【小説】①

もう13時を過ぎている。昨日寝たのは何時だっただろうと思い返すが、風呂に入ることも歯を磨くことも諦め20時には布団に潜り込んでいた。こうして、休日を無駄にすることしかできないのが現状だ。

お腹が空いた気もするが、台所のシンクには1週間前に食べたラーメンの汁が入ったままの鍋。今のわたしには鍋を洗うなんて到底できない。箸も洗わずにシンクに投げ入れっぱなしだ。過去の自分のせいで物を食べることすらできない。

徒歩1分の場所にコンビニがあるし、隣はスーパーマーケットなのに、外に出ることも億劫だ。というよりも、立ち上がることが困難。
古びた商店街の建物の一室ではあるが、こんな立地で、駅近で、6万3千円なら安いものだ、毎日自炊するぞ、と夢を膨らませている引っ越ししたばかりの自分が今の現状を知ったらどう思うのだろう、と思いながら、出前用アプリでできるだけ安く、お腹が膨れるであろう弁当を注文した。高くつくが、布団からでることすらままならない状況だからありがたい。

横になったままエアコンの暖房をつけ、テレビのリモコンを手に取る。音がないよりあった方が気が紛れるし、現実を思い出さなくて済むような気がする。

平日の仕事のことも、長く付き合っている彼氏のことも、家族のことも。

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