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12. 身近でわかりやすくおバカな

ふたたび2015年1月30日土曜日午後。
東京茅場町にあるco−ワーキングスペース「co-Edo」さんhttps://www.coworking.tokyo.jp/にて、ぼくらは不安たらたらながら、リーマンサット・プロジェクト(仮) KICK OFF MEETINGに臨んでいた。

幸いにして、心広き方々に恵まれ、とりたてて弾劾などされることなくプロジェクト側も参加者側も自己紹介等々を終え、次の段階に移ることとなった。

当時のぼくらの課題はどんな人工衛星を作るか、つまりはミッションの策定だった。これについてもいろいろ意見を聞くことが今日の目的の一つだったけれど、いきなりみんなでそれを話し合うのはハードルが高そうなので、事前にぼくら5人でそれぞれ知恵を持ち寄り、考えてきたミッションを発表してみた。

それらについては以下の通り。
・思い出SAT 黒歴史を流れ星に
出せなかったラブレターやら、捨てられない元カレ元カノとの思い出、やんちゃしていた時の写真、誰にも見せられない日記など、黒歴史を衛星に積み込んで最終的に流れ星になって頂く、というもの。

・稟議書SAT
「年収を三倍にしろ」「上司をぼくの部下にしろ」「受付嬢をぼくの嫁にしろ」など、現実にはまず叶わないであろう要求を衛星に載せ、地球軌道上で稟議を(物理的に)回してみる、という試み。

・宇宙人の主張
「会社辞めたい!」「上司マジくたばれ!」「もっと優しくしろ嫁!」「好きだーーーー!」など、普段言いたくても言えないことを衛星から地球に向けて発信する。過去にあった学校の屋上から日頃の思いをぶちまけるという某TV番組から着想を得ている。

・ノベルSAT
衛星から連載小説を配信する試み。誰が書くのか、どんな話にするのか、などは現段階で全く考えていない。

・おみくじSAT
打ち上げた衛星に向けて信号を送ると、衛星からおみくじ(本日の運勢など)が返ってくるという試み。

・Time Capsule Sat  3年後のあなた、もしくは大事な人へ
これは二段階構想である。自分や家族友人など大切な人に向けたメッセージを搭載した一機目の衛星を打ち上げる。3年後に、この衛星を回収するための衛星を打ち上げ、搭載されたメッセージが宛先に届けられる、というもの。実際にメッセージをどのように届けるのか、という部分はこれから考える。

・Santa SAT
みなさんは毎年クリスマス、サンタクロースへ「○○をください!」とお願いをすることだろう。その「サンタクロースへのプレゼント依頼ならびに配送」をやってしまおうというミッション。衛星に向けて依頼をすると、クリスマスにプレゼントが届けられるというもの。

・有人キューブSAT
実際に載せるのはヒトではなくAI(人工知能)。衛星に載せたAIと地球からお話し(お話でなくても構わないのだが)しましょうというミッション。

・Space Signage
宇宙に広告媒体を設置して広告費を稼ごう! というもの。衛星から広告を配信するのか、衛星そのものを広告としてしまうのか、それは今後の検討。

・超小型猫型衛星「NyanSat」
みんなが大好きな猫を宇宙へ飛ばし、心配してもらうというミッション。なんじゃそりゃあ!?? という印象だが猫型衛星を打ち上げ、鳴き声を衛星から発信、特徴として夜行性であるなどユニークな機能が満載である。
個人的に一押し。絶対これ面白い。

まずは案の段階なので、技術的にどうこうというのは二の次にしている。
というかそれ以前に、
「ふざけてんのか、もしくはアホか」
という思いをもたれる方がいたかもしれない。しかしぼくらは大真面目だ。
世間様のお役に立つご大層なもの」ではなく、「なんだかよくわからないけれど楽しいかも」と思ってもらえるような「ちょっとバカみたいな」衛星を打ち上げたいのだ。ぼくらが打ち上げる衛星は、たくさんの人に理解してもらえるよう、そしてこの段階から多くの人に参画してもらえるように、できる限りシンプルでわかりやすく、インパクトがあるものにしたいと思っている。そもそもぼくらはド素人なのだけれども、ド素人ならではのものが作れるはずなのだ。まじめな人工衛星はまじめな方々にお任せして、ぼくらはぼくらだからできることをやりたい。

もちろん、上記はあくまで一例で、他の意見も募りたかったので、その場で参加いただいたみなさんに、どんなミッションがいいのか、聞いてみた。

すると、
・UFOキャッチャーみたいにデブリ(宇宙ゴミ)を回収する衛星
・ギャンブル大好きな人をターゲットに、競馬ならぬ競SAT
・人工流れ星(ミーティングの後に分かったことだが、この案については実用化に向けて動いている人がいる)
・スヌーピーを宇宙に行かせたい
・衛星を二つ打ち上げて、握手させる、それを動画に収める
・全方位カメラを搭載して宇宙空間を丸ごと撮影し、実写プラネタリウムみたいなのをつくる
・宇宙から宝くじの当選番号を配信する衛星
・世話をしないと落ちちゃう衛星(みんなで助けさせる)

などなど、沢山の意見を頂戴することができた。
まだアイデア段階だけれど、けっこういろいろ出てくる。

そんなこんなで時間いっぱいになってしまい、次回は、今回出た案をもとに、ミッションプレゼン大会を行い、ブラッシュアップやさらなるアイデアを募る旨を公示し、リーマンサット・プロジェクト(仮)としては最初の公式ミーティングはお開きとなった。

少なくともこのミーティングの一番の目的、リーマンサットプロジェクトがいかに何も決まっていないかを参加者の方々へ知らしめ、「助けてやんなきゃダメじゃん」と思って頂くことについては充分達成された(なお、その後はサラリーマンらしくミーティング後は飲み会に行った)

当初は不安満載で始まったKICK OFF MEETINGだが、宇宙への熱い思いが飛び交い、想像以上に盛り上がり、出だしとしてはとてもいい会だったと思う。

4年経って、正直当時のことはあんまり覚えていない。でも、これから面白くなりそうだと感じたことは覚えている。

リーマンサットに興味を持ってしまった方はこちらへ
www.rymansat.com


PHOTO BY NASA

皆さまのご厚意が宇宙開発の促進につながることはたぶんないでしょうが、私の記事作成意欲促進に一助をいただけますと幸いでございます。