見出し画像

オーバーサイズの洋服の対抗馬を見つけた

今年の夏は息子を連れて、日本に帰る。
楽しみは、食事とお買い物。

特に洋服の買い物は、ここカナダで、ザ・昭和の体型の私に合う服を見つけることは不可能に近いので、毎回、帰るたびに鼻息荒く、財布を握りしめてお店めぐりをしては買い込んでいた。

しかし、この数年その成果がめっきり落ちている。

なぜなら、『オーバーサイズ』とやらが流行っているから。

低身長の昭和体型には無理なのよ。
ダボっとしたパンツも無理なのよ。

「ねえ、そろそろオーバーサイズ、廃れた?」
日本の友達に聞いてみる。
「まだ。ピタッとしたの着てる人なんかいないよ」

がっかり。

カナダは普段の生活が、
夏はTシャツに短パン、
冬はTシャツ、パーカー、防水仕様のジャケットにパンツ、
という格好が、老若男女通して主流。

オーバーサイズのふわっとしたシャツに、ダボっとしたパンツなんかのコーディネートなんて、ただの一人も見たことない。

たまにダウンタウンで、アジア圏からの旅行者を見て、
「あー、なんか、日本の動画で見たことある格好だ」
ってなくらいのレア物だ。

だから、ほんっとに、必要ないの、日本で『流行ってる』洋服が。

だけど、カナダで売ってる製品は、胴回りが大きすぎるし、手足も長すぎる。

しかし、私は新たな活路を見出した。
それは日本で、アウトドア専門のお店を巡ること。

東京で滞在する時、友達の家に泊まらせてもらうんだけど、そのうちの一人が男友達で、アウトドアに詳しいから、その子の紹介でいろんなアウトドアのお店に連れてってもらう。

ちなみにその子は、かれこれ30年近い知り合いで、若かりし頃は『おしゃれさん』で通っていた人。

ただ、流行りに乗るタイプのおしゃれや、ブランドを信仰するタイプじゃなくて、体型に合ってて、わかる人にはわかる、って感じのおしゃれを追求する人で、田舎者の私は当時から色々勉強になった。

その彼は、相変わらず、同じようなおしゃれ路線を追求していて、アウトドア関係でも、日本人の体型にあうヨーロッパのブランドとかを色々教わった。

その彼のところに、前回の帰国の時も、おじゃました。

「俺、また、新しいブランド、開拓したんだよね」
「お、いいじゃん、いいじゃん。どこにあるの?」
「うちの近所にもあるから、今日、いってみる?」

連れて行かれた先は、『ワークマン』......。

私の中で、めっちゃ拒否反応。

若い子の間で人気が出てきてるのは、風の噂で聞いてたけど、50代にもなって、腹まわりがやばいことになってるおばちゃん体型の私に、これは無理だろ。

しかも、ブランドものとかにはあんまり興味はないとはいえ、ワークマンはさすがに、ぶっ飛びすぎだ。

それに、友人、あんなにおしゃれさんだったのに、どうしちまったんだ?

そう思いながらも、ウキウキと車を降りて、店内に入る彼の後について行った。

「俺、これ持ってるんだけど、もう普段着でこれしか着てないくらいよ。色違いで何本も持ってる」

そう色々説明してくれるものの、あまり気乗りがしない。

ただ、見た感じ、値段のわりには、ちゃんとして見える。

「けっこう、ちゃんとしてるね」
「まあ、モデルにもよるけどね。いいやつは長持ちするし、そうでもないのも、もちろんあるよ。でも、値段が値段だから、そこは割り切ってるね」

まあ、結果的には、山盛り買い込んでいた。

サイズは合うし、軽いし、動き回りやすいし、デザインもシンプルでいい。
お腹まわりも、ゴムのものが多いので、サイズ調節しやすく、自分のもの以外に、娘と息子の分も調達する始末。

ワークマンにお見それしました、と、思う気持ちとともに、その男友達の『おしゃれセンス』も、改めて見直した。

流行の先端を着こなすタイプのおしゃれさんと、自分にあうものを、ブランドや流行に踊らされず見極められるタイプのおしゃれさんといて、彼は後者なんだろうな。

              *

こっちに住んでて、けっこう、服とか、持ち物とかを褒められる。

「これいいじゃん。どこで買ったの?」
「日本」
「.....やっぱりね」

という会話が、何度となく繰り広げられた。
やっぱり、日本が買い物する場所として、いい印象があることは間違いない。

私が思うに、日本って、日本製、ヨーロッパ製、アメリカ・カナダ製、あと、もちろん中国製とか網羅してるし、しかも、値段の高いものから、安いものまで幅広く扱ってるから、それが海外からの旅行者の買い物欲を刺激してる部分は大きいと思う。

ただ、『オーバーサイズが、旬です!』ってなった途端に、一斉にその流れになってしまうのだけ、どうにかして欲しい。

それが似合わない人のために、あえて、それ以外を扱うお店が出てきてもいいんじゃないか、とさえ思う。

『うちはオーバーサイズ、扱ってません!』
っていう、広告打って。

だめかな?

〜終わり。