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『まもなく開催!庵野秀明展』(KRYラジオ「KRY Morning Up」7月6日放送)

7月8日(金)から山口県立美術館で開催される「庵野秀明展」の見どころについて、株式会社カラー・文化事業担当学芸員 三好 寛さんに電話インタビューで解説していただきました。(パーソナリティ:高橋裕アナウンサー・山本恭子)その書き起こしです。

【高橋裕】 三好さん、おはようございます!

【三好さん】おはようございます。

【高橋裕】 どうぞよろしくお願いします。

【三好さん】こちらこそ、よろしくお願いいたします。

【高橋裕】 もうワクワクで、止まらないんです(笑)

【三好さん】ありがとうございます。

【高橋裕】 三好さん今、どちらにいらっしゃるんですか?

【三好さん】はい、山口県立美術館の展示作業のまっただ中でございます。

【高橋裕】 展示室のどの辺りにいらっしゃるんです?

【三好さん】ちょっとですね、お電話が遠くなったので、展示室から少し離れた部屋にいます。

【高橋裕】 そうですか、じゃあ先ほどまで作品に触れてたんですよね。

【三好さん】昨日の夜まで(笑)

【山本恭子】昨日の夜までってことは、展示は終わられてる状態ですか?

【三好さん】いえいえまだですよ。これから開梱するものもございます。

【高橋裕】 そうですか。三浦さん、東京・大阪・大分ときまして山口でございますけども、山口県立美術館というのは印象どんな感じですか?

【三好さん】とても雰囲気のいい、いいムードの美術館だなと。温かい感じがするわけですよ。で、周りに緑が多いでしょ。そしてなんというか、すごく歩くわけですよ(笑)会場を目一杯使ってますので。

【高橋裕】 なるほど、そうですよね。スロープで2階に上がったりとか。

【三好さん】でもそれずっとやってると楽しくなってくるわけですよ(笑)

【山本恭子】でも準備は大変ですね。

【三好さん】いやいや(笑)まあそうなんですけど、はい。

【高橋裕】 そんな三好さんでございますけども、庵野さんが代表を務めている制作会社、株式会社カラー所属ということで、どんなお仕事を今されてるんですか?

【三好さん】私は主に、例えばこういった展覧会ですとか、あるいは関連出版物ですとか、これを文化事業と位置付けて関わっておりますし、あるいは今ですと『シン・ウルトラマン』などの映画宣伝にも関わっております。

【高橋裕】 今まで庵野さんの個人の展覧会っていうのがなかったんですよね?作品の展示会はあったけど。

【三好さん】エヴァンゲリオン展ですとか、株式会社カラー10周年の時は、その記念の展覧会などをやったりもしてますが、庵野秀明の名前で個人展としてやるのは今回が初めてです。

【高橋裕】 ファンの方はもう当然ホームページとかでチェックして、他の会場も行ったりとかしてると思うんですけど、初めてという方のために、どんなものが並んでるのかちょっと教えていただけますか。

【三好さん】個展ですので、庵野秀明が作った『エヴァンゲリオン』を始めとする作品、あるいはもっとさらに、昔のもう本当にアマチュア時代から彼が作った作品はもちろんなんですが、「庵野秀明を作ったもの」という位置付けで、庵野秀明が幼い頃から見てきた『ウルトラマン』ですとか、『仮面ライダー』ですとか、『宇宙戦艦ヤマト』ですとか、『機動戦士ガンダム』ですとか、そういった彼を育んできた特撮やアニメ作品もたくさん展示しています。

【高橋裕】 さすがでございます三好さん。学芸員の資格お持ちですもんね(笑)

【三好さん】いやあ、それはもうホントに(苦笑)

【高橋裕】 今回ね、音声ガイド、斎藤工さんとかの声も楽しめるんですけど、三好さんも実はその中の1人なんですよね。

【三好さん】斎藤さんと、エヴァで(赤木)リツコ役をやってる山口(由里子)さんのお2人が、主な解説をやってくださるんですけど、なんかここというところで、少しこう…もうちょっとツッコむと言いますか、深堀りするお話を、『エヴァンゲリオン』のライセンス周りをやってくださってる、グラウンドワークスの神村(靖宏)さんと共に、漫才をやっております(笑)

【山本恭子】(笑)楽しそうですね。じゃあ音声ガイドをぜひ借りて聞いていただいて。

【三好さん】そうですね、ぜひお願いいたします。

【高橋裕】 ですから、細かい庵野さんの幼少時代のことから、制作過程、それから未来に向かって、もう全て解説していただいてると。

【山本恭子】全てを網羅されてるってことですね。

【三好さん】(笑)そうですね、はい。

【高橋裕】 で、お話にもありました、庵野さん自体を育んできた、そういったヒーローとかの色々なグッズでございますけど、これって庵野さんが個人的に集めてきたものなんですか?

【三好さん】まず、どういった展覧会をするかといった時に、もうごく自然に「庵野秀明が好きだったものから展示しよう」というのは話に出てたんですね。

【高橋裕】 はいはい。

【三好さん】60年生まれですので、60年代にテレビを賑わせていた「テレビ漫画」というジャンルになりますよね。もうちょっと幅広く、例えば、人形劇とか外国ドラマなんかも含まれるわけですけど、そういったものをできるだけ集めようと。でも、ヒントみたいなの欲しいなと思ったら、本人自ら100以上の作品タイトル、「僕はこれを見てきたんだ」というようなものを挙げてきました。それを頼りに、なるべくそれに関わるものを集めると。で、モノがあるもの、例えばミニチュアですとか、原画があるものはもちろん収集しましたし、別に(NPO法人)アニメ特撮アーカイブ機構というところがあるんですけど、そちらの活動の一環で集めてきたものもお披露目しましたし、それから関係各位にものすごく協力いただいて、映像をぎゅーっと集めております。

【山本恭子】盛りだくさんですね~

【高橋裕】 庵野さんが持っていたものも当然ですけど、庵野さんが「こういうの見てきたんだよ」って言ったものを皆さんが全力で集めてきた。庵野さんの名前があるから、どうぞ(お貸しします)っていう方もいらっしゃいますよね(笑)

【三好さん】(笑)そこは、あの~色々な大人の事情もありますね(笑)

【高橋裕】 権利関係とかもあるでしょうし。で、手元に図録があるんですけど、分厚いですよ。電話帳ぐらい。重いんですが。その中ですね、まあ僕の心に刺さるものがたくさんありまして、見どころは全部ですよね。きっと。

【三好さん】ああ(笑)そうですね、もうお察しの通り、どこか見どころを1つに絞ることがとても困難な展覧会で、ぜひ皆様には真っさらな心で、1つ1つ観察をしていただきたい、作品と対話をしていただきたい。そうすると、ホントに心に刺さる何かがあるはずなので。

【高橋裕】 僕パラパラっと見ただけでも、ジェットビートル、それからサイクロンに乗ってるライダー。バトルフィーバーロボ、エヴァンゲリオンは当然ですけども。『シン・ウルトラマン』『シン・ゴジラ』『シン・仮面ライダー』に繋がるその未来、もう刺さってばっかり(笑)

【三好さん】心、傷だらけですね(笑)

【高橋裕】 そうそう(笑)

【山本恭子】これを会場で癒してもらうんですか(笑)

【高橋裕】 それをね、三好さんの音声ガイドで癒してもらおうと。

【三好さん】あ、いやいや、そんなですね(笑)

【山本恭子】でも、絵コンテとか様々な下絵もたくさんありますけれども、精緻で複雑で情報量があまりに多くてびっくりしました!

【三好さん】はい、庵野英明がスタッフに「こういう絵を描いてほしい」とか、そういう指示書きをメモで細かく書いていくわけです。そういった直筆のメモも至るところに展示してますので、それらをちょっと読んでみていただければ、こういう考えで、こういう指示で、あるいはこういう口調で、「よろしくお願いします」とか、「何卒」とか、そういうことも含めて、人柄が漂ってくるようなところも含めて、楽しんでいただければと思います。

【山本恭子】庵野さんっていう方が見えてきますか。

【三好さん】そうですね。だから作品を通じて、庵野秀明との対話ができるのではないか、という風に、そうなったら嬉しいなと思ってます。

【高橋裕】 過去3会場で、かなりファンの方たちって長居しますよね。

【三好さん】そうですね(笑)おかげ様で、6時間ぐらいいらっしゃった方もいると聞きました。「昼頃来たら、もう気が付いたら閉館だった」とか、そういうお声もいただいて、とてもありがたいことです。

【高橋裕】 今回の山口県立美術館は日時指定の事前予約制なんですよ。ですから、予約ももう取りづらいところもあるって噂で聞いたんですけどもね。

【三好さん】これは非常になんか心苦しいのですが、何か皆さんちょっと、えー…頑張っていただいてですね(笑)来られる方、歩きやすい靴ですとか動きやすい服装で。中にスロープがございまして僕は面白いなと思ったんですけど、スロープで登って別の会場に行って、また違う空間を見るという、そういう面白みが味わえる美術館です。

【高橋裕】 僕おすすめはですね、その1階から2階に上がるそのスロープの間にですね、1階で見たものの整理を頭の中でするんですよ。

【三好さん】あー!なるほど。できますね、はい、それはおすすめですね。

【高橋裕】 で、2階に行くときに1回踊り場でターンしますね。ターンした時には次に向かう準備になるんですよ。

【三好さん】あ、なるほど。

【高橋裕】 勝手にそう思ってるんですけどもね。で、僕51になります。きっとですね、 50代以上の昭和のおじさんたち、子どもの心を忘れない昭和のおじさんたちと、それ以下の世代で立ち止まるところが違うんじゃないかなと思うんですけどどうでしょう。

【三好さん】それはあるとは思いますが、でも、きっとその60年代、70年代のヒーロー物やロボット物でも、今の若い人や、それからお子さんでも、きっと刺さると僕は信じてます。で、まだエヴァンゲリオンをご覧になってらっしゃらないご年配の方ですとか、「これは何か自分が知っているマジンガーZとは違う」という風に感じてもらえたら良いなと思います。つまり、そういう世代のギャップみたいなものは、超えられる力があると思ってますので。

【高橋裕】 お伺いしたいことたくさんあるんですけども、今回は山口県、宇部市出身の庵野さんのふるさとで行われるということで、何か地元ならではの展示ってございますか?

【三好さん】開催にあたって本人から、実は『シン・仮面ライダー』という映画の制作の真っ最中でして、どうしても顔を出す時間が取れずに、この展覧会、作品がふるさとに帰ってきたという状態なのですが、 何かこう「山口県ならではの展示もしたい」と申してまして。『式日』という作品ございまして、これは宇部を中心とした山口県内でロケーションをして撮った、いわばご当地映画と言える作品でして、これがロケ先で撮った写真が大量に残っているので、それを他の展覧会場ではお見せすることが叶わなかったのですが、特別に場所を設けていただいて、ありったけ並べようかなと。

【高橋裕】 ありったけ(笑)

【三好さん】ですので2000年当時の宇部市をはじめとする県内の風景が残ってますので、「あ、ここで撮ったんだ」と思う方も多いと思いますね。同じく『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズ、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』などでは、色々なカットで宇部をはじめ山口県内を取材して、モデルにした風景を用いて映画の場面を作ってたりするので、これらも「このカットです」と本人が指示した、その場面の写真をバーッと壁に並べようと思ってます。

【山本恭子】面白いですね~

【三好さん】ここは山口のあそこというような特に指し示しはしないのですけど、場面写真が貼ってあるだけなんですけど、県内の皆様にご覧いただけると「ひょっとしてあそこじゃないの?」という風に思っていただけるんじゃないかと。

【高橋裕】 これはじゃあ、その場所に行こうっていうファンがまた増えますね。

【三好さん】そうですね。「あそこかもしれない、じゃあこの後行ってみよう」って言っていただければ。

【高橋裕】 いま宇部はね、「まちじゅうエヴァンゲリオン」ですから。

【三好さん】ああそうですね(笑)

【山本恭子】聖地が増えるかもしれないですね!

【高橋裕】 三好さん、まだまだお話伺いたいんですけど、お時間が結構来ておりまして。 期間ありますので、何かの機会でまたご登場願えたらという風に、私、今ディレクターに勝手にお願いしてるんですけど(笑)

【三好さん】わかりました、喜んで(笑)僕としては、本当にできるだけたくさんの方に見ていただきたい。こんな機会はもう滅多にないと思いますので。

【山本恭子】そうですよね。

【高橋裕】 今日は準備の間のお忙しい中、本当にありがとうございます。ちょっと情報まとめさせていただきます。庵野秀明展、明後日8日から9月4日まで、山口市の山口県立美術館で開かれます。この展示会は日時指定の事前予約制です。セブン-イレブン店頭のチケットぴあにて日時指定券をお買い上げの上、ご来館いただきたいと思います。月曜日が休館が基本なんですが、7月18日(月)海の日は開きます。8月1日(月)ファーストマンデーですから開きます。お盆の8月15日はお盆ということで開館いたします。今朝は庵野秀明展について、株式会社カラー、文化事業担当学芸員でNPO法人・アニメ特撮アーカイブ機構の事務局長でもあります…だからお詳しい!三好寛さんにお話を伺いました。三好さん、ありがとうございました!

【三好さん】ありがとうございました!

【高橋裕】 これからもよろしくお願いします。

【三好さん】こちらこそよろしくお願いいたします。ぜひお越しください!


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