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ドラマ「ねこ物件」第4話レビュー:もめ事のない穏やかさ、そしてさみしさについて

第4話あらすじ:弁護士志望の立花修(細田佳央太)、劇団研究生の島袋毅(上村海成)、2人の新たな家族が出来た★★(二星)ハイツ。新たな入居希望者は矢澤丈(本田剛文)、23歳。ボクサーを目指してプロテストを受けるという。こうして家族は4人になったが、人が増えた分、揉め事も次第に増えていく…。悩む優斗は祖父・幸三の言葉を思い出して「夢は無条件で応援するのが家族。そして、それぞれの夢に敬意を持って欲しい」と3人に語り掛ける。それから本音で話す4人。皆のなかで、わだかまりが消えていく。そして迎えた丈のプロテスト発表の日。果たして結果は―。(公式サイトより)

おお、これは未知の生物との出会いだ。優斗にも、二星ハイツの面々にとっても。

毅が劇団で培った道具作りの才覚を発揮し、優斗と修と協力して猫タワーを作ったりと馴染み始めた3人(第3話の修に続き、それぞれの夢に関連するスキルが生活の中に活かされていくのがいい)。
3人目の入居希望者として現れた丈の面接にも「家族」全員一緒に対応するのだが、うっかり丈が毅にパンチを入れてしまったり、ボクシングを知らない優斗と一切話は噛み合わないしでどうにも不穏な空気が漂う。

なぜわざわざ痛い思いをして殴り合いをしなければならないのかまったく理解できない様子の優斗。
でもボクシングを一度も見たことがないという優斗だって「どんな生活してたらそうなるんですか」という毅の言葉に表わされるように、周りからは異質な存在であるわけで。

丈の評価が定まらないながら、入居者として迎えることを決めた優斗。
しかしそれだけ分かり合えない人間同士が一緒に暮らせば、当然いざこざが起きるというもの。
お約束の揃って朝食シーンからしてもう、一触即発。これまでの経緯からして美味しいに決まっている優斗のご飯なのに、丈は減量中だからとほとんど手をつけないまま席を立ってしまう。えぇ~、それはちょっとイヤな感じかも。
その上自家製サウナ(!)でのぼせてぶっ倒れるわで、健康を害してまで世界王者になる必要があるのかとますます優斗にとっては理解不能な丈。
猫タワーを壊したことを謝らなかった丈の態度が決定打となって、とうとう毅が我慢の限界を迎えてしまう。

これまで幸三と猫たちとの平穏な暮らししか経験のない優斗は、たまらず有美の不動産屋に駆け込む。
しかし有美は「家は揉めるもの」と優斗を諭し、揉めたことでさらに強い家族になれるのだと言う。
幸三もよく似たことを言っていた…座禅を組んで幸三の言葉を思い出す優斗。
揉めごとがなければ平和に、穏やかに生きていける。けれどもそれは、他者と深く関わり互いを理解する努力をするチャンスが失われた状態であるとも言えるのだ。

有美のアドバイスを素直に受け入れた優斗は全員を集め、お互いの夢を尊重しようと呼びかける。夢を叶えようとする人を応援しようと決めたと、二星ハイツのポリシーを語る優斗。だから入居者の夢は無条件に応援するのだと。
それぞれは違う人間でも、一番大切な部分を分かり合っていれば争いは起こらない。それに気付いた優斗には、なんだか家長の風格すら感じられたりもして。

プロテストを受ける丈を全力で応援する3人だが、残念ながら結果は不合格。それでも丈が健康でよかったと、優斗は丈を肯定する。
健康第一のボクサーがいてもいいじゃないか、前例がなかっただけと言えるのは、優斗がボクシングを知らないがゆえに何の先入観も持たないからであって、それはボクシングの世界で生きる丈にはない視点だ。
自分と異なる者との出会いは新しい発見につながり、そこにまたイノベーションが起こる。

敵と味方を瞬時に見分ける猫同士に争いはないけれど、争いを通して味方を作っていけるから人間は素晴らしい。
そんな風に考えられたら、日常のちょっとした人間関係の不協和音だっていいものかもしれないと気持ちが軽くなるから不思議だ。

この作品はそうやって心のトゲトゲとした部分を優しく包み込んでくれる。猫のかわいらしさにも、ちょいちょい挟み込まれる小ネタにもほっこりするけれど、温かなストーリーを通して私たちが受け取るものこそが、癒しの本質なのだと思う。

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