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2023年に読んだ165冊


 2023年、ついに仕事納まった〜!!!お疲れ様でした!!!つかれた!!!(素直)今年も毎日ちゃんと決まった時間に起き毎日出社して淡々と働いただけ偉かった。今年もまだ数日はありますが、お休み期間は帰省して掃除させられてポケモンしてあつ森して日本一怠惰な生活を送る予定なので、業務を締め括った気持ちと共に、今年の読書生活を振り返りたいと思います。

 年始から突然始まった読書熱は、若干の上下をしながら12月になった今も継続中。本当にずっと読んでいて、アンタ本読む以外のことできんのか?人間それでええんか?って感じだったけど、今年の私はあまりにもしんどすぎる外側の現実に、読書を持って自分を生かしていられたと思うので、多分必要な時間だったとポジティブにとらえておく。ネガティブに考えすぎてしまうのは私の悪い癖なんだけど、こねこねと脳みその隅々まで思考したのち、耐えきれずアウトプットしたいタイプのオタクなので、読書してnoteに記録すると言うのは絶好の趣味だったかもしれない。この先何年も、もしかしたら人生のうちずっと、折に触れて読み返したいと思えるような本に出会えたことは宝物だったと思います。意識的な習慣づけのために毎月毎月noteに読んだ本を記録できたのも良かったです。今後は律儀にメモしていかなくても普通に本を手に取れそう。

1年で良く育った本棚、背表紙を眺める悦


 そんなわけで毎月記録しているんだから今更今年読んだ本を全て羅列する必要は一切ないんですが、今年一年の達成感を味わいたいがためだけに並べさせていただきます。ええ、すみませんが自己満足です。


▼2023年読んだ本リスト

1.あの絵の前で(原田マハ)

2.四十九日のレシピ(伊吹有喜)

3.カンパニー(伊吹有喜)

4.ひそやかな花園(角田光代)

5.川のほとりに立つものは(寺地はるな)

6.ライオンのおやつ(小川糸)

7.優しい音楽(瀬尾まいこ)

8.平凡(角田光代)

9.カレーの時間(寺地はるな)

10.雨夜の星たち(寺地はるな)

11.犬がいた季節(伊吹有喜)

12.ほたるいしマジカルランド(寺地はるな)

13.本日は大安なり(辻村深月)

14.雲を紡ぐ(伊吹有喜)

15.噛み合わない会話とある過去について(辻村深月)

16.蜜蜂と遠雷(上)(恩田陸)

17.蜜蜂と遠雷(下)(恩田陸)

18.祝祭と予感(恩田陸)

19.グランドシャトー(高殿円)

20.月まで三キロ(伊予原新)

21.ブラザーズブラジャー(佐原ひかり)

22.ひと(小野寺史宜)

23.白ゆき紅ばら(寺地はるな)

24.コスメの王様(高殿円)

25.八月の銀の雪(伊予原新)

26.オオルリ流星群(伊予原新)

27.人間みたいに生きている(佐原ひかり)

28.カーテンコール!(加納朋子)

29.あしたの朝子(山口恵以子)

30.水を縫う(寺地はるな)

31.彼女が天使でなくなる日(寺地はるな)

32.ひとりでカラカサさしてゆく(江國香織)

33.常設展示室(原田マハ)

34.タイムマシンに乗れないぼくたち(寺地はるな)

35.月のぶどう(寺地はるな)

36.空にピース(藤岡陽子)

37.出会いなおし(森絵都)

38.正しい愛と理想の息子(寺地はるな)

39.凍りのくじら(辻村深月)

40.太陽の坐る場所(辻村深月)

41.お探し物は図書館まで(青山美智子)

42.ガラスの海を渡る舟(寺地はるな)

43.BAR追分(伊吹有喜)

44.風に舞い上がるビニールシート(森絵都)

45.僕のメジャースプーン(辻村深月)

46.ツナグ(辻村深月)

47.冷たい校舎の時は止まる(上)(辻村深月)

48.冷たい校舎の時は止まる(下)(辻村深月)

49.わたしの良い子(寺地はるな)

50.ロードムービー(辻村深月)

51.マリアビートル(伊坂幸太郎)

52.スロウハイツの神様(上)(辻村深月)

53.スロウハイツの神様(下)(辻村深月)

54.子どもたちは夜と遊ぶ(上)(辻村深月)

55.子どもたちは夜と遊ぶ(下)(辻村深月)

56.名前探しの放課後(上)(辻村深月)

57.名前探しの放課後(下)(辻村深月)

58.あのころ(さくらももこ)

59.スター(朝井リョウ)

60.V.T.R (辻村深月)

61.そういうふうにできている(さくらももこ)

62.愛なき世界(上)(三浦しをん)

63.愛なき世界(下)(三浦しをん)

64.ももこの話(さくらももこ)

65.ドラえもんのび太の月面探査記(辻村深月)

66.青空と逃げる(辻村深月)

67.ひとりずもう(さくらももこ)
68.成瀬は天下を取りに行く(宮島未奈)

69.あの家に暮らす4人の女(三浦しをん)

70.光待つ場所へ(辻村深月)

71.クローゼット(千早茜)

72.夜のピクニック(恩田陸)

73.今だけのあの子(芦沢央)

74.まなの本棚(芦田愛菜)

75.ふがいない僕は空を見た(窪美澄)

76.十六夜荘ノート(古内一絵)

77.ブロードキャスト(湊かなえ)

78.島はぼくらと(辻村深月)

79.砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない(桜庭一樹)

80.クローズドサスペンスヘブン(五条紀夫)

81.武道館(朝井リョウ)

82.世界でいちば透きとおった物語(杉井光)

83.52ヘルツのクジラたち(町田そのこ)

84.いつかパラソルの下で(森絵都)

85.サクラ咲く(辻村深月)

86.今日のハチミツ、あしたの私(寺地はるな)

87.ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ(辻村深月)

88.君たちは今が世界(朝比奈あすか)

89.ミッドナイトバス(伊吹有喜)

90.この夏の星を見る(辻村深月)

91.琥珀の夏(辻村深月)

92.ぎょらん(町田そのこ)

93.透明な夜の香り(千早茜)

94.モモ(ミヒャエル・エンデ)

95.少女七竈と可愛そうな七人の大人(桜庭一樹)

96.推定少女(桜庭一樹)

97.朝が来る(辻村深月)

98.汝、星のごとく(凪良ゆう)

99.そして、バトンは渡された(瀬尾まいこ)

100.宙ごはん(町田そのこ)
101.宇宙のみなしご(森絵都)
102.くるまの娘(宇佐美りん)
103.星を掬う(町田そのこ)
104.さくらえび(さくらももこ)
105.夜空に浮かぶかけた月たち(窪美澄)
106.昨日星を探した言い訳(河野裕)
107.六人の嘘つきな大学生(浅倉秋成)
108.青の炎(貴志祐介)
109.水やりはいつも深夜だけど(窪美澄)
110.ファーストラヴ(島本理生)
111.わたしたちに翼はいらない(寺地はるな)
112.八月の銀の雪(伊予原新)
113.ナナメの夕暮れ(若林正恭)
114.本と鍵の季節(米澤穂信)
115.月の立つ林で(青山美智子)
116.オーダーメイド殺人クラブ(辻村深月)
117.晴天の迷いクジラ(窪美澄)
118.##NAME##(児玉雨子)
119.星のように離れて雨のように散った(島本理生)
120.i(西加奈子)
121.君たちはどう生きるか
122.さよなら、ニルヴァーナ(窪美澄)
123.神去なあなあ日常(三浦しをん)
124.傲慢と善良(辻村深月)
125.時をかけるゆとり(朝井リョウ)
126.総理の夫(原田マハ)
127.百年の子(古内一絵)
128.希望が死んだ夜に(天祢涼)
129.自転しながら公転する(山本文緒)
130.夜に星を放つ(窪美澄)
131.シティマラソンズ(アンソロジー)
132.永遠。(村山由佳)
133.誰も知らないちいさな国(佐藤さとる)
134.しゃぼん玉(乃南アサ)
135.ままならないから私とあなた(朝井リョウ)
136.自画像(朝比奈あすか)
137.風と共にゆとりぬ(朝井リョウ)
138.あなたは誰かの大切な人(原田マハ)
139.アニバーサリー(窪美澄)
140.ルミネッセンス(窪美澄)
141.少女は卒業しない(朝井リョウ)
142.ぼくのメジャースプーン(辻村深月)
143.スモールワールズ(一穂ミチ)
144.もういちど生まれる(朝井リョウ)
145.嘘つきジェンガ(辻村深月)
146.ファミリーポートレイト(桜庭一樹)
147.冷たい校舎の時は止まる上(辻村深月)
148.冷たい校舎の時は止まる下(辻村深月)
149.ラブカは静かに弓を撃つ(安壇美緒)
150.正欲(朝井リョウ)
151.盲目的な恋と友情(辻村深月)
152.そして誰もゆとらなくなった(朝井リョウ)
153.八日目の蝉(角田光代)
154.ヨルノヒカリ(畑野智美)
155.ハケンアニメ!(辻村深月)
156.おまじない(西加奈子)
157.何者(朝井リョウ)
158.何様(朝井リョウ)
159.銀の夜(角田光代)
160.おまえなんかに会いたくない(乾ルカ)
161.凍りのくじら(辻村深月)
162.X'mas stories(アンソロジー)
163.対岸の彼女(角田光代)
164.星々の舟(村山由佳)
165.ストーリー・セラー(有川浩)


 改めて並べてみると自分でも結構気が狂った冊数だなってかんじはしますね。一応安心して欲しいですが毎日ちゃんとフルタイムで8時間労働してます。行き帰りの通勤電車の中、昼休憩の時間、寝る前の小一時間、iPhoneではなく本を取り出せるようになったのも大きな成果。没入してる間は俗世のあれこれを忘れていられる時間で、思い出す確かにと2023年は正直くらいニュースが多かったわよね…なんて思ってしまいます。


 出会った本それぞれにいろんな面白さがあったけれど、今年特に心に残った本ベスト7を紹介してみようかな〜と思います。お前様がどのツラ下げてどの分際でベスト7なんてきめとんねん!というヤジが飛んできそうではありますが…読んでくださった貴方が1ミリでも本を手取るきっかけになってくれればと思います。(誰?)ベスト7と言いながら順不同です。順位なんかつけてんじゃねえよ!!と言う気持ちは、この冬どハマりしたアイドルオーディション番組で痛いほど感じましたので。平和にいきましょう。


①『凍りのくじら』(辻村深月)

 私はこの物語の主人公・芦沢理帆子が抱いている「どこにいても少し不在」という感覚が好きで勝手ながらとてもわかるような気がしている。身内といても友達と居ても誰といても、今ここに肉体を持っている自分の後ろで別の自分がずっと俯瞰しているような感覚。リアルタイムで誰かと会話しながら、かたやその後ろにいる自分があれやこれやと考えて気持ちを捏ねて捏ねていて、もっと単純な自分がいてくれたらどれだけ楽だろうなあと思ってしまう。私って結構薄情なのかもなあと苦笑いしてしまうと同時に、踏み込む勇気がないだけの臆病者なんだよなあと思っている。そんな自分と理帆子をなんとなく重ねながら、しんどいな〜と思う箇所もありますが、分厚さを感じさせない面白さで一気読み。ラストは号泣。

 いや〜ほんとにね、今年は辻村深月オブザイヤーでした。文頭の「いや〜」と「イヤー」がかかったのはわざとじゃなくて偶然ですよ。以前に読んだ『かがみの孤城』がとても良かった記憶に引っ張られて手に取った作品たちが、あまりに面白くて大好きになってしまいました。今まで自分自身の心を柔らかくしてくれたり背中を押してくれたりするような本を読む傾向が強かったんだけど、ちょっとしたファンタジーも重苦しいテーマも面白いと思えることを知ったのは辻村さんの作品がきっかけだったかもとおもう。
 以前にnoteした『冷たい校舎の時は止まる』も選び難く大好きだし、『スロウハイツの神様』もティッシュ一箱分くらい泣きながら読んだ。作品ごとの登場人物の繋がりがあるのも相まって、実体を持つかのように、出てくる人たちに情を移してしまうくらい気持ちを持ってかれちゃうんだよね〜。中学生や高校生の頃の、ちょっとしたことが世界の全てみたいに錯覚する感覚が手に取るように蘇ってきます。各位はご存知の通りどれもこれも周りに勧めたすぎて、小煩い辻村深月オタクと成り果てている最近の始末。本当にすみません。今後ともよろしくお願いします。

②『月のぶどう』(寺地はるな)

 肩に力が入り過ぎている時、自分で自分の首を絞め過ぎて息がしづらくなっている時、内省と自己嫌悪が行き過ぎてどうしようもなく落ち込んでしまう時、なんだか心が曲がってしまいそうな時、自分の中の正義を信じられなくなりそうになった時、寺地さんの作品たちは、澱みから掬い上げてくれるような優しさと暖かさと、そしてポンと背中を叩いてくれるような強さがあると思っていて以前からとても好きで。
 『月のぶどう』は、双子の歩と光実が祖父のワイナリーを継ぐところから話は始まるんだけど、真面目で一生懸命な光実に対して、後ろ向きな歩は周囲と関わることでだんだんと変わっていく。歩の「自分の仕事を天職だと思ったことはないけど、だからと言って適当にやっていいということではない」という言葉に、いや〜な世の中に辟易した時、たびたび勇気をもらって、背筋を伸ばされる思いがしています。
 詳しいこと言うとネタバレになっちゃうんだけど、光実と歩の親友・広田もま〜いい奴で最高!最高広田!結婚して広田!最後祖父が広田に宛てた手紙が良すぎる。働くことだけじゃなくて色んなことに躓きそうだなと思う時、助け舟になってくれるような作品。日々お疲れの貴方に勧めたいです!


③『対岸の彼女』(角田光代)

 高校生だか大学生の頃に読書へのモチベが上がって、じゃあ有名そうな作品だし読むか〜と思って手に取った気がするこの作品。当時は数ページ読んで挫折した気がしたんだけど、アラサーになった今読むと沁み入るものがあり、何も変わっていないつもりでも、年齢を重ねるって不思議ね~という気持ちになった。
 30半ばの子持ち主婦小夜子と、同い年で独身で小さな会社を奔放に経営している葵。現在の2人と、葵の過去を振り返りながら物語は進んでいくんだけど、35歳の2人の現在と、高校生だった葵の時代の対比もだし、高校時代描写の鮮度と瑞々しさと痛々しさと言ったら…。かたや主婦、かたや独身の2人は同い年でもうまくいくようでうまくいかなくて、でも葵が「ひとりでいるのが怖くなるようなたくさんの友達よりも、ひとりでいてもこわくないと思わせてくれる何かと出会うことの方が、うんと大事な気が、今になってするんだよね」と小夜子にいったことは刺さった。未婚だから既婚者だからとかとは別の次元で、人間1人で生きる力って大事よね、なんてしみじみ考えちゃう。

 これまで読了した角田さんの作品はたぶん2005年以前くらいが背景のものが多かったんだけど、今の私が抱えるアラサーのこの悩みとか葛藤って、時代が変わっても変わらずにあって色褪せないものなんだなあと不思議な気分になるくらい、わかるな〜〜って思うところ多。こんなふうな澱みを抱えて生きているのは、世の中私だけじゃないんだなって気持ちになれます。
『八日目の蝉』については読了後映画まで一石二鳥で楽しませていただきました。ありがとうございました。永作博美さんっていつの時代もなぜ色褪せず可愛いんだろう。角田さんは「メニュー」を「メニュウ」と書く人らしい、なんだかオシャレだなと思った(小並)(6歳の感想)(書評書いてる場合じゃない)

④『さよなら、ニルヴァーナ』(窪美澄)

 何で存在を知ったのか忘れてしまったけど、2023年は初めて窪さんの作品を読み、そしてハマった一年。ツイッターで『ふがいない僕は空を見た』について「面白いけどなかなか衝撃的な性的描写!」みたいな書評をみて、ほうほう…と私の中のスケベ小学生男児の心が鼻の下を伸ばしてしまったせいだった気がするけど、大変最低な下心で読み始めてしまいスライディング土下座の勢いです。
 窪さんの作品は『夜空に浮かぶかけた星たち』みたいな暖かくて優しい物語がある一方で、全然救いがなくて苦しいのに、何故か読む手を止められない…みたいな作品がいくつかあって、こちらは正味後者。実際に起きた少年犯罪をモチーフに、殺人を犯した少年Aと、被害者の女児の母親、少年Aのファンの少女と、その事件を追う記者の物語。少年Aの過去の描写とか、残された被害者家族がだんだんと崩壊していくのとか、本当にずっと苦虫噛んだような顔で読んでた。しんどいとかいうレベル超えて、ずっと抉られてる。ある意味で「グロいしエグい」っていう感覚が1番当てはまるかもしれない。
 私はモチーフになった事件のことをうっすらとしか知らないから、正直実際色んな意見はあるみたいなんだけど、この物語に対する拒絶反応はあまりなくて、単純に作品として楽しみました。
 どこまでもこの重さに沈みのめり込み没入したい人がいたらおすすめです。わたしはすきです。ほか、直木賞を受賞された『夜に星を放つ』も『ルミネッセンス』も『晴天の迷いクジラ』も読んだ本全部素敵だった。重いけど、なんかその重さを抱えているのが謎に心地いいみたいなターンがある、気がするよね。


⑤『i』(西加奈子)

 アメリカ人の父と日本人の母の間に養子として迎えられたシリア生まれのアイのお話。数学の授業で"i"(アイ)と言う虚数が存在しないものであると教えられたことと、複雑な出自を持つ"アイ"がそこに存在することへの対比を軸に物語が進んでいく。自分が"選ばれたもの"として平穏で裕福な生活を送る傍ら、「もし自分が選ばれなかったら…」といった考えをずっと頭の中で捏ねているようなところには共感してしまった。自分の周りや世界で起こる様々なことに頭を使い胸を痛めながら、果たして自分がこの世に存在するに足る人間なのか、自分のアイデンティティとはどこにあるんだろうと思い悩むアイ。何がどうということをうまく言葉にできないんだけど、難しいテーマに対してすごく読みやすい文章で、スッと胸に落ちてくる。捻じ曲がりそうになった時、お守りみたいに胸に抱えていたい作品だなと素直に思えて、ベストセブン入り。


⑥『希望が死んだ夜に』天祢涼

 たまたまTwitterで書評を読んで気になったところを購入。こういう衝動みたいなもので本を買って「ハマったな〜」と思える時の感覚がたまらなくてやめられなくもあったりする。

 中学2年生の女の子が同級生を殺害した、女の子は自分の犯行について一切口を割ろうとしない。女の子が置かれている環境も、口を割らなかった理由も背景も、読んでいくうちに少しずつ明らかになっていくんだけど、あまりにも切なくてどうしようもないのよ。何を言ってもネタバレになりそうなので、とにかく読んでみてとしか言えないんだけど。読み終わった後もこんなにもやるせないようなどうしようもない気持ちに沈むとは思わなかった。主人公の女の子が若くてこの先の人生があることが、果たして救いなのか地獄なのかも判断できない難しい問い突きつけられていたと思う。とにかくみんな幸せに生きてくれ〜〜と祈るしかできなかった。あまりにも、あまりにも切ないラストです。それしか言えなくてすみませんが、しんどいとか切ないとか重たいとか本当に私そんなものばっかり読んでるな。。もっと幸せになろうよ…

⑦『少女は卒業しない』朝井リョウ

 この瑞々しさなんなのよコレェ!ってシンデレラの意地悪姉様みたいな顔になった。この前に朝井さんの抱腹絶倒エッセイを読んだばかりだったので、この方、ご自身のエッセイで自分のお腹の話と肛門の話ばかりしてる(これらのエッセイはそれはそれでめちゃめちゃ面白い)のに、こんなのも書けるし『正欲』みたいなのもかけるし、もちろんそのどれもコレもが面白くて、ほんとに、「何者」なの〜〜〜!?って地団駄踏んだ。(上手いこと言ったと思ってドヤ顔すな)好きな人の汗すら美しい!みたいなキラッキラの時期の短編がぎゅっと詰まっていて、あまりの儚さと切なさに何度か泣いてしまった。シンデレラの靴が脱げて魔法が解けたように、アラサーの私はどんなに願ってもあの頃には戻れないんだよね〜、寂し。
 『正欲』『スター』『ままならないから〜』では二律背反というか二局対立というか相反する思想をもってバカデカ問題提起をしたまま去っていかれてしまい何度苦しめられたか…(褒めてる)自分の価値観って結局何を元に作られてて、自分軸って果たしてなにで、自分の意見や思想ってどこからきてて、それこそアイデンティティ探しの連続で、自分ってどこにいるんでしょうね?とぐるんぐるん考えちゃった。世の中に対しても同じく。「多様性」はマジョリティ側のエゴ、ということを胸に刻みながら生きていきたい。ただそれによって考えすぎるが故に動けなくなってしまう自分も多分少なからずいるのよね。でも………とまた勝手に一生答えの出ない1人押し問答を始めてしまうのでこの辺で終わりにします。



 改めまして2023年ありがとうございました。日々目まぐるしく変わっていく世界の速度に、自分自身が追いついていかないことに時に落ち込んだりもしたけれど、読書の日々も、日々積み上げてきたものも、いいも悪いもちゃんと糧だったと信じて、2024年も変わらず自分らしくいけたらいいな〜と思います。読書を通じて、友人各位と共読会をさせていただいたり、ディベートスペースをしたり、ブックホテルに泊まったり、クリスマス本交換をしたり、新たな広がりのあった一年でもありました。充実充実。

 新年一発目は学生時代ぶりに三浦しをんさんの『風が強く吹いている』再読から始めようかな、箱根駅伝の季節なのでね。ちなみに2023年は人生の糧と同時に脂肪も見事に蓄えましたので、来年は読書もぼちぼちと継続しながら、どうにか運動習慣を取り戻したい所存です。よろしくお願いします。

 それでは長い間お付き合いくださりありがとうございました!大変大変おつかれさまでした!皆様も良き年をお迎えください!またね!

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