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欧州旅行記②

小さい頃から雨が好きでも嫌いでもあった。
6月も終わり早いのか遅いのか例年通りなのかもわからない梅雨の季節だ。小学生の頃からサッカーの練習や試合に気分が乗らない日は必ず雨乞いをしていた。サッカーが好きとか嫌いとかよりも家にいたいと小さい頃から常々思っていたのだ。ただ次第に余計な日にも雨が降るようになり、ここぞとばかりに雨が降る。最近は家を出た時は降ってなかった雨が家を出てから急に降り出すなんてこともザラにある。そう。きっと俺は雨男だ。

旅行期間中も晴れの日よりも雨や曇りの方が多かった気がする。パリに着いた日は綺麗な街並みにうつつを抜かしていた。重いキャリーケースを石畳の上を転がしホテルまで歩いた。確か、着いた日も小雨が降っていた。ホテルに着き、片言の英語でチェックインを済ませ部屋へ行った。なんとも言えない、綺麗とは言い難いが年季の入ったホテルだった。

今回の旅では1人の間は基本的にドリトミーハウスと呼ばれる、複数人が同じ部屋に寝泊りし共有のシャワールームがあり、キッチンルームがあるところだ。これがどこの国にもあり、バックパッカーが集まる。そして、何よりも宿代が安い、今回の旅行期間中のホテルは高くても5,000円程だ。だいたいが2,000〜3,000円で済む。

パリで泊まったホテルもそのうちのひとつだ。二段ベットが3つある6人部屋だ。部屋に着くと外国人が2人いた。1人は唯一空いている二段ベットの下の人だ。受験でもそんなに得意じゃない英語を駆使して話しかけた。ブラジル人のカイオは優しく丁寧に話を聞いてくれた。彼は勉強でパリに来ているらしく、自分の専攻している学問を話してくれたが全くわからなかった。とりあえず、笑顔で頷いて相槌を打ち続けた。それでも優しく話してくれた。そんな彼との会話を終え、自分がパリにいるという高揚感に浸っていた。夕暮れの街の中を簡単に散策しに行った。地図を見る限り、近くに誰もが知っている有名な建造物は少なく散歩程度に街は出た。ついでに夕飯も食べようと思っていた。

街は薄暗いがディナーの時間ということもあり明るく感じた。建物の細部にこだわりを感じた。今回泊まった地域は観光客向けの店も少なくないが、地元の人が通うお店も多数ある。街を見渡せば、時より日本語が目に入る。『江戸前寿司』『寿司蕎麦』日本の食文化がここまできていることに驚きつつもまだ日本食は恋しくなく、むしろパリっぽいものを食べたくて探し求めた。しかし、ここでの問題もやはり『言語』だ。お店のメニューらしきものを見ても読めたものじゃない。読めたとしても先に金額に目がいく。売店でもっとお手軽なものを食べようと思い探した。その結果、フランス風ホットドッグを見つけた。

チーズとバジルとトマトとハム。パリが詰まった一品だ。これで500円。高いのか安いのかよくわからないが、お腹はいっぱいになった。何より、店主が優しかった。英語で会話をした後にフランス語でお礼を言いたくなった。フランスにいるのにフランス語を話していないことに気がついたのだ。Googleを頼りに

『フランス語 美味しかった。ありがとう。』

検索した結果。『セテボンメルシー』と出てきた。カタカナ読みでこれが出てきたので、このまんまお店を出るときに「セテボンメルシー」と伝えた。店主のおじちゃんは笑って何か言ってくれたが聞き取れなかった。また、ここに来ようと思った。

その日は疲れもあり早めに寝ることにした。シャワーを浴びて髪を乾かし眠りに着いた。
長い長い1日が終わった気がした。これから先どうなるのか色々と考えつつも早々に眠りに着いたのだ。

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