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2019第9節 京都サンガ×ツエーゲン金沢


4月14日(日)

明治安田生命J2リーグ 第9節
@西京極

京都サンガ 2-1 ツエーゲン金沢
得点者:金久保(43分・京都)、杉浦(83分・金沢)、仙頭(89分・京都)

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1)超ダイレクトサッカー

◆金沢最終形態?

ツエーゲン金沢とはこれほどまでに人を魅了するサッカーであっただろうか?
私はツエーゲン金沢、そしてそれを率いる柳下監督を見誤っていたのかもしれない。

金沢を始め資金力の低いクラブは戦力で劣るため、総じて『堅守速攻』を売りとするクラブが多かった。

今年の金沢もまた堅守速攻の類ではあるが、異彩を放っているといえよう。見ている者を魅了する、非常にダイナミックなサッカーを展開しここまで上位につけている。
開幕前、金沢がこれほどまでに驚異的な存在だと考えていた人は多かっただろうか。

見れば見るほど引き込まれる、魅惑的な堅守速攻がそこにはある。

彼らの強さの秘密を、試合前プレビューの前に見ていこうと思う。


◆金沢のストロングポイント

・両サイドと2トップが一気に敵陣になだれ込むダイナミックな攻撃
・コンパクトで大崩れしない442ブロック
・奪ってから縦に送るまでが尋常でない速さ
・縦パスに対するインターセプトの意識の高さ
・両サイドの運ぶドリブル、局面打開のドリブル

ざっと挙げるならこの辺になるだろうか。
とにかく奪ったらまず前に。特にSBやWBが上がって出来たスペースなどはごっつぁんですと言わんばかりに使ってくる。

大橋や藤村といったパス精度の高いボランチが揃っている。彼らからのピンポイントなパスは一気に金沢をチャンスに導く。

思い切ってシュートにいくことも多く非常に厄介な相手だ。


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2)試合前プレビュー

◆京都対策やいかに

京都と対戦する各クラブはしっかりと研究してきている。
特に前線からのプレッシングの鋭さや連動性、庄司へのタイトなマークなどを行いつつ、自チームの良さが活かせるようにしている。

金沢は両サイドを使った縦に速いダイレクトなサッカーでカウンターとなるとその勢いがさらに増す。
しかし過去2戦(千葉戦、鹿児島戦)を見ると、前線からのプレスで主導権を握ろうとする戦いとは言えなかった。ボールの奪い所としては主にミドルゾーンであったように思う。これを前重視にしてくるのかどうか、それによって京都の戦い方は大きく変わるだろう。

京都対策とするならば、恐らく前線からのプレッシャーをやや強めてのショートカウンターや、縦パス・ロングボールをインターセプトしてカウンターに持ち込むであろう。


◆金沢のここを突け

金沢の弱点として、2CH(ダブルボランチ)の1人が前に出るともう1人が後ろに留まってバランスを取るので、その時中央にスペースが出来ることがある。またDF・MFのライン間でボールを受けられた時の対応が曖昧で数人が引き付けられる状態になりがちだ。
それらを利用して中央を上手く使いながら崩していきたい。

金沢は442のブロックを作りスペースを消す守り方をする。
自陣深くまで侵入されるとCHの1人が最終ラインに吸収されて5バック気味になり、バイタルエリアは逆サイドの選手が埋めようとする傾向がある。
予め右サイドに寄せてから、庄司☞小屋松への1発で打開するパスを通すなど出来れば面白い。


出場すればだが、キーマンは金久保とジュニーニョだ。
前者は狭いエリアでボールを受けれるだけでなく栃木戦で見せたような相手を引きつける動きが出来る。後者は豊富な運動量とスピードでサイドの攻防に一役買ってくれるはずだ。


◆予想スコア

京都 2-1 金沢
得点者:宮吉、小屋松(京都)、小松(金沢)

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3)試合後雑感

◆両者のスタメン

京都は4123で、前節の試合途中に変更した布陣を最初から使ってきた。
金沢は従来の442。



●左右非対称の京都

京都の左サイドは主に小屋松のドリブル突破を生かす狙いがある。一方右サイドはDFの背後を狙ったり味方を生かしたりするのが上手い宮吉を軸にコンビネーションで崩していく狙いがあると見られる。
2試合連続スタメンの金久保はマークされるであろう庄司の代わりにビルドアップを助け、前線ではバイタルエリアを支配する役割を与えられていた。


◆前半

●立ち上がり10分とその後

立ち上がりの金沢は小松が庄司をマンマークし4411ブロックで京都を迎え撃つ姿勢だ。ハーフウェーライン付近に入ってくるボールに対してSHやSBがアプローチに行く。
縦へのボールをインターセプトして反撃に転じる狙いだ。

京都は庄司がマークされてるので安藤らが2CFの脇からボールを持ち上がるなどしてボールを運ぶことに成功。
44ブロックに対して、DF・MFのライン間に金久保や宮吉が陣取ることで相手の守備陣の混乱を招き、細かいパスを繋ぎながらサイドを崩していこうとしていた。
パスを回す基本は3人でトライアングルを形成することだが、この試合ではさらに選択肢が多い4人でひし形を作ったパス回しが何度か出来ていた(2:45〜、9:25〜)。

最初の10分は京都が主導権を握っており、もう少しでチャンスという場面もいくつか見られた。


前半10分頃から金沢はやり方を変えてくる。
庄司のマークをCHに任せ、2CFのクルーニーと小松を起点にSHやSBが連動して前線からのプレスを行った。

その結果京都の重心が下がり前線が孤立。思うようにボールを運ぶことができなくなった。
しかし庄司へのマークが疎かになったり、中央にスペースが出来ることが多く、京都はそこを使って擬似カウンターからチャンスを作ろうとしていた。

成功したとは言えないが、2)に書いた金沢の弱点を突こうとする狙いはチーム内に確かにあったと思う。


●思わぬとこから先制点

43分にスローインからの流れで金久保が先制点をあげた。
シュートが相手にあたりラッキーな形とはいえ、それまでの過程が良かったと思う。

スローインの際、ボールサイドに人が密集する傾向にある。この時金久保は既に、中央のぽっかり空いたバイタルエリアを支配していた。
一美が相手を背負いながらスローインを受けると宮吉とのワンツーで前を向く。重廣がDFの背後に飛び出す動きで相手を引きつける。一美はバイタルエリアでフリーの金久保へ。左からは小屋松が駆け上がってくる。金久保はここで小屋松へパスをを出すフェイクをいれてからシュート。

一美、宮吉、重廣、小屋松らそれぞれの持ち味が集約されたゴールだった。
また金久保のシュート後、一美、重廣、小屋松がこぼれ球を狙って詰めているのも良い傾向だ。


金沢はボールと逆サイドのSHがバイタルエリアを埋めるのを怠ったことが最も痛手だったであろう。
そもそもスローイン時に一美を止めきれなかったこと、宮吉を離してしまったことも失点の要因だろう。ミスが重なった形だ。


◆後半

●金沢が見せた修正力の高さ

守備では

・DFラインを高くして縦に間延びしないようにする
・SBがなるべく高い位置をとって相手を押し込む
・CHがセカンドボール、こぼれ球を狙う
・庄司はクルーニー、小松、藤村がマークの受け渡しをしながら見る
・ディフェンシブサードではCBやCHが上下しながらライン間の選手を捕まえつつバイタルエリアを埋める

攻撃では

・京都のIHが前に出てきて空いた中央を使いサイドに展開
・もしくはその中央を使うと見せかけてサイドに展開
・早めにクロスを入れる
・もしSBが前に出てきたらその裏を使う

前半ボールを奪いどころが曖昧で、奪っても2トップが孤立気味でカウンターに繋げられなかったので、全体を前に出すことで良さが出るように修正。


京都はプレスを受けた時のビルドアップで苦労していたのでそこにいくつか修正が入ったように見える。

・相手がプレスに来る中で庄司がフリーになることがあるのでそこを使ってビルドアップしていく
・金久保や一美が少し下がって受けてタメをつくる
・相手が出てきて空いたところに縦パスを入れて重廣や小屋松らで擬似カウンターを仕掛ける

前半の守備ではコンパクトな45ブロックで中央でもサイドでも相手を封じれていたので、そこは継続していくポイントだろう。


●膠着する後半

後半立ち上がりはプレッシングで修正を加えた金沢が優勢になる。京都の中盤が前から奪いに行こうとする中で後ろとの連動性がなく、縦に間延びしてかなり危険な時間帯が続いた。
京都は55分頃から高いDFラインの裏を狙うなどして押し返し一時主導権を握るが、しばらくボールが落ち着かない展開に。

京都が人数をかけてサイドを攻略しように固められて崩せず、金沢も奪ってからカウンターを仕掛けようとするが京都が後ろで守備の人数を揃えているので上手くいかず、クロスが増えるだけであった。


●急展開の残り10分

80分頃からややオープンな展開になり、カウンターの応酬のような、中盤でのプレー時間が極端に短い時間が増えてきた。
つまり互いに相手のゴール前でプレーする時間が増えたのである。
その中で小屋松が再三左から突破してグラウンダーのクロスを入れたり、一美や重廣や金久保が良いコンビネーションを見せたりと、連携面での向上は見ることができた。
欲を言えばこの時間に1点が欲しかった。

京都の失点も押し込まれた時間帯で、これまたスローインからだった。
一瞬空いたバイタルエリアからシュートを打たれ、それを杉浦が何故かトラップしてさらにシュート。

それまでに右サイドが何度か崩されており、そこにかなり意識が向いてしまったのだろう。
とはいえあそこで体を張って止めに行くことができなかったのはいささか残念だ。

●入って10秒でPK

87分プレーが切れて投入された仙頭が小屋松からのサイドチェンジでゴール前に迫りPKを獲得。
入ってからPK獲得までわずか10秒。そしてそのPKをきっちり決めて勝ち越し。

PK直前にFWとして入ったであろう闘莉王をCBにして541で逃げ切った京都がなんとか勝利を掴んだ。

◆総括

試合を通して、ダイレクトで縦に速いサイド攻撃という金沢の良さは出させていなかった。
前からのプレスに苦しんだものの、選手の良さを生かして打開できた場面もある。押し込んだ時にフィニッシュまでいけてないという課題はのこっているが、連携面はかなり解消されてきただろう。

しかし、改めて試合を見返してみると、現地で感じたほど良い試合ではなかった。
いつもなら苦しい試合のなかにポジティブな要素を見つけていけたのだが、肩透かしをくらったような気分である。


とにかく、私としてはトータルして見た時に良い勝利とは言えないと思う。
おそらく1-0、もしくは2-0で勝てる試合だったからだろう。

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4)素晴らしきジュンジュンコンビ

立役者は安藤淳、金久保順のジュンジュンコンビだろう。

安藤は元々のビルドアップ能力に加えて自らボールを運ぶことで京都の攻撃を活性化させ、守備では体を張ってピンチの芽を摘む。

金久保は卓越した技術で会場をザワつかせ、ポゼッションでは味方をサポートし、キープ力を生かしてタメを作り、チャンスの時には決定的な仕事をする。

ベテラン陣がここにきてポジションを奪い、圧巻のプレーを見せていることは戦力としてもチーム内競争を激化させる意味でも大きい。

いくつかのフォーメーションやメンバーを試していく中で、ここにきてまた1つピースが埋まった。


今後もこの2人の活躍に期待したい。


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5)最後に

今回はあまり気分が乗らず、色々とメモはしたもののそれがうまくまとまらなくてちゃんと書けなかった。

メモの段階でのちのち書きやすいようにしておくことと、書く時の構成を考えなきゃなあ…


試合見ながらTwitterにも色々書いたので、そっちの方がわかりやすいかもしれない。



残念ながら今回はこれだけ。

以上。

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