国際女性デーに男性が首を突っ込むのはやめようのコピー

国際女性デーに男性が首を突っ込むのはやめよう

3月8日の国際女性デーに合わせたメディア横断の企画『#メディアもつながる』が、一部で話題になっているようです。

普段から私がお世話になっているメディアも多く参加されているようで、気になって以下のメッセージカードを見たのですが、これはちょっとダメだろうと思いました。

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◆女性デーを女性から奪わないで欲しい

「誰もが性別に関係なく尊重され、自由に生きられるように」という目標自体には私も賛成です。ですが、それをなぜ女性の日である国際女性デーでわざわざやるのでしょうか? 

これに対しては、以下のツイートが実に秀逸に構造の問題を表していると思いました。365日のほとんどがメンズデーみたいな現状で、女性の日すらも奪うようなやり方は、「女性差別解消は男性の利益を抱き合わせなければ認めない!」的な従来のミソジニーと同じに見えてしまいます。

仮に「誰もが性別に関係なく」という企画にするのであれば、国際男性デーの11/19も併記するべきでしょう。国際男性デーでは「誰もが」って言わないのに、国際女性デーでは「誰もが」と言う。それって明らかに性に対して異なる不当な扱いをしていませんか?

「男性も含めた誰もが女性差別について考えよう」的な内容でもOKだとは思うのですが、どう見てもそうは読み取れず、3/8に尊重される対象として男性も入れ込んでしまっています。

◆男性の問題は国際男性デーでやるべきでは

また、ハフポストの竹下編集長のこの文章も、書いている内容は概ね正論だと思いますが、やはり「国際女性デー」のところだけがおかしい。つまり、TPOという意味で間違いだと思います。

だって、メディアで男性が支配的なことも、組織が多様でないことも、様々な価値観に寄り添うコンテンツが作れていないことも、全て男性中心社会が決めて来たことですから。

これを解決するには男性たちが自らの支配性や偏向性や排他性を悔い改めて、フェアな意思決定を行うことが必要であり、それは国際女性デーではなく、国際男性デーでやるべき内容ではないでしょうか? アンチ「toxic masculinity(男性の外見や性質について偏った規範を設定し、規範に沿わない行動や思想を排斥すること)」キャンペーンなら私も大賛成です。

もしくは、国際女性デーを受けて女性差別問題について男性たちが考え、国際男性デーで変わろうというアンチ「toxic masculinity」のアクションに繋げる、という流れなら国際女性デーを含む企画としても問題無いかと思うのですが、今のところそのような流れではないようです。

そんな折、友人の稲葉哲治さんより、こんなお誘いがありました。

これは素晴らしいアイデアです。現在日本の国際男性デーは、主に「男性優位社会や性別役割分業等から感じる男性の生きづらさの解消」に注目をするフェーズですが、そこから一歩進めて、ビジョンに向かって既存の社会を改革する「行動する男性たち」という”主体性”にスポットを当てることは、日本の国際男性デーにも加えるべき視点かと思います。

◆男性フェミはシスターフッドに首を突っ込むな

また、最近仲良くなった友人から、「フェミニズムを学ぶ会で、詳しい男性が、あまり知らない女性に対してフェミニズムの知識でマンスプレイニングしている事態が発生している」という話を聞きました。全然フェミニズムの根本を理解していないやんけ!!!と突っ込まざるを得ませんね。

一方で、「男性フェミニストは孤独だと言っている男性がいた」という話も聞きました。確かにホモソーシャルな男性コミュニティーは嫌、でもシスターフッドに入ることはできないとなると、孤独を感じるのも無理はありません。私のような孤独や疎外感を恐れないタイプの人間でなければ、ファーストペンギンになるのにハードルが高いのは事実かもしれません。

私は「フェミニスト」を名乗っているものの、シスターフッドに首を突っ込まないように、フェミニズム当事者運動からはある程度距離を取って、自ら孤独を続けています。呼んで頂けた時に行くことはありますが、基本的に自分からアプローチしません。シスターフッドを壊してはならないからです。

だからシスターフッドの連帯を祝うような国際女性デーも、あくまで支持・賛同・応援・協働の立場であり、自らガッツリ絡もうとはしません。男性は何でもかんでも女性のことに首を突っ込み過ぎですから、そのくらいの適度な距離感がちょうど良いと思います。

そんな私からすると、ダイバーシティやアンチtoxic masculinityという正論を掲げながら、国際女性デーに男性もドワッと入って行くことを推進するようなこの企画は、前述のフェミニズムマンスプレイニング君と何ら変わらないように見えてしまいます。

正論だからって、やって良い行動とやってはいけない行動があることを知って欲しい。TPOを考えて欲しい。男性がフェミニストになることと、シスターフッドに首を突っ込むことは全く異なるものであることを知って欲しいです。


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なお、ここから先の有料部分では、国際女性デーやフェミニズムをテーマにする際のメディアの連帯の在り方について提案する内容です。Twitterで書いたことをより深く掘り下げています。興味がある方は合わせてご覧いただきますと幸いです。

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現代の新しい社会問題を「言語化」することを得意とし、ジェンダー、働き方、少子非婚化、教育、ネット心理等の分野を主に扱っています。社会がちょっとでも良くなることを願って、今後も発信に力を注いで行こうと思うので、是非サポート頂けると嬉しいです。