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2019第20節 京都サンガ×水戸ホーリーホック

時間がなかったので図解はなしですごめんなさい!

6月29日(土)

明治安田生命J2リーグ 第20節
@西京極

京都サンガ 2-2 水戸ホーリーホック
得点者:清水慎太郎(3分・水戸)、一美和成(37分・京都)、仙頭啓矢(61分・京都)、前寛之(79分・水戸)

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1)試合前プレビュー

2)試合展開及び雑感

3)ベンチワークの難しさ

4)最後に

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1)試合前プレビュー

ここまでJ2を牽引する水戸の強さはまぐれでは無い。

J2トップクラスの連動性を誇るプレッシングとショートカウンターを武器に、京都とは対局のストーミングサッカーでJ2を席巻している。

なんの偶然もなく、各ポジションに走力があり球際で戦える選手、ドリブルやクロスなど一芸に秀でた選手が揃っている。

チームの戦い方は非常に割り切ったもので、そこにハードワークが大前提として加わることで攻守にわたって相手を上回ることができている。

水戸の大まかな狙いは下記によるとして、私の見解からすると引き分けは妥当なとこだろう。
実際totoを買う時も、京都の勝ちに賭けることが出来ず引き分けをえらんでしまったほどである。

キープレーヤーは浅野だ。
ここまで途中出場が続いていたが緩急をつけた鋭いドリブルで黒川や清水らとともに攻撃を牽引する。
17節の2ゴールもまぐれではないだろう。

予想スコアは 1-1 の引き分け。

苦しい展開が予想されるが、良い意味で裏切られることを願う。

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2)試合展開及び雑感

◇スタメン

京都は前節と変わらず。水戸は試合前に横浜Fマリノスへの移籍が発表されたDF伊藤に代わりンドカがスタメン復帰。

◇水戸の守備


●京都ディフェンシブサードでのビルドアップ時

2トップがCBにプレスをかけてボールをサイドに誘導。SHが前に出て3トップのような形で追い込む。そこにCH(前、平野)やSB(岸田、志知)が呼応して、京都のIH(重廣、金久保)やWG(小屋松、仙頭)にボールが入るところを狙う。
基本的にマッチアップする選手にマークにつくが、重廣にはCB細川が対応するところがポイントだ。ンドカが一美をマークしつつ、広大な裏のスペースをカバーする役割を担う。


●それ以外の場面

基本的にミドルサードまで運ばれた時や被カウンター時は撤退して442のブロックを作る。前半早々にリードしたこともあり、カウンター狙いの様相。
PA前を最終ラインに、44のラインをコンパクトに、2トップは縦関係になって、ボールサイドの選手は守備参加。もう片方はサイドチェンジに対応&カウンターターゲットとなっている。
中盤4枚は横にコンパクトに守る。一方最終ラインはンドカがゴール前に張り付く傾向があり、特に右サイドでSBとCBの間にスペース(チャンネル)ができやすい。CHがそこを埋める役割をしていた。

ンドカ退場後は441と531でゴール前を固めることに専念。
前がそのまま下がってCBに、右CHに白井、右SHに黒川と1つずつポジションを下げる形で埋める。
ここでの交代枠の使用はなかった。

京都がサイドを広く使って攻撃するため、左SH浅野が最終ラインに吸収されて5バック化することが多かった。


●水戸の攻撃

SHやCFの走力を武器にショートカウンターが多い。後ろでボールを奪うと、ロングボールで裏のスペースに選手を走らせるか清水のポストプレーを起点に攻撃をする。
2トップが縦関係になり、ライン間でボールを引き出す役と裏に抜ける役に分かれる。またサイドの選手は積極的に裏を狙うアクション見せる。
1発で裏に送るか、ライン間のCFを利用してドリブルとショートパスで崩していく。

●京都の守備

基本的に451(4141)ブロックで守る。
水戸がロングボールを多用することは織り込み済みなので、最終ラインと中盤をコンパクトにし、庄司を中心にセカンドボールの回収を狙っている。
プレスはCF一美とボールサイドの選手だけ。CBからの縦パスを警戒しつつ、SBにボールを持たせて蹴るように誘導する。

水戸にはドリブルの得意な選手が多いため、常にチャレンジアンドカバーの意識はあった(しかし対人守備が得意ではない選手が多いためそれでも止められないシーンは多かった)。

●京都の攻撃

ボール保持時は2323→235の基本陣形。

・ビルドアップ
水戸が442で守るので、ピッチを広く使ってとにかく相手をスライドさせることを意識してボールを回す。
水戸のプレスの出足が早いので、GK清水をボールの逃げ場としながらのビルドアップ。
金久保が下がってビルドアップの出口となるシーンも多く、金久保起用の意図が見えた。

相手を横に動かし、庄司へのマークが緩くなったところで庄司を使いながら、IHやWG、おりてくる一美をビルドアップの出口とする。

・ハーフレーン攻略
中盤4枚に対して左右の揺さぶりでスライドさせ、SHとCHの間のハーフレーンが空いたところに縦パスを通す。主にCBの安藤、本多がボールの出し手、重廣や一美がボールの受け手となる。
44ブロックのCHがあまり前に出てこないので、SHを釣り出してSH・CH間から斜めにパスを通す。
最終ラインの前に晒したところで、SBとCBの間のスペースを利用してサイド攻略に繋げる。

またゴール前では一美の体の強さや重廣、金久保のテクニックを駆使し、ワンタッチで落としてからシュートの形を狙う。

◇前半

プレスがばっちりハマった水戸が先制。

1:50〜 プレスを受けた京都がGK清水を経由してボールを動かそうとするがミスが絡み繋ぎきれなくなる。
イーブンになったボールを拾われ、浅野の突破を許してしまい、最後は嶋田に押し込まれた。

浅野のドリブル開始時、黒川が潰れ役になったことが大きかった。

これまでも何度か見られたが、繋ごうとしすぎるあまり中途半端な対応になってショートカウンターを受けていて、それが失点に繋がった。
もっといえばビルドアップ時点でのパスミスや、(押し込まれることを懸念してか)明らかに枠外シュートを止めにいってしまうなどミスが重なった失点でもある。

●ンドカ退場への布石

5:29〜 京都のビルドアップで、福岡から前線にパスを送ったシーン。
重廣がボールを受けにおりたところ、CB細川を引き付けて潰れ役となり、最前線の一美へ。ンドカとのデュエルではマイボールに出来なかったものの、CB細川を釣り出して裏のスペースを使う攻撃の形が見えた。

仙頭もSBを引き連れつつ裏のスペースを狙う動きがあり、チームとして右サイドの攻撃の狙いがあったように思う。

20:45〜 京都のビルドアップ、福岡がおりてきた仙頭に預け、リターンパスをダイレクトで前線に送る。
上述の通り、重廣が細川を釣り出しており、一美がンドカと入れ替わってゴールに迫る。
そして倒されてレッドカードを誘発。

あのままでも決めれたかもしれないが、退場に追い込んだことで京都のボール保持の時間が長くなり押し込めたのは言うまでもなかろう。

その後もハーフレーン攻略や一美のポストプレーなどからチャンスを作り、37分についにこじ開ける。

ゴール前のこぼれ球を拾ったことと、一美のストライカーらしいエゴが出たゴラッソであった。

DAZNベストゴールにノミネートされてないのがおかしい。

◇後半

後半もほぼ京都のゲームだった。
左の小屋松が警戒されてるので、左にボールを集めつつ、右に展開して仙頭や福岡を使ってチャンスを作る回数が増える。

61分の京都の逆転弾もその形からだ。
仙頭が折り返し、金久保がヒールで落として、再び仙頭。

粘り強く守る水戸をようやく逆転した。

後半は特に、SBとCBの間のスペース、左SHが下がって5バック化したところの裏のスペースを狙う攻撃、つまり京都の右サイドを使った攻撃が増え、そこがゴールに繋がった。
また2試合連続スタメンの金久保が効果的にゴール前に顔を出したことも大きい。

が、琉球戦でも言ったように、勝ち越し点の時間帯が早いため、もう1点取りに行くのか守るのか、ベンチワーク含めて選手間での意思疎通が難しいように感じた。

ピッチ上ではもう1点取りに行く判断がなされていたように見えたが、カウンターを受ける場面も前半より多くなり、戦い方に慎重さがほしいところであった。
水戸は攻撃的な選手を次々投入し、よりカウンターへ移行しやすくしていた。

そんな中、水戸がリスタートなどから徐々に押し込んで、1人少ないながらも追いつく。

京都としてはドリブルとショートパスのコンビネーションで対応が中途半端になり、後手に回ったシーンの連続であった。

10人になり、逆転されても最後まで走りきった水戸が勝ちに等しい勝ち点1をゲット。ホームの京都は琉球戦に続いて勝ち点3を取りこぼす痛いゲームとなった。

◇雑感

京都としては早い時間帯から逃げ切る準備をするか、3点目を狙いつつもボールポゼッションの時間を長くしてリスクを減らす策を取りたかったが、ベンチの構成上それが難しかった。
そもそも相手が1人少なく、ピッチ上の選手も結果を出しており交代枠の使い方が難しかったように感じる。

水戸の方が1人少ないながらも走りきったこと、そもそも戦い方がはっきりしていたことが引き分けに持ち込めた大きな要因だろう。

京都は『逆転した後に少しこちらのチームとしての一体感がほどけたタイミングで同点にされたような流れだったかなと。(中田監督)』というように、攻める時間帯が続きすぎたことがほんの数分守るという時に心理的な影響を及ぼしたのかもしれない。

そこさえ耐えれば残り10分逃げ切りを図れる、という場面での失点が続いており、ピッチやベンチ含めてチームの意思統率が今後の課題になってくるだろう。

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3)ベンチワークの難しさ

これまでの全20試合+TM数試合を見た私として、戦術的理解度や技術面を鑑みた上で、スタメンに食い込める選手が限られている印象がある。

ベンチに名を連ねる選手が出場機会を得ることはあるが、スタメンに比べるとクオリティが落ちる傾向にあり、特に劣勢時や勝ち越し点が欲しい状況でベンチワークが機能していないことが少なくない。

つまり、選手層が薄いのだ。

クラブの台所事情やストーブリーグ(シーズン開始前の移籍市場)での動向から、1年目の体制にそこまで求めるのは酷である。

しかしここまで結果が伴ってしまってる以上、さらに上を目指すとなるとチーム力が物を言うのは事実だ。

天皇杯含め、固定されつつあるスタメンを脅かす選手があと2,3人出てこないと厳しいだろう。

たとえスタメンで出れなくとも、早い時間帯から交代で出れるようでないと、こういった苦しい試合、琉球戦のようなシーソーゲームを勝ち切ることは難しい。

この試合でも石櫃、ジュニーニョ、エスクデロが途中出場した。右SBとして返り咲きつつある石櫃を除いて、他のふたりは出番が限られている。
少ない時間で結果を出せというのは酷だが、長時間出場させれるほどのクオリティでないことを考えれば、そのようなことは言ってられない。
もちろんこれは全選手に言えることだ。

中田監督が上手くいってる状態での変化を嫌うという面も含めて、ベンチワーク、強いてはチームの総合力が問われてる段階に入りつつあるのかもしれない。

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4)最後に

相手が11人のままならどう転んでもおかしくなかったゲームなので、退場者を出させて試合を優位に進めたこととガチガチに守る相手を崩して2点奪えたことは好材料だ。

10人の相手でほとんどの時間帯でボールを握れたので、逆にゲームコントロールが難しかったかもしれない。

たらればではあるが、決定機も3,4本あったので、そういうところで決めきる強さもまだないのかなと。

上位対決が続く中で、この引き分けが良かったのか悪かったのかは分からないが、今後勝ち点を積み重ねることで『水戸戦の引き分けは悪くなかった』と言えるようにしてもらいたい。

これでPO圏内クラブとの試合は1分4敗。

下位相手の取りこぼしがほとんどないのは好材料だし、上位相手に善戦してることもたしかだ。

ここからは上位に相手にどこまで食らいついて勝ち点をひとつでも多く奪えるかが昇格への鍵となる。

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