事例で読み解く「間違いだらけ」のDX、第5回は「DXのビジョン」について見ていきましょう。
このマガジンでは、さまざまな事例から「間違いだらけ」のDXを読み解いていきます。
自社に当てはまる事例がないか、DXの認識にずれがないか、チェックする上で役立つはずです。
ぜひ参考にしてください。
本日の事例
DX推進チームの提案が固まり、3人はいよいよ意思決定権を持つ岩崎役員へのプレゼン当日を迎えます。
提案内容に対して、吉田係長と松井さんはかなりの自信を持っていました。
しかし、岩崎役員の反応は意外なものでした。
事例の解説
DX推進チームが岩崎役員に提案したのは次の4案でした。
いずれも業務改善に繋がるよう、現状の問題点を話し合って到達した結論だったはずです。
にも関わらず、岩崎役員に一蹴されてしまいました。
岩崎役員の指摘事項は、次のようにまとめることができます。
加賀さんが当初から感じていた違和感そのものを言い当てたかのような指摘といえるでしょう。
吉田係長も松井さんも、まさかこのような形で岩崎役員の「ダメ出し」を食らうとは思っていなかったはず。
DX推進チームは、提案内容を根本的に練り直す必要に迫られたのです。
事例の間違いポイント
今回の事例の間違いポイントは、岩崎役員の言葉にあった通り「ビジョンの欠落」に尽きます。
現状をどう改善するべきか?を起点に議論を始めてしまったため、DX推進のビジョンが定まっていなかったのです。
そもそもトランスフォーメーションとは「変化・変容」という意味を表しています。
デジタル化を促進して「現状を多少便利にすること」がDXの目的ではありません。
企業が抱える事業課題・経営課題を解決することこそが、DXの本質なのです。
解決したい根本的な課題は何か?と問われたら、おそらく現状のDX推進チームでは答えられないでしょう。
まず解決すべき課題の設定から始めるべきではないのか、と岩崎役員は指摘しているのです。
まとめ