見出し画像

トシヨリはもっと金を使えというが

老後に備えてがんばって貯めたお金、傍からみると「使い方が足りない」らしい。放っておいてくれ。この先何年生きるかわからない、終わりがわからないのに残りの年数で「割り算」する使い方はできない。

内閣府がまとめた2024年度の「経済財政報告」の原案によると、60-64歳の平均保有資産は1800万円、65歳以上になると少し資産を取り崩す動きがでるが、85歳以上でも1500万円強で減少率は1割台半ば(日経新聞)という。言下には、トシヨリは消費拡大に「もっと使え」と聞こえる。

「さあ、残り少ない人生だから、使えるうちに使ってしまいましょう」と言われれば、そのとおり。わたしもそうしたい。動けなくなってからじゃ楽しいことに「1800万円」も使えない。85歳までがんばったとしても、その頃にはたぶん、自分のためには使うことはないだろう。問題は、「使えるうち」はあと何年かということだ。

一方で、貯蓄を取り崩すということに抵抗があることも確かだ。

「1800万円」は降ってわいたものじゃない。月々の収入の中でやりくりしながら捻出して貯めたもの、お金のフローを見ながらやってきた。だから、切羽詰まった理由もなしにストックを取り崩すことには後ろ向きだ。

年金をもらう年になって、決めたことがある。ふだん生活するのはその範囲でやりくりし、娯楽や外食は小遣い程度のバイト収入をあてる。足が出たら「1800万円」のなかから「借りて」補おうと。そうか、わたしも「1500万円」組なのだ。

残り年数の割り算ができないから「1800万円」を計画的には使えない。いざという時のためにとっておきたい。これがトシヨリの現実だ。内閣府が消費拡大を期待するなら、「見せる」減税じゃなく「使える」年金補助をしてくれればよい。それが全部消費に回るのは述べたとおりだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?