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変わった男性が称賛されて、変えたフェミニストが称賛されない、その非対称性について

※芸人のせやろがいおじさんがこの記事を、2021/02/12に公開した動画の中で紹介してくださいました!

社会問題を扱うYouTube動画で有名な芸人のせやろがいおじさん。毎回とても良い動画を作る方ですが、先日の『せやろがいは伊藤詩織さんを支持する。その理由を話す。』という動画も、とても良い内容でした。

とりわけ、伊藤詩織さんの件を機に社会の様々な面をアップデートしなければならないという時に、自分も例外ではないという例として、以下のような話をしていたことが、Twitterでもかなり高評価だったようです。

「ミソジニストだという批判をうけたんです」
「僕の中でもそれは非常に受け入れ難かったんですけど」
「やっぱ自分の中にそのミソジニーの考えあるやんってなって」
「これはもう更新していかなあかんなって思ったんですね」

言っていることは本当にその通りだと思いますし、皆がせやろがいおじさんのように価値観を更新できるようになったら良いなと思う反面、この動画が大絶賛されていることに対して、私は強いモヤモヤが残ったのでした。

◆フェミニストのほうがすごくないですか?

というのも、せやろがいおじさんがアップデートできたのは、しっかりと苦言を呈した人々がいるからなのに、私が見た限り、誰もその「功績」に触れていなかったからです。

世間で大きく称賛されるのは、その時点で既により新しいOSを搭載していて、彼に批判を加えて「アップデートさせた」人々(主にフェミニスト)ではなく、他人からの批判によって新しいOSに「アップデートした」せやろがいおじさんのほうです。

もちろんアップデートしたことは肯定すべきことです。ですが、最初からOSが最新版に近い状態で、その導入を他人にも促した人々はさほど称賛されずに、他人に言われてアップデートした人が称賛される状況は、私にはどう見てもバランスがおかしいように感じるのです。

◆名も無きフェミニストをより大きく称賛したい

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現代の新しい社会問題を「言語化」することを得意とし、ジェンダー、働き方、少子非婚化、教育、ネット心理等の分野を主に扱っています。社会がちょっとでも良くなることを願って、今後も発信に力を注いで行こうと思うので、是非サポート頂けると嬉しいです。