていたように、自分が使う範囲で不便がなければ旧ツールのほうがいいと考える人も少なくありません。
ツールの機能を活かすには、相応の事前準備が必要です。
従来の仕事の進め方を全く変えないまま、新たなツールに移行するのは無理があります。
現場の社員からすれば、慣れないツールの操作を覚えるという「面倒なこと」が増えるだけなのです。
事例の間違いポイント
今回の事例の間違いポイントは、ツールを導入する意図をあらかじめ現場に説明していないことです。
「顧客管理に役立つ」などの漠然とした情報を与えられても、具体的にどう活用すればいいのかが分かりません。
営業担当者ならCRMツールを活用するメリットを理解してくれるだろう、といった過信は禁物です。
導入から運用までのロードマップを描き、進捗状況を確認しながら着実にツールの認知度を高めていくべきでしょう。
ツールを導入したものの活用できなかった、というDXの失敗事例は探せばいくらでも出てくるほど数多く見られます。
今回紹介した事例は、まさしく「CRMを形だけ導入してしまい、利便性を理解していない」典型例だったのです。
このような失敗パターンに陥らないためにも、ツール導入ありきのDX推進は避けなくてはなりません。
遠回りのように思えても、事業・経営課題から逆算して必要なツールを選定するほうが結果的にDX推進の近道となるでしょう。
まとめ