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松田聖子;名演奏の歴史(デビュー初期③:夏の扉)

今回の夏の扉で、初期聖子のレビューは最後になります。演奏の評価方法についてはこの記事を参照。

夏の扉

#8 夏の扉①(曲目A、歌唱B、伴奏A、演出B)

改めて聴いたんですけど、実はめちゃくちゃ良い演奏ですね。聖子ちゃんの調子も万全とは言えないながらも、なかなか。次で紹介するひよこの夏の扉と比較すると、より重心の高いダイナミックな演奏だと思います。こちらが好きな人も多いかも。

聖子ちゃんに珍しく、前奏部でやたら振り付けがある。あと、1:38で「車が通り過ぎて(髪チョキチョキ)」1番の振り付けをもう1回やってしまったので、謎の振り付けに。

#9 夏の扉②(曲目A、歌唱A、伴奏S、演出A)

通称、ひよこの夏の扉。松田聖子の演奏史に残る名演。ブラスセクションのスピード感の揃い方が感動的。令和の音楽番組でこんなバンバン吹いたら、ミックスで音量下げられるし怒られて二度と呼ばれないでしょう。それに負けない聖子ちゃんの声量もすごい。歌唱もSに限りなく近いA。

巻きの指示が入ったのか、冒頭の速いテンポにブラスがついていけず遅れ気味になるが、慌てず歩調を合わせて少しずつ修正する技術が、まずすごい。素人の場合、焦って戻そうとしてバラバラになるものなので、この「4回目で合ってりゃいいんだろ」みたいな姿勢は見習いたい。それと、ピアノが陰ながら非常におしゃれなのも言っておきたい。

曲のイメージ通りイイ感じに日焼けした聖子ちゃんの動きも可愛く、観ていて楽しい名演。0:36のあざといスキップに始まり、1:43で指揮者の気合の入れようや、2:08の高難度ギターソロがミスっててもかっこよかったり、2:40のあざ吐息や3:10あたりからカメラの位置が分からなくなって苦笑いする聖子など、見所は尽きない。

#10 夏の扉③(曲目A、歌唱B、伴奏B、演出B)

通称、白うさぎの夏の扉。前回と一転、不本意になってしまった演奏。この動画の録音状態が悪いのを差し引いても前奏の精度が悪いし聖子ちゃんの喉の調子も非常に良くない。ウィスパーボイスな感じの歌唱で、それはそれで味があると言えなくもないが、苦しさは隠せずミキサーもバランス取りに苦労している。

正直、白うさぎ衣装の可愛さとギターソロの上手さ以外にはあまり見所は無い。また、この時点で既に、これからの低迷期の予兆が現れている。ここから苦しい低迷期が始まるわけだが、それはまた次回の話。

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