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07. RS5

リーマンサットの創設者は5人。

宇宙好きのO氏、M氏、H氏と、宇宙別に好きじゃないS氏とぼく。

Founderが5人だから、創設メンバーがまとめて「F5」などと呼ばれるようになるのはまだ少し先だけれど、今回はその5人の紹介をしておこうと思う。
(ちなみに、ぼくは個人的に「F5」という呼び名があまり好きではないのだが、それはまた別のお話)。

■O氏
まずは、宇宙好き3人から。彼以外の4人を篭絡し、巡り合わせ、巻き込み、己が目指す宇宙開発を実現せんとする人たらし。リーマンサットの一番の核となる人物は彼だと思っているし、彼がいなかったらリーマンサットそのものが生まれなかっただろう。

彼はぼくが以前勤めていた会社の後輩で、彼が会社を辞めてベンチャーを立ち上げ、その後ぼくもその会社を辞めてからも何かと付き合いがあり、リーマンサットを始める前に海外の文化についていろいろ話をする社会人サークルみたいなのを一緒にやっていたこともある。
彼のやることは予測がつかないことが多く、ぼくが特に好きでもない宇宙開発に参加したのも「こいつと一緒だったら面白いことになるに違いない」と思っていたことが大きい。

子供時代に藤子・F・不二雄の「21エモン」を見てから宇宙にはまり込み、それ以来宇宙への情熱を燃やし続けている。NASAに行きたいがためにアメリカに留学し(ただし専攻は宇宙とあんまり関係ない)、XPREIZEに出会ってから宇宙熱が加速。その宇宙愛たるや、第一子出産予定日当日に奥様をほったらかしてリーマンサットのミーティングに出てくるほどである。

いろいろと経歴がある男だがソフトウェア会社で海外営業が長い。

リーマンサットのコンセプトとなる「家族でできる宇宙開発」は彼自身が将来、孫と一緒に人工衛星を作りたいから、という夢からきている。

■M氏
リーマンサットのファイヤー隊長と言えばこの人物以外にいない。
夢は宇宙に行ってルイ・アームストロングの「What’s a Wonderful World」を聞きながら酒を呑むこと。学生時代はサッカーをやっていたという彼は、熱血少年がそのまま大人になったような人物だ。
陽気で宇宙好きなエンジニア、という彼は、陰気で宇宙に興味がない営業のぼくとはまさに真反対に位置する。もしこのプロジェクトがなかったら、たとえどこかで出会ったとしても生涯彼と深い関りを持つことはなかっただろうし、こんなにすごい男がいると実感することはなかった。

彼の情熱とまっすぐさは並大抵ではない。大手ソフトウェアメーカーに入社後、希望の部署に配属されんがため人事部の偉い人にいかに自分がそこで仕事をすることを熱望しているかそして自分がどれだけその部署に貢献できるかを切々と訴えて見事希望を通し、会社のお偉方がいる席で「わが社の技術を統合すれば宇宙に行くことができるはずなのに、どうしてやらないのか!?」というプレゼンをぶっこみ、さらにはどうしても行きたいという衝動から生まれたばかりのお子様と奥様をほったらかしてアフリカに数週間旅行に行ってしまうほどだ。もし、世が戦国や幕末の動乱期であったなら、ぼくは彼のために命を投げ出したに違いない。

いろいろな意味で熱量がある5人の中でも彼は一番発火点が低い。と、ぼくは思っているが、彼はそれがぼくだと思っているらしい。

■H氏
O氏とM氏は「うおおっ! 宇宙に! 行かねば! 死ぬ!」みたいな熱い宇宙好きなのだけど、H氏はそれと比較すると穏やかな宇宙好きといえよう。
熱い宇宙好きは大概オタク的で地に足がついていないことが多いのだけれど、彼は現実的に宇宙に人をひきつけるためにはどうすればいいのかを考えている人物だ。代表例ともいえるのが彼と奥様が考案した「宇宙の香りがする紅茶・スペースティ」だろう(気になった方は下記リンクをご参照。ネット販売もしています)。
http://base.space-tea.com/

このスペースティは彼自身が奥様を宇宙に巻き込むために考えたひとつの策であり、「宇宙単独だと理解されないけれど、紅茶だったら万人に受ける。宇宙と紅茶を組み合わせればむげにはされない」という意図のもと、奥様にパッケージデザインその他をお願いして作っているらしい。この「宇宙好きでない方も興味を持ってもらえる宇宙」というのはリーマンサット・プロジェクトを進めていく過程で非常に重要な要素となるが、それもまた後の話。

とはいえ、本当に開催されるかもわからない宇宙旅行に前金をしっかり払ってあるという筋金入りの宇宙好きであることには変わらない。
そもそも彼は、とある宇宙NPOの副理事であったり、宇宙飛行士の方と繋がりがあったりと、日本の宇宙界隈にネットワークを持っている。

なんの前触れもなく、展示会に出展します、などと無茶苦茶をはめ込んでくることはあるが、「リーマンサット」の命名や「猫型衛星NyanSAT」の発案など、非常にキャッチ―な発想をする人物。

■S氏
宇宙好きじゃないのに宇宙開発することになった人その一。血の気が多いリーマンサット創設メンバー中、常に冷静な対応をしてくれる大人。彼がいなかったらこのプロジェクトはどこかの時点で炎上して燃えかすすら残っていなかったはずである。加えて、このプロジェクト内では数少ない「NOT宇宙オタク」なので、のちのちぼくの宇宙オタクに対する愚痴を聞いてもらったりすることになる。

ちなみにプロジェクト立ち上げ当初、彼が奥様に「宇宙開発に対してどう思っているか」と問いかけたところ「「なんか役に立つの?」「それやる意味あるの?」「自己満足じゃないの?」との意見が返ってきたという話は、以降ぼくらに宇宙オタクと一般人の間に立つ高い壁を知らしめる大きな指標となった。

チームの中には家族をほったらかして自分の好きなことを第一としている者が数名存在するが、S氏の場合、家族との取り決めで休日にミーティングやイベントで出られるのは月1回のみという規定があるそうだ。しかしながら、その「一日」は家族から「宇宙の日」と呼ばれているらしく、趣味で宇宙開発する団体を標榜するぼくらとしてはある意味臨む形の一つとなっている。

他のメンバーと比較して極めてまともだが、電柱の陰からオタクを見るのが好きというオタクウォッチャー(「オタクという人種に偏愛を持つ『オタクおたく』)を自称しており、オタクたちが周りにいるこのプロジェクトは彼にとっているだけで涎ものらしい。

メディア関連企業勤務。

■ぼく
宇宙好きじゃないのに宇宙開発することになった人その二。高校くらいまでは宇宙に行きたいと思っていたが、数学が苦手だし、そもそも宇宙は広すぎるし遠すぎるし壮大に過ぎるしそもそも自分たちが住んでいるこの世界や人間という種のこともろくにわからないのだから宇宙の前に地球上のことをどうこうするべきだ、と思っている。
プロジェクト結成当時から「宇宙開発に興味はない」と言い続け、それはこれを書いている今も変わらない。

5人の中で唯一独身ということで家族も子供もいないことは融通が利きやすい=使いやすいということで、結果的にのちのち散々とこき使われることになる。

もともとは営業畑が長く、プロジェクト結成当時はフリーでライター・編集をしていたが、一年も経たずまた会社員営業職に戻り今に至る。

プロジェクト参画中は宇宙オタクの浮ついた足元をどうにか地球に引き戻そうと日々考えており、チーム内では常識人の部類に入ると本人は思っているのだが、周りはそう見てはいないようだ。


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PHOTO BY NASA


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