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9月に読んだ本の話




▼9月に読んだ本

①オーダーメイド殺人クラブ(辻村深月)
②晴天の迷いクジラ(窪美澄)
③##NAME# (児玉雨子)
④星のように離れて雨のように散った(島本理生)
⑤i(西加奈子)
⑥君たちはどう生きるか(吉野源三郎)
⑦さよなら、ニルヴァーナ(窪美澄)
⑧神去なあなあ日常(三浦しをん)
⑨傲慢と善良(辻村深月)
⑩時をかけるゆとり(朝井リョウ)
⑪総理の夫(原田マハ)
⑫百年の子(古内一絵)


 9月の半ばごろ、ようやく朝吹く風が秋らしくなったかなあと思っていたところ、月も終わりになって秋の涼しさを感じられるようになって嬉しい最近。2023年の夏酷暑との終わりの見えない戦いにようやく終止符が打たれると思うと、「私…よくぞ生き延びた……」という気持ち。逃げ場のない暑さに気力も体力も持って行かれて、何のやる気も起こせなくなり、本を読む気にもなれないな…とか料理する気になれないな…と生気を奪われて本当に何もしないで生きてる時間がかなり長かった。加えて9月はこの3.4年の禍の中で初めて流行のアレにかかってしまい、「生きるエネルギーが……足りない……」と呻きながら、もはや低空飛行というレベルではなく地べたを這いながら生き延びていた感覚。最近になってやっと「秋だ!」を感じられた瞬間、久しぶりに自炊するか〜と思ったり、読みたい本がポンポン出てきたりしたので、酷暑は最大の敵。コンビニ買い食いもしくは「レンチン冷凍うどん〜生卵を乗せて釜玉風〜」みたいなものばかり食べていたこの夏だったので、久々に自炊して、手作りが一番うまい!!の気持ちを取り戻せたのは嬉しい収穫だった。秋だけにね。


 前置きが長くなりすぎた。月末最終営業日を前にこのまとめを書いていると、あと1日!!乗り越えるぞ!!のパワーを感じるようになったので、今月もちょっと早いですがまとめです。

 『オーダーメイド殺人クラブ』と『傲慢と善良』と辻村さん作品の積読をまた2つ減らしてしまった〜好きすぎる辻村さんの作品を全て読み終わってしまうのが惜しくて積んだままにしている。いや好きなら読めよって話なんですけど。謎の貧乏性。どの作品を読んでも「なんでこの人わたしの気持ちがこんなにわかるんだろう…!!?」とゾクゾクしちゃうくらいの解像度。『傲慢と善良』はアラサー独身の自分には精神的にかなりくるところもあったけど、同時に理解者を得たような嬉しさもあって、結論読んでよかったな。


 最近になって私の中で好き度を高めているのが窪美澄さん。かなり辛い環境に置かれている人たちを描かれていることが多いように思うけど、一緒にしんどくなりながら、どうしても読み進める手を止められなくなっちゃう。『晴天の迷いクジラ』、どうしようもない人生それでも生きようと静かに背中を押されている気がして、生気を失っていた9月の私にかなり沁みるものがあった。人生と酷暑を一緒にするなという話ですが。心をじわじわと抉り取られるような感覚が辛くもあり、読んでいて面白くもあり、自分の中の新たな嗜好に気付きつつもある気がする読書体験。

 西加奈子さんの『i』は懐に携えてお守りみたいにしたい本だな〜とおもった。時々漫画とかアニメとかである、相手に撃たれたと思ったけど無傷だった自分が、「こいつが…俺を助けてくれたんだ……」とスッと胸元からこの本を出してきたいような気持ちになる作品だった(あまりにもわかりづらい例え)。時々読み返して、背筋を正されたくなる本。別で今回、友人方との共読本として『君たちはどう生きるか』を読み、生きることとか今一度自分の中の道徳を問われるような気持ちになる作品たちとの出会いだった。


 しんどさ極まれり…の月末近くになって朝井リョウさんのエッセイに手を出す。年頃の昔は箸が転んだだけで笑い転げていたのに、最近なんだか笑わなくなったな…としおしおしてきたので、面白いと話題のゆとりエッセイを読んでみたくなった。本業の作家様相手に何を言うてんねんを言うと面白さと悔しさの交々だった。視点と語彙力、文章で誰かをこんなふうに笑わせること、私もしたい。毎月その意味も込めてここで文章を書きためていたはずであるが、一向に向上しない文章力と語彙力にはさすがにトホホのお気持ちです。


 暑さだけじゃなくて、応援していたアイドルの世界が外からの力によってグラグラと揺らされて、世の中の理不尽さの煮凝りみたいなものを全身に浴びせられていたという意味でもかなり苦しかった9月。いつ何時も大好きな人たちが健やかで幸せでいてくれることを願いながら、私自身も寄りかかりすぎずに生きられる新しい趣味を見つけたいなと思う今日この頃。そういえば夏の間気付かぬうちにメッシュスニーカーに穴が空いていたらしいので、取り急ぎ生気を取り戻した今週はスニーカーを買いに行こう。

それではまた来月お会いしましょう。
おやすみなさい〜



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