Katsuya Shimabukuro

機械学習エンジニア/データエンジニア。noteはいろいろ読んだものをもとに、いろいろ書…

Katsuya Shimabukuro

機械学習エンジニア/データエンジニア。noteはいろいろ読んだものをもとに、いろいろ書くのに使っています。

最近の記事

テレワークにおけるコミュニケーション課題とは何なのか

今年の3月〜5月、新型コロナウィルスの影響をうけて在宅で仕事をするという事を強いられた方も多いだろう。 意外と上手くいって、引き続きオフィスには行かず、自宅や近くの作業スペースから勤務をされている方もかなりの数いらっしゃるのではと思う。なにぶん私自身もその口である。 一方で、もうオフィスでフルタイムで仕事をしているという方も多くいらっしゃるのではと思う。むしろ、アンケートなどを見るとそちらの方が一般的には多数派なのようだ。 https://www.itmedia.co.j

    • 効果検証の基本

      効果検証とは測定したい値(目的変数)と、効果を比較する対象(介入変数・操作変数)が与えられた時に、実験(施策の実施)で収集したデータや観察データを元に、介入変数が異なると、目的変数がどのように変化するか(因果効果・効果量)、を推定することを効果検証と言います。 一般的には、統計的因果推論という枠組みを使用して、因果効果と呼ばれるかたっ苦しいものを推定することを指しますが、そこまで凝ったことをしなくても、以下の例のように、ケースAとケースBで(介入変数が異なると)、注目してい

      • 機能デザインパターンについての試論

        最近、プロダクトの機能について考える機会がよくあるが、本などを読んでも、イマイチどこから手を付けて良いかピンとこないなという状態だった。 自分の物の考え方はテンプレがあり、基本的にそれに当てはめて考えるというものなのだが、なかなかそれにうまくはめられない。 体系だったものがあるのかもしれないが見つけられなかったので、とりあえず自分でイメージできる範囲でまとめてみようと思ったのが、このデザインパターンもどきだ。 経験も知識も浅い人間がイメージだけで話している部分もあるので

        • 10万円の使い途について

          新型コロナウィルスの感染拡大に伴う経済対策として、一律で一人あたり10万円が支給されることになった。 あくまでまだ調整中なので、2020年4月17日時点では、実際どうなるかはまだわからないが、迅速に実施でき、わかりやすく、漏れがない政策で、まあよいのではと考えている。 批判としてよく目にするのは、公平ではない、悪平等だという意見と、給付開始が遅い、額が少ない、という辺りかと思う。 確かに、今生活費が足りなくて困っている人に対して国が実施する内容としては、不十分と言わざるを

        テレワークにおけるコミュニケーション課題とは何なのか

          人工知能システムのインターフェース設計

          まず、話の前提として、人工知能という言葉はあまりにも語義が曖昧なため、研究者や一般の方、マーケターで全然違う意味で使われてしまっており、ただのマジックワードと化してしまっていって、議論を組み立てるためのスタートとしてはあまり適切でない状況と言える。 本来であれば、機械学習システムや対話システムなどスコープを限定して語るほうが誠実な態度だが、あえてこの単語を使って、大きい話にしてみたいと思う。 2020年3月に社会を騒がしているのは、ジェンダー論的に見た人工知能のあり方だ。

          人工知能システムのインターフェース設計

          ゲームと視点と憑依の問題 -イヴリン嬢は七回殺される-

          『イヴリン嬢は七回殺される』は、ミステリーとしてだけでなく、SFとしても良質な作品だ。SFとミステリーをかけ合わたジャンルとして考えるのであれば、傑作と言っても良いかもしれない。 自分が何者かも思い出せない主人公が、事件が起こる一日を、八人の人物の視点を憑依して一日ずつ体験することにより、新たな事実を見つけ、最終的に事件および自分が置かれている状況の真相に近づいていくという物語を描いている。 訳者あとがきにもあるように、作者は個々の数十人におよぶ登場人物の数分ごとのスケジ

          ゲームと視点と憑依の問題 -イヴリン嬢は七回殺される-

          科学は恐怖に勝てないのか

          このブログは、八代嘉美×東浩紀イベント「再生医療は結局どうなっているのか?――iPS細胞と『科学の魔術化』の10年を振り返る」に関するブログの第二弾である。 いったいどれだけ書く気なのかと思われるかもしれないが、人工知能にも深く関わる話がてんこ盛りであったこのイベントは、機械学習を生業として生きていこうと考えている僕にとっては、とても示唆の多いイベントであった。 さて、このイベントは哲学者が再生医療の話題を扱っているということもあって、科学と社会との関係についての話題が非

          科学は恐怖に勝てないのか

          魔術化する社会とテクノロジー

          「十分に発達した科学は、魔法と見分けがつかない」と言ったのはSF作家のアーサー・C・クラークで、最近は落合陽一さんが自らのことを"魔術師"と称することで、この言葉を積極的に援用している。 八代嘉美さんと東さんの対談の中で、上記の言葉への言及があった。東さんの言説を多少読んだことがある方ならば想像がつくと思うが、落合さんのそのような振る舞いや、魔術化していく科学技術に対して否定的な意見を表明していた。 曰く、再生医療に限らず、人工知能のようなブラックボックス化された科学技術

          魔術化する社会とテクノロジー

          わかりやすさとは何か

          機械学習の著名な研究者であり、Couceraの創設者の一人でもあるAndrew Ngのディープラーニング講座が非常にわかりやすい。 どの部分も非常にわかりやすいのだが、特に良い部分が、しつこいくらいの前提知識の共有だ。 数式初心者を惑わせる添え字の意味などの慣習的な部分、数式を実際の処理に置き換えた図での具体的な部分について、教える内容が変わるごとに、説明の粒度は荒くなっていくにせよ、毎回必ず補足を入れて説明している。 この授業を受けてみると、わかりやすさとは相手の理解状

          わかりやすさとは何か

          能動的オンボーディングのススメ

          ただの私事だが、今日から新しい会社で働くことになった。3年ぶり3度目の新入社員である。 前職も前前職でも同じだったので今回も予想はしていたが、最初の数日〜数週間は、どうしても作業ペースが掴めず、暇だけど何をして良いのかわからない、というような状況が発生しそうだ。 原因は、以下のようなものが考えられる。 1つ目は、会社の手続き系・ルール系のドキュメントがまとまっていない、もしくは日々刻々と変わっていく情報が更新されていないため。 2つ目は、所見の人が自走して作業できるレベ

          能動的オンボーディングのススメ

          アートにどう触れるか

          正直、アートと呼ばれるものには大変苦手意識がある。 コンテキストが大事だということは、高校の同好会で小説を書いたり、大学の部活動でオーケストラで演奏していたりと、一応「芸能」と総称されるものに触れていたこともあるのでなんとなく分かっているのだけど、 こと現代アートになると、表現方法も文脈も多様化していて、どういうコンテキストがどこにこめられているのかが、作品を見るだけでほとんど読み取ることができない。 美術手帖などの雑誌での語りを読んでもみるが、残念ながらそれでもいまいちぴ

          アートにどう触れるか