さいごの10代

乙女は時が止まったまま死んでいる。

針の刺さった身体を迫り来るような近い天井に拡げてぎょろりと眼をこちらに向けた。

「行っちゃうの?どうして何も、言わないの?」

私は荷物も無く、きのみきのままドアノブを回す。

「ねえ、答えてよ、どうして」

最後の乙女の心臓に、百合の花束1つ刺して、
そこで乙女の立てる息は、ことりと止んでしまいました。

肉が、朽ちて、また生まれ変わる。もう、きみはいない。どこにも。
自我が芽生えた月経痛を薬で殺して、あたしは大人になる。

殺した。殺した。何度も。死んだの。
何回だって殺されてきた。
もう息はない、生き返らない。
あぁ、もう、どうしたらいいの。

研ぎ澄まされた心が削れてなくなった。

「殺した!」

部屋の隅でわんわん泣き叫ぶ乙女を、「煩い!」と怒鳴りつけた。

乙女は少しの嗚咽を漏らした後、もう何も言わなかった。

気分はどうだい?

手錠が朽ちない。

いくつさよならを口に出しても、まだ彼女は亡霊のようにわたしの脳みその奥の奥に居座り支配するのだろう。

「教えて、大人になるってどういうこと?」

お前を原型を留めないくらいに刺して、めちゃくちゃにすることだよ。

血塗れ乙女の首吊りドール

やがては風化し砂になる。

締めの言葉もないな。

2022/02/09 22:43



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