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人事のためのキャリアコンサル_007:人事が若いうちに積んでおくべき経験は?

「人事のためのキャリアコンサル」とは、"人事"プロフェッショナルの方々のキャリア支援を目的に、架空の人事経験者のプロフィールを元に、「もし私だったらこんなアドバイスをする」をまとめたコンテンツです。

キャリアサマリ

  • 26歳、男性

  • 新卒から1社経験

  • 現職は新卒採用→中途採用担当

  • 現年収450万円、希望年収450万円以上

課題

  • 人事としてキャリアアップをしていくために、若いうちに積んでおくべき経験は?

キャリアアドバイス

私の経験としては、前職から現在までで6年以上、人事の方を専門とした人材紹介業をやり、20代の人事キャリアをスタートしたばかりの方から、50代のキャリア後期の人事プロフェッショナルの方まで、幅広い方々からお話を聞かせていただきました。

今までお会いした30代後半〜で人事として”強い”方は、以下のいずれかの経験をされていることが多かったです。

(1) 20代でカオス環境で人事をやっていた
(2) 20代のうちに労務をやっていた
(3) 人事よりも前のキャリアで事業立ち上げや運営をやっていた

まずは、私が思う"強い"の定義は、「経営/事業のゴールを達成するために、人事に関連する多様な課題の解決施策を、企画から運用まですべてできる」です。採用に強い、労務に強い、育成に強いなど、強みの濃淡はあれど、状況に応じて人事業務のすべてをカバーできる人を"強い"と定義しています。

それぞれ、なぜ"強い"人事へと繋がるのかを考察してみます。

(1) 20代でカオス環境で人事をやっていた

  • 会社が立ち上がったばかりで人事がおらず、ほぼ何も整備されていない

  • 急激な事業成長により、大量採用、拠点立ち上げ、制度構築などの業務が多発している

  • 業績不振により、リストラ、拠点クローズ、労務トラブルなどの業務が多発している

  • 経営方針がコロコロ変わる など

安定した環境、かつ、経験豊富な人事がいる環境で人事業務に携わっていると、若手人事が任される仕事は比較的下流の仕事で、着実に経験を積みながらキャリアアップしていくことが一般的です。しかし、上記のような環境で働いている人は、一般的に若手の人事の方がカバーすする領域を飛び越えて、ストレッチゾーン(時にはパニックゾーン)の業務をせざるを得ない状況で、若いうちから幅広い人事経験を積むことができます。

渦中にいる方はかなりの負荷を感じているとは思いますが、「新しいチャレンジをしたい」と言う理由で転職を希望する若手人事の方々から見ると、とても貴重な環境です。早い段階から、人事業務を幅広く、かつ、深いところまで経験してきているため、人事として”強く”なっていくのだと思います。

(2) 20代のうちに労務をやっていた

なぜ「労務」が重要かと言えば、そもそも労務経験や知識がなければ、人事の仕事のうちの6割くらいはできないからです。例えば、人事規定作成/改訂、給与計算、社会保険手続き、福利厚生、組合対応、退職勧奨などです。
また、採用、評価、異動、育成、組織開発など、それ以外の人事の仕事でも、労務の仕事で重要な法律知識が抜けてるとリスクを回避できないので、”強い”人事とは言い難いです。

もちろん採用業務などからキャリアをスタートさせ、その後に労務業務を経験することもありますが、人事の根幹となる「労務(≒法律知識)」を早いうちに身につけているかどうかで、後々の人事業務の幅の広がり方が変わってくるように思います。

(3) 人事よりも前のキャリアで事業立ち上げや運営をやっていた

上述の"強い"人事の定義の中の「経営/事業のゴールを達成するために・・・」で記載の通り、人事はあくまでも「経営/事業」のために存在しています。人事の仕事を続けていると「従業員に寄り添う」「手続きを完璧に遂行する」「トラブルを解決する」などが目的になってしまい、「経営/事業のゴールを達成するため」が抜け落ちてしまう可能性があります。

若手のうちに事業の立ち上げや運営に携わってきた人は、そもそものマインドセットが「経営/事業」のために置かれていることが多く、途中で人事(または他の職種)にキャリアチェンジをしても、すべての業務が「経営/事業」に繋がっていることを、意識的/無意識的に仕事に取り組めるように思います。

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もし上記に近い経験が現職でできる見込みがあるのであれば、すぐに転職はしない方が良いです。なぜならば、転職(中途入社)は「経験者採用」が前提となるため、「新しいチャレンジがしたい」という理由で転職活動すると未経験扱いになり、転職難易度が高くなります。まずは、今の会社で経験の幅を広げていける可能性がないかを探ることをお勧めします。

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