見出し画像

「liar」レビュー最終話レビュー:嘘で守れないもの

最終話あらすじ:美紗緒(見上愛)が出野(古川雄輝)の子供を妊娠したと思った市川(佐藤大樹)は、そのことを喜びつつも、美紗緒が辛そうな顔をしていたことが頭から離れない。しかし、同じ部署で働く松永裕美(山谷花純)から、美紗緒が妊娠したのは市川の子供であること、そして父の雅哉(升毅)に子供を堕すように促されていることを知る。その事を聞いた市川はすぐに病院に向かうが、そこにいたのは美紗緒と、父の雅哉だった。果たして2人の運命は…(公式サイトより)

「いい加減自分の殻に閉じこもるのはやめろ」。
雅哉との代理戦争から、さらりと場を主役に譲る出野。引き際カッコよすぎでしょう…!
というわけで再びプレイヤーチェンジ、ようやく市川が周りに目を向ける最終話。

市川を舞台に引きずり出したのは、松永の誤算だった。
美紗緒のお腹の子の父親が出野だと勘違いした松永は、美紗緒が市川と別れたといういいニュースのつもりでそれを雅哉に報告する。しかし雅哉は美紗緒を直接問い詰め、市川の子供と知って中絶を迫る。
良かれと思ってしたことが取り返しのつない結果を招いてしまう…。松永は市川に雅哉を止めるよう、慌てて電話を掛ける。

これまで自分のことばかりだった市川は、ようやく自分よりも守るべき存在があるのだと気付く。
市川がこれまで自分の心を偽るようにしていたのは、傷付くことを恐れていたから。だからもう、市川には嘘をつく理由がない。
それは美紗緒が好きだとストレートに伝えることだったり、自分の決して幸福とは言えない家庭環境について語ることだったり、今までの市川からすれば弱みとも取れる部分をさらけ出して行くことだ。
けれどガチガチに自分の殻に閉じこもって強さを装っていた時より、その方がよっぽど強く思える。
お互いに本音を打ち明け、気持ちを確かめ合う市川と美紗緒。

市川が真正面から雅哉と向き合うことで、膠着状態だった親子の関係にも変化が生まれ、美紗緒との結婚もなんとか認められることに。
美紗緒とにしたって、雅哉とにしたって、相手から欲しい答えを引き出すように立ち回るより、自分の気持ちをまっすぐに伝えて行く方がよほどいい。
それは決して弱さでも、負けでもないのだから。

最後のシーン、市川が美紗緒に料理を作っている。彼は雅哉と母が実現できなかった温かい家庭を作ることから逃げたりしない。その顔はもうベッドで胎児のように丸まっていた時のものとは違って、穏やかな父親に近付いているようにも見える。
あの雨の日、すれ違い、離れて千切れた赤い糸。今2人の心はお互いに向かい合い、とても近い場所で繋がっている。

【今週の国見】(えっ)
出野さんに報告にやって来た市川と美紗緒。電話しながらその様子をチラチラ気にする国見が可愛すぎる。
出野さんが市川に「成田のこと、大切にしろよ」って言ったのを受けて「ナリちゃん、市川のこと、頼むね」って言う国見が可愛すぎる。

私が出野さんだったら、すっかり大人になっちゃって頼もしい市川より、国見に構いたい。サウナに連れて行きたい。寿司屋で値段なんて見るなよ、好きな物頼んでいいぞって言いたい。

もっと言うと、国見はそこにいるだけでいい。国見が画面にいれば、そこに緊張感がなくなる(いい意味で)。何を考えているのか、行動の裏を読まなくていい。気をつかわなくていい。出野をありのままでいさせてくれる、それが国見なんだ。

結論、私は国見になりたい。国見になってずっと出野さんの側にいて、出野さんを癒したい。最終話、これがファイナルアンサーだ!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?