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悩みとは何か

 自分が経験した具体例を挙げて、悩んでいるとはどういう状態なのかを具体的に説明しようと思う。

 「sin xを微分しなさい」という問題が与えられたとする。解き方は数学の教科書を見れば書いてあるので、答えはcos xと導くことができる。この場合、問題と手法が具体的に明示されているので、容易に問題を解決することができる。

 次に「大学受験に合格しなさい」という問題が与えられたとする。数学の問題を解くときのような正攻法は無いが、似たようなものはある。模試を受け、受験校の出題傾向を分析してギャップを見い出し、ギャップを埋めるためのタスクを洗い出してこなす。容易にとはいかないが、問題と手法が具体的に明示されているので、やる気さえあればこの問題を解決することができる。

 では、「世の中の貧困問題を解決しなさい」という問題はどうだろうか。この場合、問題は具体的だが、問題を解決するための常套手段は無い。経済や歴史などのさまざまな知識を駆使しながら問題の解決に向き合うほかないのである。ちなみに、問題の解決に向けて頭を働かせるのは「考える」といい、悩みとは違う。

 最後に「私は何をしたいのか」という問題について考えよう。この問題の答えは私がしたいことである。すなわち問題の答えが問題になるのである。この問題の答えがわかれば、やるべきことは自ずと見えてくる。しかし、問題が明確でないと行動することができない。薄々気づいているだろうが、悩みとは問題が明確でない状態のことだ。

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