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医療マンガ200冊読んだ僕が選んだオススメ医療マンガBEST10

こんにちは、年間約3000冊のマンガを読んでいる、おてつです。

近年増えてきたとはいえまだまだマイナージャンルの医療マンガ。
気づけば200冊ほど読んでいたので、その中でオススメのシリーズBEST10をご紹介します。


なお医療マンガの定義ですが今回は「医療従事者が主人公のマンガ」としました。
医療をテーマにしたマンガでも、患者さん側が主人公となっているものは含みませんのでご了承ください。(ただし番外編として一部紹介しています)


BEST 1 『フラジャイル 病理医岸京一郎の所見』

すさまじく仕事ができるけどとてつもなく性格が悪い病理医 岸先生。
ドクターズドクターと呼ばれる病理医という立場から、様々な科の様々な病と向き合っていく。

もう一般読者置いてけぼりだろと思うほど専門的なレベルに踏み込み描くことで演出される圧倒的なリアリティと緊迫感。胸が引き裂かれるような患者さんの苦しみと、それに向き合う医療従事者の思いやプロフェッショナリズムを、どこまでもしっかりとドラマチックに描いている描写。一人一人自然に飛び跳ねるかのように豊かなキャラクター。適度にギャグを挟むことで、より医療部分のシリアスさを際立たせる、見事なまでの構成。

文句なしに現代医療マンガの頂点といえるダントツおすすめの作品。絶対に読んでほしい。

連載中で既刊21巻。


BEST 2 『ブラック・ジャック』

医療マンガの金字塔、手塚治虫先生の『ブラック・ジャック』。
無免許の天才外科医がメチャクチャに難しい手術をこなして法外な報酬を受け取る話。

少年マンガの古典なので、現代医療マンガと比べると専門的な描写は控えめで展開もシンプルで、仕事マンガとしての側面も弱いが、そうはいってもやはり医療マンガのエッセンスはしっかり。物語の多彩さも圧巻の一言。
古典をおさえるなら絶対にこのマンガ。

完結済み全12巻~25巻(新書版/全集版/豪華版/文庫版など収録シリーズにより冊数が異なる)。
収録シリーズによって未収録話が異なるので購入の際は注意しよう。

↓復刊ドットコムの大全集版が最も未収録話数が少ない(3つ)が、紙の書籍しかなく1冊3,850円で全15巻とかなり高額。

↓電子版の中ではチャンピオンの新書版が最も未収録話数が少ない(8つ)。一冊473円で全25巻とお値段も常識的。


BEST 3 『JIN―仁―』

幕末へタイムスリップした外科医のマンガ。

現代の医学知識を活用し異世界転生モノさながらに活躍する気持ちよさはもちろんのこと、高い医学知識が理由で厄介事に巻き込まれたり、歴史に強く関わっていったりと、幕末ならではの人間関係や歴史のうねり、人々の暮らしぶりなど、様々な視点から楽しめる作品。

原作の面白さゆえか、テレビドラマの人気も非常に高い。
10年以上前に放映されたドラマであるにも関わらず、昨年の人気ドラマとして1位を獲得したほど。

完結済み全13巻。


番外編1:歯科医療マンガ『デンタルクエスト』

番外編その1。もの珍しい歯科医療マンガの中でもさらに異色の歯科衛生士を主人公としたマンガ。
意識高い系歯科衛生士の歯守リンゴが異常な熱意で周りを巻き込みながら奮闘していく話。

リンゴというキャラクターを通して、人々の口を守りたいという作者の強い思いがビシバシ伝わってくる。読んでいてすぐ歯医者に行かなくちゃと思えるほど熱い思いを感じるマンガ。

惜しむらくは歯科医療従事者から見るとこれはちょっと‥‥と思える描写が少なくないこと。残念ながら、歯科衛生士はおよそまともに衛生士業務をやらないという歯科衛生士が大半であるため、ほんの少し低レベルなことをやるだけでもまともな方に入ってしまう有様だし、同様に歯科医師側もほんとんどが衛生士業務についてまともな理解ができていない。なのでおそらく取材先のレベルの問題なのだろう。
今後作者がどこかで本当にきちんとした歯科衛生士業務をやっている歯科衛生士・歯科医院に出会えることを期待したい。

連載中で既刊1巻。


BEST 4 『アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり』

医療マンガとしては珍しい薬剤師を主人公としたマンガ。

「いや薬剤師ってそこまで患者さんに干渉しなくない?」とは思ってしまうがそれはそれとして、患者さんとの関わりや、他の医療従事者との関わり、プロとしての自身の見つめ直しなど、医療マンガが医療マンガとして面白くあるためにあるべき要素がしっかり揃っている質の高いマンガ。

連載中で既刊7巻。


BEST 5 『医龍』

さる事情により働く場所を失っていた天才外科医 朝田。難手術の論文を書き上げて教授になることを目指す加藤が、大学病院に朝田を招聘する。朝田は見事に期待に応えた活躍をするものの、次第に大学病院という政治の場に巻き込まれていくマンガ。

オペの描写は豊富だが、患者さんと向き合う医療マンガというよりは、大学病院における医師同士の政治がメインの医療政治マンガといえる。
それゆえに医療マンガ好きの中では好みが分かれるが、原作・ドラマとも非常に人気が高い。

完結済み全25巻。


番外編2:闘病マンガ『腸よ鼻よ』

番外編その2。患者さん側を描くいわゆる闘病モノの中でもダントツの面白さを誇る、作者の実録ギャグマンガ。

潰瘍性大腸炎で10回以上緊急入院しているというすさまじすぎる闘病生活でありながら、軽快すぎるギャグで終始ニコニコしながら楽しく読める。

個人的に一番好きなエピソードは五臓六腑のお守りを買ったらその日のうちに壊れる話。そんな一瞬で神通力使いきっちゃうことある??

連載中で既刊5巻。


BEST 6 『ラジエーションハウス』

幼い頃好きだった子との約束で、医師免許を持ちながらも放射線技師として働く五十嵐と、その約束をすっかり忘れている甘春あまかすのマンガ。

医師をも驚かせるほどの五十嵐の活躍ぶり、技師であることがバレないかのドキドキ、甘春あまかすに思い出してもらえるかどうかのやり取りなど、医療的な要素だけでなくラブコメテイストな要素を楽しめる作品。

連載中で既刊11巻。


BEST 7 『腐女医の医者道!』

腐女子で子持ちで夫婦とも医師な女医が描くエッセイマンガ。

外科医をやりながらママ、ママをやりながら外科医、という生活がどんなものなのか楽しく面白く学びになる作品。

食事は立ったまま5分以内で済ませ、睡眠は1時間おきに起こされ、帰宅しても玄関で力尽きて朝までそのままのことも、、っていう外科医ライフ送ってたらそりゃ子育てもそんなにつらく感じないよね‥‥。

既刊3巻+1巻。


BEST 8 『マンガで分かる心療内科』

心療内科で扱われる様々な疾患についてギャグ全開にしながらもしっかり解説していくマンガ。

面白く! ためになる! がキーワード。

作者のゆうメンタルクリニックではこの他様々なシリーズを連載しているので、まずは公式サイトをのぞいてみてもいいかもしれない。

連載中で既刊22巻。


番外編3:闘病マンガ&活字『うつ病九段』

番外編その3。プロ棋士 先崎学九段がうつ病になったときの様子を描いたマンガ。

うつ病になったとき人の頭の中は果たしてどうなっていき、どんな行動をとるのか。どう回復していくのか。
本当に生々しくリアルに分かりやすく描かれた作品。

マンガ版が出てはいるものの、原作の活字版の方がやはり描写が丁寧でしっかりと書かれており、うつ病とはこういうものなのかと手に取るように理解できる(気がする)ので、できればそちらの方がオススメ。

↓マンガ版

↓原作の活字版。オススメ。


BEST 9 『Shrink~精神科医ヨワイ~』

精神科医の話。

数話にまたがりしっかりページを使って、一つ一つの疾患に関して説明しながら、その患者さんの悩みを描き、それに対する治療を丹念に描いている、とても好感が持てるマンガ。

雰囲気柔らかで患者さんと丁寧に向き合う医療の姿や、精神科における医療のあり方など、これぞ医療マンガという感じ。精神病についても少し学んでみたいという人にもオススメしたい。

連載中で既刊6巻。


BEST 10 『19番目のカルテ 徳重晃の問診』

近年19番目の診療科として新設されている総合診療科の医師を主人公にしたマンガ。

ときに患者さんの入り口として診断にあたり適切な専門科につないだり、専門科では見落としがちな疾患を診断したり、専門科同士をうまくつなげたりと、あらゆる科にまたがって活躍していく話。

すでにバリバリ活躍できるだけの能力を持っている徳重と、まだまだ修行中の滝野の対比が楽しめる。
総合診療科というその独特な役割や新しさゆえの悩みなどユニークな部分がありながら、他科と連携を図るという性質上様々な疾患が扱われるのも魅力的なところ。

連載中で既刊3巻。


まとめ

BEST 1 『フラジャイル 病理医岸京一郎の所見
現代医療マンガの頂点。

BEST 2 『ブラック・ジャック
医療マンガの金字塔。古典。

BEST 3 『JIN―仁―
幕末へタイムスリップした外科医。

BEST 4 『アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり
薬剤師。

BEST 5 『医龍
外科医の医療政治マンガ。

BEST 6 『ラジエーションハウス
放射線科。ややラブコメ。

BEST 7 『腐女医の医者道!
腐女子で子持ちで夫婦とも医師な女医エッセイ。

BEST 8 『マンガで分かる心療内科
心療内科ギャグマンガ。

BEST 9 『Shrink~精神科医ヨワイ~
精神科医。

BEST 10 『19番目のカルテ 徳重晃の問診
総合診療医。

番外編1『デンタルクエスト
熱い歯科衛生士。

番外編2『腸よ鼻よ
ダントツにギャグが面白い闘病マンガ。

番外編3『うつ病九段
うつ病がリアルに学べる。


以上です。


参考:この他読んだ医療マンガ(五十音順)

『アンメット ーある脳外科医の日記ー』
脳外科医のマンガ。やや説明的。連載中で既刊3巻。


『オペ看』
手術室で働く看護師、いわゆるオペ看のマンガ。新人のドタバタや悩みを描いたもの。完結済み全3巻。


『錦糸町ナイトサバイブ』
歯科助手のマンガ。コメディ寄り。完結済み全3巻。


『研修医 なな子』
研修医のマンガ。描かれているエピソードは具体的かつコミカルで面白いが、この時代の少女マンガにありがちな、山谷がなく抑揚の弱い作品なので、マンガとしてみるともう一つ。完結済み全4巻。


『コウノドリ』
産科医のマンガ。ドラマ化もされ流行ったが、どうもマンガをマンガ的に面白くドラマチックに描くことに偏りすぎて、患者さんと医療従事者をないがしろにしている姿勢を感じてしまう。なので個人的にはオススメ作品として挙げなかったが、人気の作品ではあるので、試しに読んでみてもいいかもしれない。完結済み全32巻。


『透明なゆりかご~産婦人科医院看護師見習い日記~』
産婦人科で働く看護師見習いの実録マンガ。実録だけあってリアリティのあるエピソード、残酷な現実が魅力の作品。かなり流行しドラマ化もされたが、作品の向こう側に見える主人公のポンコツぶりがちょっと苦手でオススメ作品には挙げられなかった(一般にはそこまで感じ取れないはずなので、普通は問題なく作品を楽しめると思う)。完結済み全9巻。


『Dr.コトー診療所』
離島診療所のマンガ。これもドラマ化され流行した作品。緊迫感のあるはずのエピソードでもどうも迫力が足りない点や、人を殺そうとする医療従事者がなんら罰せられない展開が苦手。完結はしていないが全25巻。


『歯医者さん、あタってます!』
主人公が女装してて歯科医師でヤクザの若頭のギャグマンガ。今回の定義的には医療マンガなんだけど、さすがにこれは本質的にはギャグマンガだろうということでオススメには挙げなかった。連載中で既刊3巻。


『プラタナスの実』
小児科医のマンガ。医療の現場を丁寧に描いていて良い作品なんだけど、オススメ作品と比べるともう一つマンガとしてのパワーに劣るので挙げられず。連載中で既刊3巻。


『ブラックジャックによろしく』
『新ブラックジャックによろしく』

大学病院の論理に翻弄される医師のマンガ。これも人気のある作品だけど、『医龍』同様に政治的なところがそれほど好きではないのでオススメには挙げず。完結済み全13巻+9巻。


『ほたる~真夜中の歯科医』
夜間診療の歯科医師のマンガ。青年マンガらしいキャラとエピソードがしっかり描かれているけど、何が魅力かと問われるとちょっと難しいかもしれない。完結はしていないが全1巻。


『麻酔科医ハナ』
麻酔科医のマンガ。これもマンガとしてのパワーがいまひとつ。完結済み全6巻。


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