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ドラマ「ねこ物件」第3話レビュー:幸三さんに似てる

第3話あらすじ:第一号の住人、立花修(細田佳央太)との生活が始まった★★(二星)ハイツ。新規入居希望者の面接に現れたのは島袋毅(上村海成)、27歳。舞台中心の俳優と名乗るが、どこかぎこちなく虚勢を張る毅に優斗は不合格を告げる。面接に同席していた修は、あの人は嘘を付いていると分析し、四つ葉不動産の有美も毅をもっと知るべきだと助言する。優斗は毅の劇団の稽古場まで訪ねて観察を始めると印象がまったく違うことに驚いた。優斗は毅を改めて家に招いて「家族の前で演技なんてしませんよね?」と問い掛けると、毅は、ある秘密を話し出した。果たして2人目の家族は誕生するのか!?(公式サイトより)

二星ハイツ七箇条、其の七「この家は夢を持つ人のためにある」。
他の六箇条が共同生活に関する内容の中、最後の其の七だけが異質だ。
「夢を持つ人と触れ合えばいい。そうすればきっと優斗にも見つかる」
幸三はそう言った。第2話では初めての入居者・修を迎えたドタバタで忘れていたけれど(私だけ?)、そう、二星ハイツは優斗が夢を見つけるための場所だったのだと改めて気付く第3話。

2人目の入居者候補として面接にやって来たのは俳優を名乗る毅だが、優斗は猫に対する愛情が感じられないと不合格に。
けれど有美は大きな夢を持っている毅を推す。
そこに修が毅の態度を細かく観察し、鋭い洞察力を発揮。チラチラ猫を見ていたとか、顔をよく触る典型的な嘘をついている人の行動パターンを取っていたとか、強気だった割に不合格にやけに落ち込んでいたとか。さすが司法試験合格を目指すだけある。
本当はいい人なのかもしれないと言う修。毅をもっと知ろうとしてみた方がいいという有美の言葉に、優斗は毅について調べてみることにする。

優斗のいいところは、やるべきことがわかったらそれをしっかり遂行するところ、そして良くも悪くも空気が読めないところ。
コミュ障のくせに完全アウェイの毅の劇団に突然見学に押しかけちゃう、人の目を気にしない優斗はある意味猫みたい。
劇団での毅は面接の時とはまるで印象が違う。偉そうなところなんて微塵もなくて、俳優として一人前になろうと必死にもがいていた。
夢に真剣に向き合う毅の姿を目にした優斗は、毅を再び面接に呼ぶことに。
最初の面接で毅が自分を偽っていたのなら、彼も本当は猫が好きなのかもしれない…。

祖父と猫と育ったこの家が好きなこと、そこに毅を家族として迎え入れる心づもりがあることを伝える優斗。心を開いた毅は、猫に興味がない振りをしてしまった理由を話し出す。
自分の気持ちの全部に嘘をついて演技をしていたら、人に伝わらないのではないか。猫は自分に嘘をつかないから、彼らの気持ちが伝わってくるし信用できる…そう毅に語る優斗は穏やかで、包容力すら感じさせるから不思議だ。
その優しい笑顔はどこか幸三を思わせる。それは回想を通して過去の幸三と対話を重ねてきた成果のようでもある。
そういえば有美と優斗はお互い幸三に似ているところがあると言い合っていた。長く一緒に生活を共にした優斗はともかく、有美と幸三の間にあるものは相変わらず気にかかるところ。

面接の始まりに優斗が無言で有美に話を振る手、猫審査の前の「決めるのはこの子たちなんです」というセリフ、座禅、入居者全員で食べる朝ご飯、最後のLINE交換…このドラマの「お約束」もわかって、第3話では観ている側にもなんとなくこなれ感が。
でもその「お約束」は第1話から少しずつ変わっていて、「決めるのは…」を言うのが優斗から修になっていたり、2人目の入居者となった毅が新たに朝食に加わっていたり、優斗が自分でLINEに友だち追加できるようになっていたり。日常のそういう小さな変化が、優斗の成長の証なのではないか。

優斗が夢を見つけるまでにはまだ時間がかかりそうだけれど、夢を持つ毅に羨ましいと思う気持ちを持ったこともまた、大きな変化。
きっとチャーとクロの目にも、変わっていく優斗の姿が映っているはずだ。

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