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⑥ 活動を細かいステップに分解する(課題分析)

 複数の手順がある課題を教えるには、まずどのようなステップが含まれるのかを分析する必要があります。その方法を「課題分析:Task Analysis」と呼びます。
 例えば、「サトミさんは片付けできる?」と尋ねられたとき、「だいたいできるよ」「ちょっと支援がいるかなあ」等と曖昧な答えしかできず、なんとなく指導をしている場合があります。効果的な指導支援にするためには、何ができて、できないのか、どのような支援があればできるのかを把握する必要があります。

 「かばんに荷物を入れる」を課題分析してみます。
①棚にかばんを取りに行く
②かばんを机上に置く
③かばんのファスナーを開く
④水筒を取ってくる
⑤水筒をかばんに入れる
(他の荷物をいれる)
⑥かばんのファスナーを閉める   

 課題分析はできるだけだれが読んでもできる具体的な記述にすることがポイントです。ステップを書き出したら、同僚の先生に見せ、何の説明もしないでやってもらってチェックしてもらって確認するとよいです。

次は、できあがった課題分析をもとに子どもの実態を把握します。最初の指示だけを行い、行動を開始するのを待って評価します。評価は◎一人でできる、〇声掛け、指さしでできる△身体プロンプト(手を添えてできる)、×やらない、できない のように記号と基準を決めておくとチェックしやすくなります。

評価の結果、△や×がほとんどの場合は、その課題はまだ一人で取り組むにはハードルが高いと言えます。△と評価されたものの中からできそうだなと思うものを選んで目標にするとよいです。反対に◎や〇がほとんど場合は、必要なステップだけを指導し、できるところは見守り、できるだけ行動がつながるように支援していきます。

このように課題を細かくステップに分けて評価することで、子どもの実態を具体的に把握でき、効果的な指導に生かせるようになります。


<教室で使える「ちょこっと」スキル>

 マサトさんは「コップ洗い」の係を担当しています。前担任からは、「ほぼ一人でできるから」と大まかな実態しか説明されていませんでした。しかし、実際にやらせてみるとやろうとしなかったり、先生の方を見たりしてうまく進まなかったりすることが多いようです。そこで「コップ洗い」を課題分析して評価することにしました。ステップを記入し、各ステップの様子を評価をしてみましょう。

 <使用する道具・環境>
スポンジ、洗剤、コップ5個、かご、流し(水道の蛇口はひねるタイプ)



回答例

 課題分析をもとに評価をすると、マサトさんは、スポンジに洗剤をつけるときにどれくらい付けてよいかが判断できないようでした。そのため泡が多くなりそれで遊んでしまうことにつながっているようでした。そこで、スポンジに印を付けてそこに洗剤を一回付ける
ように指導しました。 



 次回は行動をつなげる「チェイニング」の技法を解説します。


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