いなくなっちゃったあたし
これ賞味期限切れたかな
そう思いながら冷蔵庫を漁ってると
あのときのあの子の言葉が
今になって鋭い針のように刺さった。
机を片付けてたら
昔撮ったプリクラと目が合って
そいつが嫌味なほど笑いかけてきたから
古い財布の中にしまい込んで
もう二度と笑われないようにしたんさ。
どうせ飛べないもんな
そう思うようになったのは
身長が止まってからだったっけ?
どこにも行けなくて苦しい夜の隙間に
海に行ったことをぼんやりと思い出すんよ。
アルバムをスクロールすると
化粧をしたあたしが歯を見せて笑っていた
幸せを前借りしてるって感じたの
なんだか借金みたいじゃん、と
思考をチューハイで流し込む。
食べ残しは腐っていくだけ
冷たい世界から最後に1度だけ飛び出したい
そうやって真っ逆さまになった子を
あたしは何人も知っているんだったわ。
孤独になりたいな
でも誰かに愛されていたいな
絡まる関係も
いっそのこと初期化したいんやけど。
馬鹿だと言って笑うのは
この世界の道理みたいだし
そろそろ片付けて寝てしまうか
跡を残さないで 綺麗に
はじめからなかったみたいにね。
「あたしバカだからさ」
その言葉を盾に使っている
誰にも壊されたくないんだもん
嫌われるのが怖いんやって。
常識の範囲内で
価値観の相違ですれ違って
苦しいの平気だって
それはきっと強がってるんじゃない?
あーあ、もうだめみたいだな
涙も出てこないや
弔ってあげなきゃ
こんなんじゃ、あたしは救われないじゃない