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なくしものが見つかった。よかった。ほんと、よかった。

本当に今日は、何もかも投げ打って、荷造りしてどっかに旅立ってしまおうかと思った。

踏みとどまったけど。

私は『なくし物チャンピオン』
子供の頃からの絶対王者。
もう、治らないものとして諦めてる。

人生の1/3が睡眠ならば、1/7くらいは、なくし物を探している気がする。
いや、マジで。

そんな私の今日のなくし物は、息子のカナダのパスポート申請に必要な、書類やら何やら一式。

そう一式、まるごと。

というのも、先月、すべての書類をそろえたつもりで郵送で申請したんだけど、足りない書類があるってことで、封書で全部つっかえされた。そして、足りない書類をかき集めて、ようやく準備万端!と思ったら、つっかえされた書類が封筒ごと見当たらない。

中身は確認したし、どこかに持って行った記憶もないから、家にあるはずなのに、どこ探してもない。

これはなくし物業界における最悪のパターン、「間違って捨てる」に該当するのでは、と思ってからは、あっという間に絶望の底に。

しかし、申請書はもう一回書けばいい。
写真もまた撮ればいい。
超めんどくさいけど仕方がない。

そこで、もう一度、必要書類の一覧表をネットで確認する。

『カナダ市民証明書カードの原本』

カナダの市民証明書カードというのは、息子が生まれた当初、日本にいる時に発行してもらったもので、今はそのカード自体が廃止され、発行されていない。

確かに返送された封筒には、ちゃんと入っていた。

これは一体、どうしたらいいのだ。

再発行してもらうしかないのだろうけど、手続関係の手際の悪さで名高いカナダ政府機関に、こんな特殊事項の手続きがサクサク進むわけがない。

日本帰国までもう1ヶ月しかない。

もう絶望&絶望。

まあ、結局、まるごと見つかったんだけど。

どこにあったのか?

それは、四角い布製の買い物かごの中。
かごの一辺に、張り付くように、厚紙でできた封筒が入っていた。

要は、不在票を持って郵便局に→新しいパスポートが入っていると思って車の中で開封、書類不備と知る→とりあえず家に持ち帰らなきゃいけないから、ジュース類の入った買い物かごの中にイン!→ジュースをパントリーに入れるのがめんどくさくて、かご放置→忘れる→「書類がない!」

という流れ。

発見のきっかけは娘。

はんぶん諦めつつも「娘だったら見つけてくれるかも!」と、一縷の望みをかけてメッセージを送る。

「SOS! 今日、学校終わったら、即、帰ってきて」(午後2時36分)
「なんで?」
「あなたが必要なのです」
「なんで?」
「この間送り返されたパスポートの書類が入った封筒が見つからない......」
「買い物かご」
「は?」
「キッチンの隅に放置してる、買い物かごの中」(午後2時37分)

1分で解決した。

「私が申請した時と同じ封筒だったし、書類つっかえされた〜、って騒いでた日に、ジュース買ってきてたから、あれがそうなんだろうな、って思ってた」

だって。

「母さん、あなたなしで生きていけないかも」
「知ってる」

まあ、私の人生、こんなんばっかり。

「鍵がない、ない!」と騒げば、なぜか冷蔵庫から発見される。

コンピューターの修理の予約をして、わざわざ遠出したのに、肝心のコンピューターを忘れる。

職場で他の人のデスクに立ち寄ると、何かしら置き忘れて、後からその人が届けてくれる。「立ち寄った先、ぜんぶ忘れ物でたどることができそうだよね」と同僚に言われてしまう。

友達と行った旅行先では、旅館に着くや否や、クレジットカードをなくしたと騒ぐ。
「さっきまで握りしめてたのに......」
荷物を全部ぶちまけて探すも、見つからず。
仕方がないので「来た道を戻ってみよう」と、ジャケットに腕を通したら、袖のところに引っかかっていたカードを発見、とか。

この間は、パリジェンヌを気取って、紙袋にフランスパンをさして優雅にスーパーから歩いて帰ってきたら、「それ、どしたの?」と、即座に娘に言われた。

「なにが?」

指さされた、その先には、ポッキリと先端が折れたフランスパンの無惨な姿が。

「フランスパン一本買って、帰るまでに半分なくすって、ある意味、才能よね」
呆れた顔で言われた。

もうね、心がけてはいるの。

ホテルに泊まっても、ジムに行っても、必ず一度振り返って、
「忘れ物、なし!」と指差し確認するし、なるべくメモに残すようにしたり。

でも、どんなにがんばっても、人並みにならない。
もう、これは、まわりの人に、がんばってもらうしかない。

〜終わり