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CivicTech&GovTech、僕らの「狂奏」

※この記事は、「CivicTech & GovTech ストーリーズ Advent Calendar 2020 - Qiita」の12/01公開記事です。

『勝手に考え、勝手につくる。』

いやいやいや、「ともに考え、ともにつくる。」というのが、本家です。
で、「ともに考え、勝手につくる。」のが青木さんw

というのはさておき、「ともにつくる=協創、共創」ではなく、「くるい、かなでる=狂奏」こそが、今年の僕らにもっともしっくりくる表現だったのではないでしょうか。

CODE for JAPAN SUMMIT 2020

僕にとって3回目の参加となるCODE for JAPAN SUMMIT、今回、完全オンライン開催となったのですが、何の因果かナビゲータとして関わらせていただくことになりました。

正直、最初は乗り気ではありませんでした。
各セッションは6つに分かれるトラックで、それぞれZoom+YouTube Liveによる配信が決まっており、司会に求められる役割はオープニングとクロージングの公式プログラムのみ。名古屋に行くことが求められましたが、間は何していればいいのか、そもそも行く意味があるのだろうか。そんな受け身の状態では、モチベーションも湧いてこなかったというのが正直な所でした。

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しかし、打合せを進めていくうちに、悪い癖がでてしまったのですよね。ついつい、口を挟んでしまう。ここはもっとこうしたほうがいいんじゃないか、こうあるべきじゃないか。とにかく何でも合理的に、最適化していこうとしてしまう哀しい性とでもいうのか。。。

「Cテレ2355・0655」という呪い

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※上記サムネイルは、YouTubeにリンクしています。実質5分程度ですので、ぜひご覧になってみてください。

そんな中で生まれたのが、サミット当日までの2週間・14日間をカウントダウンしていく、サミット紹介番組「Cテレ2355・0655」です!
2355はライブで、0655は録画をアーカイブで、というコンセプトで見切り発車で始めたこの企画は、企画の早期段階から0655の意味があるのだろうかという自己矛盾に陥るわけですがw、もうとにかく14日間毎日やりきるしかなかったので、寝る間を惜しんで突っ走りました。

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0655は撮り直してます。
2355の時と日付が変わるので、あと〇日がずれるのと、スタジオ背景の名古屋の風景を、昼と夜とで切り替えていたり、細かいところで作り込みが異なるので、2355の再利用+編集版ではダメだったのです。また、0655は朝通勤時に電車の中などで、音声を出さずに眺めていただくような視聴スタイルを期待していたので、動画上に直接字幕テロップを載せました。

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2355は文字通り、23:55にLIVE配信を開始してましたので、10分程度の番組とはいえ、リハーサルや準備含め2時間枠くらいはつぶしてます。また、その後に0655用の再撮影、その動画の編集等にまた2時間はかかっていましたので、毎日3時過ぎまではかかっていましたね。。。

この狂気を支えた技術❶「vMix」

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※上記サムネイルは、YouTubeにリンクしています。こちらは折り返し地点で放映した特別編1時間弱の番組となりますが、メイキング的な内容も含んでおります。

配信の機材や、その他の技術に関しては、僕のnoteの他の記事を参照いただくとして、今回触れるのは「vMix」というソフトウェアです。

最初のCテレ2355をご覧いただくと、仮想スタジオ内に合成された司会者の映像と、シーンによってその仮想スタジオが切り替わるのをご覧いただけるかと思います。これは、vMixに標準的に用意されているサンプルの仮想スタジオに、名古屋の背景やスライドを合成したもので、簡素なものです。これだけでも新鮮味があり、初めてご覧になった視聴者の方々のチャット欄には「本格的だ!」「ガチだ!」「本気だ」というようなコメントがありましたが、僕が強調したいのはそこではなくて、「vMix CALL」という機能です。

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実はこの映像は、LIVEで配信していただけでなく、映像を合成し配信している僕と、ナビゲート役の太田垣さんはそれぞれの自宅でリモートなのです。リモートで映像を合成して配信しようとすると、大きく2つの問題を解決しなければなりません。

まず、映像品質の問題。
気軽な所ではZoomを思いつくところでしょうが、Zoomはレスポンスの良さを優先するために、品質を動的に調整しています。また、昨今のユーザ数増加により、映像の品質はかなり落とされており、360pということもままあります。この品質の映像では、YouTube Liveの1080pではまるでブロックノイズだらけのような映像になってしまうばかりか、背景との合成なども当然うまくいくはずがありません。各種裏技を駆使することで、1080pの映像を出すこともかつてはできたのですが、それらも当時の時点で封印されてしまっており、高品質、最低限度1080pでの映像を安定的に受け取れる方法が必要でした。

また次に大きいのが音声の問題。
「デジタルっぽい音」「Zoom音」のように呼ばれることもありますが、音声もまた帯域を節約するために圧縮されたり、一部の帯域をカットされたりしていますが、これもできれば避けたい、できるだけrawに近い品質の音声をリモートで受取りたいと思っていました。また、遅延も少ないほうがよい、もしくはdelayなどのコントロールが必要でした。

これらを総合的に考え、直前まで色々試してたどり着いたのが「vMix+vMix CALL」でした。

基本的に有償のソフトウェアですが、60日間の無償トライアルがありますし、YouTubeには公式チャンネルもありますので、興味があれば利用してみてはいかがでしょうか。

この狂気をささえた技術❷「StreamYard」

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※上記サムネイルは、YouTubeにリンクしています。2日目のTrack0、つまりオープニングセッションが終わった後、クロージング迄の間の副音声番組の様子です。

いよいよ当日運営の裏側、その一部分についてです。
当日は6トラック(トラック7を除く)にわかれ、それぞれZoomホスト担当が張り付き、1つのMeetingを掌握しつつYouTube Liveの異なるストリームに対して配信し続け、セッション間の休憩で人がいれ変わるという構成になっていました。

この場合、容易に想像されるのが、誤ってZoom Meetingを終了してしまうなどして、Streamが切れることです。最悪、配信URLが変わってしまうことは、自動停止をOFFにすれば避けられますが、ブラックアウトしてしまうなどは避けたかったので、バックアップストリームを流すことにしました。

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今回、撮影や配信の機材を二重化することは不可能なので(登壇側がそもそもリモートであることから)、そこは割り切って、となるとバックアップストリームを流すこともあまりコストをかけたくありませんでしたので、トラック0で総合案内的な副音声チャンネルを流しっぱなしにして、その映像を全トラックのバックアップストリームに流し込むことにしました。

そもそも、オープニングやクロージングを円滑に進めるためにも、もともとStreamYardは使う予定でしたので、Professional Monthly Plan $49を契約。これは8か所迄のマルチストリームを流せるので、6トラック分のストリームキーを追加で登録し、たった1つのBroadcastで7ストリーム流すということをやっています。

実際、2日目のトラック2でZoomの意図しない切り替えが発生し、バックアップストリームに切り替わるということが発生しました。この際、トラック2のセッションをご覧になっていた方には、突然僕らの映像に切り替わり、そして僕には障害の通知が来ていたので、メインストリームが復旧次第、切り戻すということが実際に行われました。

また、クロージングセッションへの動線という意味でも、最後に見ていたトラックをそのまま見続けていれば、自然にトラック0に集約されるというメリットもありましたので、この方法はコストも少なくておススメです。

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市民・企業・行政の交わるところで、GovTechは生まれる

『勝手に考え、勝手につくる。』
振り返って、この言葉がこんなにしっくりくる表現はないなってw でもこれも、事務局メンバーとの信頼関係があったからこそ、任せてもらえたのではないかと思うのです。それは一朝一夕のことではなく、僕がここまで4年間にわたり培ってきた関係性なのではないかと、自負しつつ、改めてこの瞬間にCivicTechとGovTechが交わったことを確信してやまない、そんなCODE for JAPAN SUMMIT 2020は、僕の経済産業省デジタル化推進マネージャーとして関わる最後のサミットとなりました。僕は2021年3月末日で、いったん現職を退任することとなっています。

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来年のサミットでお会いするときは、僕はどんな立場でそこに立っているのでしょうか。そしてそこでは、どんな素晴らしいハーモニーが、狂い奏でられているのでしょうか。

楽しみです。

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