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HUNTER×HUNTER考察 ヒソカvsクロロ 4つの問いに答える(1/4)

まず最初に。
この考察は下記暇な空白氏の考察を下地にしています。(正確には下記のnoteの元となった記事が下地ですが、すでに削除されています)

HUNTER×HUNTER考察 ヒソカクロロ戦共闘説とダブルフェイスの制約と誓約|暇な空白

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自分でも考察する

の順番です。
あらためて自分で考察してみたつもりではありますが、上記考察に引っ張られている部分が多くあるはずです。
また、一部根拠の追加や道筋の違いはあるものの、ほとんどが同じ結論で、新しい要素はそれほど多くありません。

では、なぜわざわざ書くかというと、このバトルを最初に読んだときに自然に浮かんでくる疑問(たとえばクロロの言ったダブルフェイスの「厄介な制約」とは何か? など)に対して1つ1つ答えていく形で、つまり自分がすっきりする形で問いと答えを整理したかった、というのが一番の理由です。

記事は全部で4つに分かれていますが、この記事の場合(この(1/4)の記事の場合)、上記考察がすでに頭に入っている方は
 見出し「考察における「問い」」
 見出し「もうひとつの制約:何度も使えない」 以降
だけご覧になれば十分かと思います。

基本的には、上記考察が未読な方に向けて書いています。

考察における「問い」(読んだときに自然に浮かんでくる疑問)

まずこの戦いを最初に読んだときに自然に浮かんでくる疑問=問いについて列挙します。


Q1. ダブルフェイスの厄介な制約とは何か?

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Q2. クロロがすべての能力をわざわざ説明したのはなぜか?

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Q3. クロロのいう「100%勝つ」は本当か?

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Q4. 200を超える観客が襲いかかった。これはヒソカの予想を大きく上回る数、ありえないほどの数だった。なぜか?

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私の場合大きな疑問は以上4つでした。
考察はこの4つの問いに回答する形で進めていきますが、分量が多いので問い1つにつき1記事書く形に分けています。
今回の記事では「Q1. ダブルフェイスの厄介な制約とは何か?」について回答していきます。

入手時の制約か使用時の制約か?

まず制約はおおざっぱに2種類考えられる。
入手時の制約か使用時の制約。

スキルハンターはもともと入手時にいくつかの制約がある。ダブルフェイスで使う場合は、さらに追加の条件を満たした上で盗んでおく必要がある、というのはどうか?
ない。
クロロは「両手を空けないと発動しない能力を盗んだことで調整を余儀無くされた」と言っている。つまり、盗んだあとで調整し(ダブルフェイスを習得し)、使用可能になったのでないと話があわない。

能力を元の能力者に返還する手段がある

制約について考える前提として、スキルハンター・ダブルフェイスには、能力を元の能力者に返還する手段がある
このことはバトル後のクロロの「ケータイどうする? アンテナ無いけど」の発言で確定。

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もしクロロが能力を盗んだままなのであれば、「ケータイどうする?」の発言は出てこない。そんなことをしたらクロロがブラックボイスを使えなくなってしまう。
ケータイを返しても全くデメリットがないようでないと、返却は打診しないはずだ。したがって、クロロはすでにブラックボイスの能力を失っている。

さらに「アンテナ無いけど」で、シャルナークの元に能力が戻っていることが確定する。
この発言は、アンテナがないとケータイの価値が落ちることを意味している。シャルナークがブラックボイスの能力を失っているのであれば、アンテナは何の価値も無い。「アンテナ無いけど」と言う必要がない。ということは、シャルナークの元にブラックボイスの能力が戻っていないとおかしい。

※シャルナークが自分を自動操作する方の能力が残っているのでは? という指摘があるかもしれない。しかし、ベル戦でシャルナークが自動操作を開始したとき、能力名は読み上げられていない。ということは自動操作はブラックボイスの能力の一部と考えるのが妥当ではないだろうか。
ブラックボイスの操作方法の一つに「自動操作」がある、と考えるとすっきり理解できる。

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仮に盗んだ能力を返還できないのであれば、シャルナークとコルトピから永劫的に能力を奪うことになる。団長としてそんなことをするだろうか?
能力を奪ってしまうということはこれまで
・シャルナークがブラックボイスを使う
・コルトピがギャラリーフェイクを使う
・クロロがなんらかの能力を使う
を同時に3つ実行できたのに対し、
・クロロがなんらかの能力を使う
の1つしか実行できなくなることを意味する。明らかに戦力ダウンだ。

であれば、他のカード(能力)をそろえてなんとかするとか、ヒソカから逃げ続けるとか、タイマン以外の方法でヒソカを殺すとか、別の方法をとるだろう。

以上のことから、能力を返還する方法が存在するといえる。

返還の方法と条件は?

返還方法について。
これはクロロが任意で返せる(返そうと思ったらただスッと返せる)ものか、それとも制約で強制的に返されてしまうようなものだろうか?
制約だと思う。
なぜなら盗賊がものを返すのはおかしい。敗北である。誘拐犯なら「盗んだものと引き換えに何かを得る」のは自然な行為だが、クロロは盗賊だ。手に入れた時点でお前のものは俺のもの。
返還はやむにやまれずすること。つまり制約と考えた方が自然だ。

ダブルフェイスの制約として能力が返還されるということになる。

どのような条件で返還されるのか?
素直に考えれば「n回使うと返還される」か「m分経つと返還される」あたりだろう。

例として、「n回使うと」にはクラピカのスチールチェーン、「m分経つと」にはレオルのレンタルポッドがある。

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ここから先の推測については「Q4. 200を超える観客が襲いかかった~」と関係する話なので、その回答をふまえた推測になるが、結論からいうと「n回使うと返還される」の方が妥当だと思う。
「m分経つと返還される」だと、このバトル内で意図的なタイミングで返還するのが難しくなってしまうからだ。

「n回使うと返還される」場合、可能性としてはもちろん2回でも3回でも10回でもありえるのかもしれないが、右手で本を開くことで2つの能力を同時に使える=強力なコンボが使える、という超強力な効果を考えると、1回で返還されるくらいでないとバランスが取れない気がする。2回以上使えるならもう1つ大きい追加の制約がないとおかしい。
「1回使ったら返還される」と仮定して詳細をつめていこう。


「使う」の定義は何か。
単純に栞を挟んでいるページの能力を「1回使う」か「栞を挟んでいる間は使い放題だが、栞を外すと終わり」なのか。

「1回使う」制約はつらい。例えばオーダースタンプのようにたくさんの対象に複数回使うことで本領を発揮するものの場合、たいして役に立たなくなってしまう。確かにダブルフェイスという強すぎる能力を実現できるだけの制約だとは思うが、本だけで使う場合に無制限であることと比較すると、やや過剰であるように思う。この場合は「1回」ではなく「3回」とか回数が多い方がバランスが取れると思う。
が、すっきりしない。「1回」の価値が能力によってあまりにもバラつくため、制約が過剰であったり逆に不足であったりするように感じられる状況が頻出しそうだからだ。
まあそれを言ったらクラピカのスチールチェインは1回しか使えないけど。

一方で、「栞を挟んでいる間は使い放題だが、栞を外すと終わり」の場合、冒頭でコンバートハンズについてクロロが説明した時点で能力が失われないとおかしい。が、これ以降もクロロはコンバートハンズを使っている。なので、この制約ではない。

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間をとって、「栞を挟んでいる間は使い放題。栞を挟んでいる間に一度でも能力を使うと、栞を外したときに能力が返還される」というパターンが一番すっきりする。

もうひとつの制約:何度も使えない

能力が返還される、という制約は確かに強いものだが、これだけだと今回のようにシャルナークやコルトピといった仲間から盗んだ場合や、フクロウのように拘束した人間から盗んだ場合に使い放題になってしまう。制約が意味をなさない。
とすると、追加の制約として使用制限があると考えるのが自然だ。

考えられるのは2つ。

1つはシンプルに「一度盗んだ持ち主からは二度と盗むことができない」。
2つ目は「ダブルフェイスで使用し返還された能力は、もうダブルフェイスで使用することができない」。


1つ目は非常にシンプルでキレイでいかにもこれが正解という気がする。
ただ、一つひっかかるのは、ダブルフェイスの制約のはずなのにスキルハンターの能力に制約になっていること。
確かにダブルフェイスはスキルハンターという能力が存在してこその能力であり不可分なものなので、スキルハンターに影響を及ぼすこともありえないことではないように思う。が、やっぱり別の能力は別の能力なので、気持ちが悪い。
たとえば何らかの理由でダブルフェイス自体の能力を失ったらどうなるの? 一度返還した能力ももう一度スキルハンターでは盗めるの? だってもうダブルフェイスは存在しないんだから制約も存在しないはず。いいのだろうか?

2つ目の「ダブルフェイスで使用し返還された能力は、もうダブルフェイスで使用することができない」ならどうか?
こっちはダブルフェイスの制約がダブルフェイスの中で完結する、という意味ではすっきりする。
が、ちょっとややこしい制約になるのがひっかかるし、整理してみるとちょっと制限が甘すぎる気がする。特にC.
A. 一度返還した能力のページを栞に挟み両手を開ける →不可
B. 一度返還した能力のページを栞に挟み、別の能力とコンボ →不可
C. 一度返還した能力のページを開き、別の能力に栞でコンボ →可
D. 一度返還した能力のページを開いて(栞なしで)使う →可

どちらもすっきりしないので今回は保留とした。

返還の例外:持ち主の死

そしてもうひとつ。

ダブルフェイスは栞に挟んで一度でも使い栞を外すと持ち主に能力が返還される。が、「死によってより強まる念」能力で、能力者が死んでいる場合、つまり今回だとサンアンドムーンは対象外で返還されない。

クロロは冒頭で栞をはさみサンアンドムーンを使っている。

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しかしそのあともサンアンドムーンは使い続けており、能力が失われていないことが分かる。

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クロロはサンアンドムーンを「死によってより強まる念」「オレにとっても驚きだった」と言っていることから、持ち主はすでに死んでいる。

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で、死んでいる場合は能力を返還する先がないので能力が返還されない、という理屈が成り立つ。

返還の例外:持ち主の死 追加の制約

ただこれだと問題がある。
持ち主が死んでいるから返しようがない。死後の念だから本から失われることもない。それ自体はしょうがない。

だがそれは誓約破りではないだろうか?

栞を外した時この能力を失います。それを制約として誓います。あれ? 栞を外したけど能力を失うことができませんでした。死後の念なので。

どう考えても誓約破りでは??
だとすればペナルティが課されるはずだ。

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逆のパターンも考えよう。
今からサンアンドムーンを使いたい。でもこれは死後の念だからダブルフェイスで使っても失わない。
「失わない」と考えながら使うのは誓約していないも同然に思える。したがって、能力が発動しないはずだ。

つまり死後の念に対して例外規定を定める追加の制約がある。なくてはならない。


ではどのような制約が考えられるだろうか、私ならこんな制約にする。

「栞を外したとき能力の持ち主がすでに死んでおり返還に失敗した場合、代わりに任意の能力を返還する。指定しなかった場合はランダムな能力を1つ返還する」

もともとダブルフェイスの制約として能力を1つ返還することで十分なのだから、代わりに別の能力を返還すれば帳尻が合うはずだ。
といってランダムな能力が返還されるのはリスクが大きすぎる。まともに戦えない。死後の念でないときはその能力自身を返還すると確定しているのだから、死後の念の場合も返還する能力がどれなのか確定していても制約としては十分だろう。
ただ、万一なにを返還するか思い浮かべるのを忘れ、制約を満たせず念能力ごと失ったら目も当てられない。だからそのときは勝手にランダムで1つ能力を返還する、と決める。


クロロがこの制約を決めた時、おそらくはこんな流れだっただろう。

長老からサンアンドムーンを盗んだ。
盗んだあとで長老は死んだことを知った。
ふとスキルハンターで本を見て気づいた。サンアンドムーンが失われていない。この念能力は死後の念だったのだ。だから能力が残っているのだと。
しかしすぐ問題に気づいた。死後の念はダブルフェイスで返還することができるのだろうか? もしサンアンドムーンを失ってすめばそれでいい。しかし死後の念による力で能力が失われなかったら? 誓約破りだ。念能力を失ってしまうかもしれない。それはまずい。

焦ったクロロは死後の念について例外を定めた制約を作った。

まとめ

Q1. ダブルフェイスの厄介な制約とは何か?

・栞をはさんだページの能力を使用し、栞を外すと、使用した能力が本から失われ持ち主に返還される

・「一度盗んだ持ち主からは二度と盗むことができない」もしくは「ダブルフェイスで使用し返還された能力は、もうダブルフェイスで使用することができない」

・「死によってより強まる念」能力で、能力者が死んでいる場合は持ち主に返還されない

・栞を外したとき能力の持ち主がすでに死んでおり返還に失敗した場合、代わりに任意の念能力を返還する。指定しなかった場合はランダムな能力を1つ返還する

以上

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