DX推進は「内部調整」では成就しない
事例で読み解く「間違いだらけ」のDX、第6回は「内部調整とDX」というテーマを取り上げます。
岩崎役員に提案を一蹴されてしまったDX推進チームは、どのように方向転換を図っていくのでしょうか。
このマガジンでは、さまざまな事例から「間違いだらけ」のDXを読み解いていきます。
自社に当てはまる事例がないか、DXの認識にずれがないか、チェックする上で役立つでしょう。
ぜひ参考にしてください。
本日の事例
岩崎役員に「ビジョンがない」と言われてしまったDX推進チーム。
チーム発足から2ヶ月近くが経っており、本来なら提案を固めておかなくてはならない時期です。
提案内容が振り出しに戻ったことで、DX推進チームは浮き足立っていました。
(前回のエピソードはこちら↓)
事例の解説
DX推進チームに岩崎役員が要望したのは「ビジョンを持ってDXを進めてほしい」という点でした。
ところが、吉田係長と松井さんは岩崎役員の個人的な解釈の問題として片付けています。
中堅社員は在籍年数が長いこともあり、社内の事情に詳しくなっているケースが少なくありません。
しかし、社内事情に詳しいことが仇となって目を曇らせてしまうこともあるのです。
吉田係長や松井さんが言うような根回しをしていたとしても、今回の提案は通らなかったでしょう。
なぜなら、岩崎役員が求めている「ビジョンに根差したDX推進」とは程遠い提案内容だからです。
加賀さんの懸念通り、問題の本質は「内部調整」ではないのです。
事例の間違いポイント
今回の事例は、DX推進に限らず企業内でしばしば見られるシーンです。
キーパーソンの承認を得ることが、仕事を進める上で重要となるのは事実でしょう。
しかし、話を通すことは目的を達成するための手段であって、根回しさえすればあらゆる提案が通るわけではありません。
前掲の事例に関して言えば、「論点をすり替えている」ことが最大の間違いポイントです。
岩崎役員は「ビジョンがない」ことが提案を承認できない理由だと、明確に伝えています。
ところが、中堅社員の2人はここに独自の解釈を加え、「根回し」へと論点をすり替えてしまっているのです。
DXは組織の内部から進むとは限らない点に注意してください。
Netflixの台頭によってレンタルDVD店がECサービスを始めざるを得なかったように、外圧がDXを余儀なくさせることもあるのです。
内部調整ではDX推進は成就できません。
社内の意思決定者を納得させられるかどうか、といった卑近な問題に埋もれている場合ではないのです。
まとめ
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