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松田聖子;名演奏の歴史(デビュー初期①:裸足の季節〜風は秋色)

前回の記事で、聖子ちゃんのデビューから現在までを概観しました。


評価方法について

いよいよ今回から、夜ヒットでの演奏についてレビューしていきたいと思います。あまり演奏に対して採点したりするのは好きではないのですが、視聴に際しての目安ということで、曲目・歌唱・伴奏・演出の3項目についてS・A・B・Cの4段階評価を行いたいと思います。

曲目:作詞・作曲・編曲について。
歌唱:聖子ちゃんの歌について。喉の調子が評価に占める割合が大きい。
伴奏:聖子ちゃん以外の音声部分について。夜ヒット向けのバンドアレンジもこの範囲。
演出:ビジュアル面について。舞台だけでなく、聖子ちゃんのメイク・髪型・衣装も含む。

僕の趣味趣向から、伴奏については自分なりに厳密な評価をするつもりです。ですがそれ以外は割とガバガバな評価になると思います。「意味わかんない演出だけど、聖子ちゃんが可愛いからA!」みたいな。

めったにS評価はしないつもり。1、2回出すくらいに収めたい。逆にC評価も、一応用意はしたけど出すことはないはず。それでは行ってみましょう。

『裸足の季節』

#1 裸足の季節(曲目B、歌唱A、伴奏B、演出B)

記念すべき、夜ヒットデビュー。聖子ちゃんのデビューシングルでもあります。最初なのであまり高評価をポンポン出したくなかったんですけど、初々しい緊張感もありながら、堂々たる歌唱です。A評価せざるを得ない。この曲は6,70年代の洋楽が下敷きになってるんだと予測していますが、その分、アレンジや伴奏もこなれてます。最後(2:12〜)、カメラがどアップし過ぎてピンぼけ気味になってるのがおもしろポイント。

しかしこの曲、尺短いなあ。たったの2分。レコード音源版でも、間奏ともう一回サビを追加で終わり。近頃の動画配信主体の音楽事情では、最初にサビを持ってきて全体の曲の長さも短い傾向があるそうですが、この時代の形式に戻りつつあるのかもしれませんね。青い珊瑚礁なんかは、もろにそういう形式だと思うので。

『青い珊瑚礁』が無い問題

ファンなら、さあ次は青い珊瑚礁、と思われたかもしれません。しかし、残念なことに夜のヒットスタジオで松田聖子は青い珊瑚礁を歌っていません(後年のメドレーなどは除く)。一番確かそうな理由としては、夜ヒットのスポンサーが森永製菓なので、ライバル会社のCMソングを歌うわけにはいかなかったという説です。

ならば、他の番組の動画を、とも思うのですが、僕の掘り方が甘いのか、まだレコード音源以上と言える演奏には巡り合えていないです。授賞式や初のランキング1位のような大きな舞台だと、まず間違いなく聖子ちゃんが途中で泣き出して、まともな演奏にならないんですよね(笑)。そうなるとコンサートライブの動画が良いのかもしれませんが、音響面の不利は否めない。

そういうわけで、演奏機会が多いはずの青い珊瑚礁の決定版の演奏は未発掘です。運命のいたずらとはいえ、夜ヒットで青い珊瑚礁が演奏されなかったことは実は大きな文化的損失だったんではないかと冗談半分、半分本気で思います。

『風は秋色』

#2 風は秋色①(曲目A、歌唱A、伴奏A、演出A)

先に言っておきますが、(前曲の『青い珊瑚礁』も含めて)『風は秋色』から『渚のバルコニー』までのシングルA面曲はすべて名曲(独断)なので、曲目についてはSまたはA評価しかつけません。

これは、まさに非の打ちどころのない名演。本当は歌唱と伴奏はSにしたかったのだが、ここでS付けちゃうとSだらけになっちゃうかもしれないので、限りなくSに近いAということでガマン。1番のサビ前(1:17〜)の歌詞間違えたからAってことで(適当)。

伴奏も、トランペット上手過ぎだろ……それぞれの場面で一番出て欲しい音がスパーンと出てくる。あとこれは夜ヒット全般に言えることなんですけど、ピアノが非常におしゃれなんですね。あまり目立たないパートですけど、夜ヒットの演奏はぜひピアノを傾聴していただきたいと思います。

スタジオセットも、紅葉にりんごがなっている謎の木が出演していますが、聖子ちゃんが可愛いのでA!

#3 風は秋色②(曲目A、歌唱A、伴奏B、演出B)

2番がカットされている。ワンハーフと呼ばれるらしい。進行上で巻きの指示が入ったのか、テンポが妙に速い。でも、それだったらなぜ前回より間奏の尺が長いのか……。風は秋色の衣装と言ったら、こっちが有名なんじゃないかという気がします。

冒頭からエレキギターの音が妙に強調されていて、リズムに乗りきれていないことも相まって後打ちでちょっと悪目立ち気味。

でも赤と緑の対比のビジュアルが映えるし、最後のサビの熱唱もパワフルなので、こちらが好きな人もいると思う。

#4 風は秋色③(曲目A、歌唱A、伴奏B、演出B)

風は秋色、名演奏多すぎんよ。パッと見、2回目と同じに見えるが実は違う演奏。オープニング明け、さらに間奏もカットした短縮バージョン。ニコ動のコメントで指摘されているように、伴奏が最初少しバタバタしていて、聖子ちゃんともアンサンブルが合ってないように思う。

しかし、この演奏は以前の2回以上に色気と言いますか、表現しようとする姿勢が歌唱伴奏ともに随所に見られるので、やり過ぎと紙一重ですが好きな人は好きなはず。聖子ちゃんの曲の最高音は大抵C(高いド)なのですが、この曲は例外的にCis(高いドより半音上のド#)。喉の調子が良ければ、この回のように最後の転調での高揚感がすごい。

それと、髪型のせいかハートのイヤリングの効果か、この回の聖子ちゃんめっちゃ可愛い。引いた絵でのシルエットが完璧。最後はカメラもいい画が撮れて興奮したのか、変な揺れ方をするので、画面酔いしそうになる。

初期の演奏は書きたいことが多く、結構長くなってしまったので、今回はこのくらいにして、デビュー初期は2回に分けたいと思います。次回はチェリーブラッサムと夏の扉です。

初期の演奏は書きたいことが多く、結構長くなってしまったので、今回はこのくらいにして、デビュー初期は2回に分けたいと思います。次回はチェリーブラッサムと夏の扉です。

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