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ことぶき
2023年10月15日 04:01
目が覚めたのは陽が射したからでなく、妻に身体の上に乗られていたからだということに気づくのにすこし時間がかかった。 妻は一昨年のクリスマスにやったショルダーバッグを肩にかけ、厚化粧をし、コートを羽織り薄いスカートも履いたまま、息も絶え絶えだった。まだ寝ぼけていたおれは抱きしめようとすると、頬を張られた。妻は涙ぐんでいて、娘が子ども用の椅子に座って卵をぐしゃぐしゃに潰したのを食べているのが見えた。