[アメリカ合衆国] 米国商標近代化法 (4)

4. オフィスアクションへの応答期間の短縮

2022年12月1日以降、オフィスアクションに対する応答期間は、従来の6か月から3か月に短縮されます。但し、追加手数料(125米ドル)を支払うことによって、3か月の延長が1回のみ可能となります。
尚、マドプロに基づく米国領域指定は、従前通り6か月の応答期間です。

登録後のオフィスアクションに対する応答期間も3か月に短縮され、追加手数料(125米ドル)の支払いにより、3か月の延長が1回のみ可能となります。

5. 回復不能な損害の推定(反証可能)

TMAにおいて、回復不能な損害の推定(反証可能)の規定が定められました。

<背景>
特許に関する2006年のeBay Inc. v. MercExchangeの最高裁判決では、差止命令による救済を得るために、原告が以下のことを示すことを要求しています。

a) 回復不能な損害が発生すること。

  1. 回復不能な損害が発生すること。

  2. 法律で保障される救済措置が、その損害を補償するには不十分であること。

  3. 原告と被告の不利益のバランスを考慮すると、差止請求が必要とされること。

  4. 差止命令によって公共の利益が損なわれないこと。

しかし、上記判決の後、回復不能な損害の発生の判断が裁判所ごとに分かれており、実務上、商標の差止が困難な状況になっていました。
TMAでは、商標権侵害の認定、または仮差止請求においては勝訴する可能性があるという認定を得ることによって、回復不能な損害の反証可能な推定が受けられることを成文化しました。推定を覆す責任を被告に転嫁することで、商標権者が差止命令をしやすくなりました。但し、原告は侵害訴訟において推定に頼るのではなく、回復不能な損害のすべての証拠を提出するよう努めるべきです 。

参考情報:

https://www.uspto.gov/trademarks/laws/2020-modernization-act

https://www.uspto.gov/trademarks/laws/electronic-registration

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